Bメカの左シートに座ろう!
貴族や豪商の屋敷が立ち並ぶ中心市街でも、かなりの敷地をもったアウァールス商会の本家屋敷は、周囲の貴族に配慮してか意外なほど華美を排した建物であったが、良く見れば家の土台に化粧レンガを配するなどモダンな造りになっていた。
そんな住み慣れた屋敷に無事に到着し、ギャリソンにエスコートされ馬車から降りたクラヴィアの元へ、ずらり整列した使用人たちが一斉に挨拶するのを邪魔する勢いで、玄関の扉が『バンッ』と勢い良く開くと同時に、ドタドタと重い足音を響かせて、アウァールス商会の会頭でありクラヴィアの父親にあたるトゥバ・アウァールスが息せき切って駆け寄ると、再会の挨拶もそこそこに涙ながらに愛娘を抱擁した。
「うおおおおっ、クラヴィア~~っ。よくぞ無事に戻った!! 報告を聞いてどれほど心配したことか! こうしてお前の無事な顔を見られて、儂は…儂は……」
感極まった様子でしきりに頬ずりしてくる父親に、感謝すべきか喜ぶべきか恥ずかしがるべきか鬱陶しがるべきか――微妙な…半笑いの表情を浮かべながら、
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでしたわお父様。わたくしもこうしてお父様の元へ無事に戻れたことを天に感謝しております。――ところで、他人の目もありますし、もう子供ではないのですからそろそろ離してくださいまし」
やんわりと釘を刺され、
「むう……そうだな。お前ももう立派なレディであったな」
しぶしぶ娘から手を離す。
と、そのタイミングを逃さず、いつの間にか父親の背後に付き従っていた二人の男性――
「お帰りなさいませお嬢様、ご無事なお姿を拝見して衷心よりお喜び申し上げます」
『家令』という記号がそのまま服を着て絵画から抜け出したかのような、見事な白髪に美髭をたくわえた初老の男性――二代前から当家に仕えているというセバスチャンと、
「ご無事でなによりです、お嬢」
こちらは対照的に2m近い体に分厚い筋肉の鎧をまとった40年配の無骨な巨漢――アウァールス家の私兵隊をまとめるオルランドが頭を下げた。
「二人とも心配をかけましたね。今度の件では大変な状態だったお父様と商会をさぞかし補佐してくれたことでしょう。感謝いたしますわ」
「とんでもございません。私は自分の務めを果たしたまでのことです。――それとギャリソン」
「はいっ」
一歩下がって控えていたギャリソンが、直属の上司であるセバスチャンに声を掛けられ背筋を伸ばす。
「よくぞ己の務めを果たした。お主を推挙した私の目に狂いはなかった」
「もったいのうございます」
慇懃に頭を下げるギャリソンを見て、逆にオルランドは渋い顔をした。
「……だとすると俺の面子は丸つぶれだな。私兵隊の連中は改めて鍛え直さないとな」
苦々しい表情のオルランドを取り成す形で、クラヴィア改めて当時の状況を説明する。
「あの場合はしかたありませんわ。相手は普通の山賊や破落戸ではなく明らかにプロの暗殺集団か特殊部隊の軍人でしたもの。正直、武装した正規兵の小隊規模であっても全滅していた可能性がありますわ。……勇者であるマサト様がいてこそ切り抜けられたのです。本当に僥倖でしたわ」
「おお、そうであったな!」
娘の言葉にポンと両手を叩くトゥバ・アウァールス。
「手紙で聞いておる。これクラヴィアよ、早よ勇者様ご一行を紹介してくれぬか――」
子供のようにコロコロと表情を変え、商売人らしくいちいちオーバーな動作をする父親に微苦笑しながら、クラヴィアは馬車から降りてきた個性的な三人に向け、芝居がかった仕草で手を差し向けた。
「…もうっ、お父様が大げさに騒ぐものですから紹介が遅れてしまいましたわ。この方々がわたくしの命の恩人で――」
◆◇◆◇
クラヴィアが立派な仕立てを着こなした明らかにこの屋敷の主人らしい男性にもみくちゃにされている様子を、俺とアンリとレミの3人は息を潜めて呆然と見ていた。
「……あれってパンダだよな?」
「……えーーと、正確には大熊猫ですね。ちなみに標準和名では白黒熊とか色分熊とか言ったりします」
なんかコダワリでもあるのかやたら詳しい言い方で同意するアンリ。
「……可愛い♪」
さすがは子供のアイドル。レミの目はハートマークになっていた。
やがて抱擁も終わり――見た目パンダにじゃれ付かれたタイヤ状態な――クラヴィアに促されて馬車から降り・・・ようとしたところで俺は素早くアンリに止められ、頭に疑問符を浮かべる暇もなく、襟を直されネクタイを真っ直ぐにされ、手櫛で髪を整えられ、ブレザーの皺と裾をぽんぽん叩いて直され、「うん」と頷いた彼女に押されるようにして、妙な気分に浸りながら降りた。
で、真っ先にそのパンダ――まあパンダの獣人なのだろうけど――を紹介されたのだが、
「ご紹介しますわ。こちらが父のトゥバ・アウァールスです」
「「「父っ?!」」」
期せずしてハモった俺たちの驚きの声にも慣れた様子で、トゥバ氏は朗らかに笑うと両手で俺の手を握り盛んに上下に振った。
「はっはっはっ、娘は母親似でね。よく驚かれるんだよ」
「……あのー、お父さんって、むかし怪しげないわれのある泉に落ちたとか、水やお湯ををかぶると妙な変化する特異体質とかお持ちではないですか?」
アンリが隣のクラヴィアに恐る恐る訊いている。
「いいえ? そんな話は聞いたこともありませんし、いたって健康ですけど?」
「――いやいや、君が娘を助けてくれた勇者マサト・セナだね? いやぁ、娘の手紙に書いてあったとおり立派な若者じゃないか!なんとも聡明そうだし…娘がべた褒めするわけだよ! はっはっはっ、少々手紙を読んで妬けたほどだよっ」
「お、お父様……!」
真っ赤になって抗議するクラヴィアだが、俺としてはパンダのインパクトが強すぎて――「どーでもいいけどパンダって所詮は熊なので間近で笑われると、いまにも食われそうな迫力があるなー」とか「わーい、真っ黒な手だ。お父さんの手だー」――とか、半分現実逃避していた。
で、一通り挨拶が済んだところで、及び腰のアンリと、率先して近づくレミが次の犠牲となり、代わりにスマートな老人と暑苦しい無精ひげの筋肉中年とが挨拶に来た。
「ご紹介しますわマサト様、当アウァールス家令のセバスチャンと、私兵隊隊長のオルランドです……と、アンリエット様があの有様では通訳は難しそうですわね」
「おおおう、天使様に我が家に逗留していただけるとはなんという光栄!!」
メートルの上がり切っている父親に振り回されているアンリと、羨ましそうに脇で見ているレミを視界に納めてクラヴィアはため息をついた。
と――。
「ふふふふふふ」
そこへ意味ありげな含み笑いとともに、一人の痩身の中年男性が近づいてきた。
「まあ、イクス先生! 申し訳ありません、後からお伺いしようかと思っていましたのに・・・」
イクス先生と呼ばれたその男――シルクハットに燕尾服、赤い蝶ネクタイに片眼鏡という紳士ないでたちだが、酷薄そうな目つきとカイゼル髭、なにより死人のように青ざめた肌色が、ただ者ではない異様な雰囲気をかもし出している。
まるで、どこぞプロレスラー養成所の悪徳マネージャーのようであった。
「いやいや、とんでもない。私こそクラヴィアお嬢様の無事を確認したく、連絡もせずに不躾に訪問したことをお詫び申し上げます。――ところで、こちらの青年はウルガータ語に不慣れなご様子。よろしければ私が通訳をいたしますし、彼さえよければウルガータ語の手ほどきをいたしますが?」
「まあ! 願ってもないことですわ。実はこのマサト様の教師にイクス先生を推薦しようかと思っておりましたの」
「ふふふふ、それはまた好都合ですな・・・」
クラヴィアの方は天真爛漫な微笑をたたえて対峙しているが、シルクハットの男は獲物を見つけた蛇のような目で含み笑いをしている。
会話の内容がわからないが、混沌とした状況だった。
「……アー、ワタシノ名前ハイクスト言ウ。キミノ言葉ハニホン語デマチガイナイカナ?」
「日本語?!」
贋外国人が喋っているような妙なイントネーションではあるものの、紛れもない日本語に驚いてシルクハットの男に問い返した。
「オー、マチガイナイネ。古代文明ノ書庫ニ異世界カラショーカンシタ文献アッテ、現代語ニ、コンニャクシタモノ勉強シタノデスヨ。ワタシ言語狂師、名前イクス」
言語教師って、ひょっとしてこの二昔前の便所マークみたいな怪しげな男が、クラヴィアが言っていた『サルでも分かる』凄腕の家庭教師ってことか??? あと微妙に現代語に間違ってる単語があるぞ。
その疑問を肯定するかのように、イクスと名乗った男性は蝶ネクタイを締めなおし威儀を正すと、
「今日カラキミノ言語…トリアエズ、周辺デ共通ウルガータ語ヲ教エマス。狂師ト聖徒デアル以上、タトエ勇者デアッテモ反抗ハユリシマセン。以後、ワタシノコトハ『ミスターイクス』ト呼ビナサイ」
「はい? ミスターイクス?」
いやまだ家庭教師の件受けるともなんとも言ってないんだけど・・・てか、こんな怪しげな男相手は嫌じゃ~~っ!!
だが、イクス氏は満足そうに頷くと、クラヴィアに向かって一言二言告げて、
「許可モ得マシタ。早速イマカラハジメマス。図書室ヘ」
一方的に告げると、意外な力強さで俺の二の腕を掴んだ。
「今カラハジメレバ多分夜ノ晩餐ニハマニアウデショウ」
「晩餐って……まだ昼飯を食ってないぞおいっ?!」
引き摺られながら抗議するも気にした風もなく、
「ワタシ食ベテキタノデ問題ナシネ。……ソウイエバ古代文献ノ最大ノ謎デ『アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう』トアル答エ知テルカネ、キミ?」
「知るか!! てか、あれが教科書かい?!」
◆◇◆◇
「……ふむ」
さすがに退屈を覚えてアンリは読んでいた本を置いた。
内容は夜な夜な身体を売る美貌のヒロイン・シャルルに対し、夜の街の元締めの配下である女衒の美青年シドがいつしか恋に落ち、ライバルとの叶わぬ恋の鞘当の果て刺されて死亡するという……登場人物が全員男なBLものだということを除けば、地球でもロミジュリや源氏物語から続くありがちな恋愛モノだった。
(どこの世界も嗜好は似たようなものなのねえ)
とはいえ、この手の娯楽作品に関しては、異世界を巡りなおかつ世界に誇るエンタメ大国日本の作品に触れたことがあるアンリから見れば、退屈極まりない・・・といったところだ。
さて、あの後、挨拶攻勢からようやく開放されたアンリが目にしたのは、
「虎だ虎だ!お前は5000光年の虎になるのだ!」
異様に張り切っている謎の紳士に連れられて、先に屋敷に入っていったマサトの姿であった。
で、家令と、私兵隊隊長とやらを紹介してきたクラヴィアに訊いてみてところ、あれが噂の家庭教師で、なんでもマサト本人が異様にやる気になってすぐに勉強を始めたいと言っているので、いまから図書室にこもり切りになってウルガータ語の勉強を始めるということだった。
一瞬、ちらりと見た感じではそれほど前向きにも見えなかったのだけれど――というか「やめろ!俺に乱暴する気だろぅ!エロ同人みたいに!」と思いっきり嫌がっていたような気がするけど――ここ4~5日の付き合いとは言え、妙なノリを持っている彼のこと、「ファイト!」と言ったら「一発!」と応え、「いつ勉強するの?」と言ったら「いまでしょう!」と応え、なし崩しになった可能性は多々ある。
「お疲れですか、アンリエット様?」
連れてこられた賓客用の隅で、2人のハウスメイドとともに待機していたギャリソン氏が素早く進み出ると、心配そうにアンリの顔を覗きこんだ。
「いえ、大丈夫です。少々手持ち無沙汰なだけで」
慌てて首を横に振るアンリ。
「ふえ…? おねえさま、やっぱりお菓子食べますか? 美味しいですよ?!」
同じソファーに座って、出された自家製らしい焼き菓子を盛んに口にしていたレミが、お菓子の並んだ皿を差し出してきたが、
「大丈夫よ。私はさっきの1個で十分なので、レミちゃんは遠慮しないで全部食べちゃって」
満面の笑みとともに皿を戻す。
「………」
なにか言いかけたレミだったが、素直に頷いてまた菓子を頬張り始めた。
実際、1個食べただけで胸焼けがしそうな甘さのお菓子だったのだが、この世界では甘さ=旨味の認識が高いらしく、アンリから見れば、某陶芸家がいれば「この菓子を作ったのはだれだ!!」と激高し、息子の新聞記者なら「明日もう一度来てください。同じ材料でこんな菓子よりずっとうまい菓子をご覧に入れますよ」と偉そうに薀蓄たれるレベルなのだが、レミは喜んでパクパク食べている。
(同じ材料でタルトかシュークリームくらい作れそうだけど)
そのうち機会と場所があれば作ろうかな、と材料や手間を考えていたアンリへ向かってギャリソン氏が提案する。
「退屈ということであれば、屋敷内か、庭園をご案内いたしますが?」
「いえ、大丈夫です、適当に時間をつぶしていますから。それよりもギャリソンさんこそこんなところで退屈じゃないですか? 報告やら後始末やら大変でしょうに。。。」
「いえいえ、報告書はすでに提出済みですし、現在お嬢様ご自身が後始末等を行っています。また、宅内のことに関しましてはセバスチャン様を始め代わりのものがおりますが、アンリエット様のお世話となれば、多少は気心が知れたもの方が気が休まるだろうとのことで」
「はあ、ギャリソンさんも大変ですねー。襲撃からこちら休む暇もなくて」
しみじみと同情を込めての言葉に、なぜかギャリソン氏が楽しげに笑いかけた。
「それが仕事ですので……それに皆様が来られてから今日まで、私はとても嬉しいのですよ」
この人実はMかしら? と怪訝な表情を浮かべるアンリと、きょとんとしているレミを交互に眺めて、
「お嬢様のことです。この屋敷に勤めて25年、あんなに生き生きとしたお嬢様の姿を見たのは私も初めてです」
ちなみにグリアスの1年は175日なので、地球の1年とほぼ変わらない。
「お嬢様はあのような気性ですし、また自分の立場を理解しておられ、また海千の大人顔負けの才覚もありましたので、いままでほとんど歳の近い、気の置けない友人というものがいらっしゃらなかったのですが、ここ数日、お三方と一緒にいらっしゃる時は、歳相応の姿を姿をさらけ出しております」
しみじみと述回するギャリソン氏だが、この場にマサトが居れば、「いや、俺はともかくアンリは年齢不詳だし」「レミも実年齢は千歳超えてるんじゃ…?」と突っ込みを入れたことだろう。
それからふと、ギャリソン氏は辺りをはばかる様な仕草をした後、声を潜めて二人に告げた。
「このことは秘密にしておくつもりだったのですが、お三方にはお嬢様も心を開いている様子ですのでお伝えしておくべきでしょう」
お二人の判断で後からマサト様に話しても構いませんが、どうか外部にはご内密にお願いいたします。と前置きして、ギャリソン氏はアウァールス家の秘密を口にした。
「実は…当アウァールス家の主人であるトゥバ様と、長女であるクラヴィア様は……血のつながった親子ではないのです!」
「「それはひと目見た瞬間わかりました」」
口を揃える二人。
◆◇◆◇
「あら、マサト様はまだお戻りではなかったのですね…」
やっと一区切り付いたということで賓客用へやってきたクラヴィアは、部屋の中を一瞥すると、さすがに疲れた様子で、「失礼しますわ」と断りを入れてソファに座る。
「どうぞ、お嬢様」
メイドが淹れた香茶をギャリソン氏が差しだし、当然のように受け取ったクラヴィアが一口飲んでため息をついた。
「ずいぶんと先生も熱が入っているようですわね。――まあいいですわ。せっかくなので、殿方抜きでお二人に見て欲しいものがあるのですが」
「はい?」「ほえ?」
「と言っても別に大したものではないのですけれど、先ほど当家で召抱えている仕立て屋が、天使祭でのわたくしが着る衣装を持参したのです。仮縫いですけれどお二人にもご意見を伺おうかと思ってお伺いしたのですわ」
「へえ、見てみたいですね」
「私も楽しみです」
良い暇つぶしとばかり身を乗り出す二人の様子に、クラヴィアも満更でもない顔でカップを置いて立ち上がった。
「それでは衣裳部屋へ用意しているそうなので早速行ってみましょう」
◆◇◆◇
で、2階にあるちょっとした衣装屋ほどもある衣裳部屋の中央に、デンと据え置かれたその衣装を見た瞬間、クラヴィアの額に青筋が浮かんだ。
「…この天使祭に先駆けて、天使様を模した衣装を作るという名誉だけでも心が震えるというのに、まさか本物の天使様にお目通りかかるとは……仕立て屋冥利に尽きるというものですじゃ」
初老の、いかにも一徹という感じのその仕立て屋の親方は、天使様を前に感激の面持ちで滂沱と涙を零した。
「(コソコソ)あの、いまさらですけど私がいることって秘密だったんじゃないでしょうか? あっさり外部にバラしても大丈夫なんですか?」
アンリの突っ込みに、ギャリソン氏は苦笑いを浮かべ、
「まあ親方は身内のようなものですし、屋敷の者にも緘口令は強いてますので」
そう答えるが、秘密ってこうやってドンドン外部に漏れていくんだろうな~、とアンリは諦観した。
と、クラヴィアが絶叫とともに、部屋の中央部でやたらと存在を主張していたソレを指差した。
「なんですの、この衣装は?!」
「もちろん天使祭でのお嬢様の衣装ですが、なにか問題でも?」
ソレ――白を基調としたドレスはレースをふんだんにあしらい、同じくレースで背中からふわりと翼をあしらった飾りが伸びている。
清楚な中にも格調高い仕立てのドレスだとは思うのだが……。
「問題ありすぎです!! というか、どーして背中と肩の所にドリルが付いているんですの?!」
「おお、よくぞ聞いてくださいました! このドレスはこれまでの天使祭の概念を覆した逸品で、お嬢様の個性を最大限に引き出すため、名人と謳われた魔具職人のサード・ジゴーロと共同開発したものですじゃ!」
胸を張ってその素晴らしさを滔々と語る親方。
「このBメカ・・・すなわち背中のドリルからは火を噴き空を飛ぶことが可能で、肩のドリルは高速回転することで地中すら潜行可能という、まさに夢のドレスなのですじゃっ!!」
「か、格好いいっ――!!」
目を輝かすレミと、この世界の天使の概念って……と微妙な顔で衣装を見るアンリ。
「・・・悪夢ですわ」
よろよろと頭を抑えて手近な椅子に座り込むクラヴィアだが、ふと気になって恐る恐る確認した。
「……Bメカということは、Aメカもあるのですの?」
「それはもちろん……」
全員の視線がクラヴィアの頭に向かった。
「却下っ!却下ですわーーーっ!!!」
クラヴィアの絶叫が広大な屋敷内にこだました。
主人公が最後に出てくるはずが、予定が狂いましたけど出てきてもあまり意味はありません(ヲイ
いかにも胡散臭い彼は私の趣味ですw
あと隊長は当初ハードゲイの衣装を着ている予定で、主人公がいろいろ誤解する予定でしたけど本人が話にあまり関係しないので飛ばしましたw
あと次回、噂のもう一人の勇者が出てくる予定で、これで第一部の主要人物が出揃うと思います。
ということで、次回「執事たちの沈黙」(仮)の予定です。