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遊びほうけ

龍牙がでた電話・・・。

そのあいては・・・。

 (遊びほうけ1)

 キッキー!

自転車のブレーキ音が鳴り響く・・・朝、10時。

「ここかー?フアックスの地図見るかぎりじゃ。」

俺は、長い階段の下に自転車を止めた・・・。

そう、俺は月光寺というお寺に来てるのだ・・・。

えっ?なぜかって?そりゃ・・・。

「やっと、来たか・・・。待ち合わせ10分オーバー・・・。どうせお前のことだから道に迷っていたんだろう?まったくだらしない奴だな!」

後ろからなんだかとてもむかつく口調でしゃべりかけてくる奴・・・。

「おう・・・。お前から電話って見た目に合わないなー。平泉彩人!」

そう、そこにいたのは、クラスや地域別テストで万年一位・・・。顔はいいんだか、性格がだめだめというより、クールすぎる男・・・。平泉彩人だ!

「ふん。俺が・・・電話するという時は重要な時だ!決して、遊び半分という奴とはいっしょにするなよ!」

あー!腹の底から・・・。いや、足の先から頭のちょっぺんまでのすべてがむかつく奴だー!

「んで?要件は何?早くしてくれよ!俺には漫画という友達が家で待ってるんだが・・・。」

すると、彩人は、フンっと鼻で笑う。

「お前は、どういう環境で育ってんだよ?休日に漫画?笑わせるなよ・・・。」

ムカムカムカ!

「まあ、いい!早速だが、本題に入ろう・・・。」

話題変えた所で俺のムカムカはおさまらない・・・。

ただ、こいつといる時間が短くなると思うとムカムカが消える。

「単刀直入に言うぞ・・・。準備はいいな?」

「あぁ!なるべく、わかりやすく、早くな!」

すると、彩人はコホンとせきばらい・・・。あれ?なんだかこいつらしくないな・・・。落ち着きがないなんて。

「早く言えよ!」

俺は、落ち着きをなくした彩人に言った。

「じゃあ、言うぞ・・・。お前、一昨日引っ越して来ただろう?」

「あ?それがどうしたの?」

すると、彩人は目をキョロキョロさせて恥ずかしそうに言った・・・。

「紅川のこと、どう思う?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?



 (遊びほうけ2)

 辺りは、木々に包まれた、月光寺の階段下・・・。

俺と彩人の会話には、少しの沈黙が訪れていた・・・。

「えっ・・・?どうって?」

沈黙は、俺の質問によって打ち消された。

「いや・・・。だから、お前は紅川のことが好きなのか?」

えっ?えっ?えーーーー?

俺は、いきなりの質問に戸惑いを隠せない・・・。

「うーーん?えっと?さ、さあな?恋愛として見たことなんてまだないや!」

俺自身でも何が言いたいのか分からない、曖昧な返事をしてしまった。

「ふん。そうか、ならいい。」

何だか、彩人はほっとしている・・・。もしかして?

「お前・・・。もしかして・・・。」

「おーい!龍ちゃーーん!」

俺が、彩人に問いかけようとした瞬間・・・。誰かが俺を呼ぶ・・・。この声は・・・。

「げげ?何でお前達ここに?」

そうその声の主は、優香。そして、その後ろにいる2人組は、りんとらんだ!

「何でって、せっかく龍ちゃんの家まで行って、電話したのに、龍ちゃんいないんだもーん。」

「おー!?それは悪かったなー・・・って、何でわざわざ家に来て電話してんだよー!?」

俺のつっこみが久々に響く・・・。久々のつっこみって気持ちがいいなー。

「いやあ、龍ちゃんビックリ、ドッキリ、地獄の果てにご招待!作戦を決行しようと・・・。」

「おー!なる程なる程ー!確かにしたくなるよなー!それー!・・・って言うと思ったかー!何だよ?その作戦?かわいいネーミングセンスの裏腹に、最後、俺に氏ねと言ってるのと同じだぞ!?」

「「「あはははは!!」」」

みんなの笑い声が響く・・・。幸せな時間だ!漫画読んでいる奴の気持ちが分からないや!

「みんなー!ようこそ来ましたー!ブー!」

えっ?この声?

そう、声の主はいつの間にやら俺の後ろに立っていて笑っている、桜ちゃんだ!

「おー!桜ちゃん!?いつの間に?・・・それに、ようこそ来ました!って?」

俺の問いかけ・・・。りんが答える。

「あれ?龍ちゃん、知らんの?ここ、月光寺は、ゆうしょ正しき木下家のお家や!=桜と天音ちゃんのお家ちゅーことやな!」

相変わらずの、訛り(なまり)関西弁口調・・・。まあ、伝わりやすいからいいか!

「ちなみに、俺達、花谷家なフラワーショップHanatanaiだからな!今後もよろしくー!」

弟のらんが、必要ない説明をしてくれた。まあ、俺自身も初めて知ったからいいか!

「ところで・・・。ここに、集まった理由ってなんなんだよ?」

俺の問いかけを彩人が取り上げる。

「こいつら、集まり=なんなのかを思いだせ!」

えっと、こいつらを見ていると、いつも遊んでいるから・・・。

「ふひひ!龍ちゃんもう分かったんじゃない?今日はこのメンバーで遊ぶよー!」

ミーンミーン・・・。

その声が合図で残り少ない蝉が鳴きだした・・・。



 (遊びほうけ3)

 ミーーンミーーン。

木々に止まっている蝉達の鳴き声が一斉に響き渡っている・・・。

「へへーーー!こっちこっちーーー!」

「こらー!待てーーい!」

あんなこんなで月光寺では子供達が楽しそうに鬼ごっこで遊んでいる。

「ふぎゃあ!」

「へっへーー!らん一丁上がりーーー!」

鬼はこの俺、海道龍牙がやっている。

「後は・・・・・・。彩人だけだな!」

あいつが最後に残るなんて意外だな…。見た目的にクールでがり勉なんだがな!まあ、俺の予想じゃ、豊富な知識で見つからない隠れ場所を考え出し隠れているに違いない!

   そう!隠れ鬼のように!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ!?

俺の頭の中によぎった一つの単語・・・。それは、聞いたこともない一つの単語だった・・・。けれど、なぜだろう?すごくこの言葉を聞くと、心がはりさけそうになる・・・。意味も知らないのに・・・。なんで?

ふつふつと何かがこみ上げてくる・・・。

「・・・・・・・・・えっ!?」

そう、涙だ。俺は今、意味も知らない言葉に涙を流しているのだ。

なぜ泣いているのか分からない自分が憎い・・・。

「・・・・・・龍牙くん?」

いつの間にか立ち止まっていた俺の隣に桜ちゃんが立っていた。

「すまないな・・・。俺、何で泣いているのか自分でも理解できなくて・・・。それがまた悔しくて、悔しくて…。」

すると、桜ちゃんはにっこりと笑って俺を見つめる・・・。

「大丈夫です!龍牙くんは何も悪いことはしてないですよね?」

「悪いこと・・・。ここに来てまだしてないと思う・・・。」

半泣きの俺・・・。恥ずかしく思えてきた・・・。

「なら大丈夫です!神様は怒ったりしないです!ぶー!」

「そうか・・・。」

だいたい分かる・・・。悪い事とはきっと昨日話してもらった裏山の事だろう。

「龍牙くんが泣いたのは、きっと、人生の途中で石ころにつまづいて、立ち上がることができなかったからです!だから、だから・・・。」

「・・・・・・手を差し伸べる。」

桜ちゃんの隣にいつの間にか天音ちゃんが立っていて、普段開かない口を開いたのだ。

「・・・手を差し伸べる?それは一体?」

「例えばですね・・・。私がこんな風に倒れているとします。」

桜ちゃんはそう言いながら仰向けになった。

「龍牙くん!立ったまま私に、手を差し伸べてください!」

「こ、こうか?」

そう言われ、手を桜ちゃんに差し伸べてみる。

「あれ、どうしたよ桜ちゃん?手を伸ばさないと立ち上がれないぞ。」

俺の言った言葉・・・。答えが出ていた。

「そうです。片方でも手を差し伸べなかったら、手は届かず、片方は立ち上がることができず、もう片方は助けることができず見殺しにする。」

「そんな、見殺しって、やりすぎじゃないか?」

俺の問いかけ・・・。しかし、桜ちゃんの表情は固く、俺を無視して続けてしゃべりだす。

「つまり互いが互いを信じあって手を伸ばさないと、幸せをつかむことは・・・。」

「・・・・・・・・・否!!」

場の雰囲気は、残暑の暑さを吹き飛ばすほど冷えきっている・・・。



 (遊びほうけ4)

 つくつくぼーし、つくつくぼーし、・・・・・・。

さっきまでとは違うセミが鳴いている。

「まあ、こんなこと言ってもあなたは分からないんでしょうけどね。」

桜ちゃんの言葉が俺の心を殴りつける。

「幸せをつかむためには、あなたの存在が鍵なのにね・・・。」

そう言って、桜ちゃんは行ってしまった。天音ちゃんもいつの間にかいなくなってる。

「幸せか・・・。」

俺は、何がなんだか分からないまま、彩人を探し始めた。

「龍ちゃーん!!」

すると、後ろから優香の声・・・。

「ん?どうした?」

すると、優香はエヘヘと笑いながら喋る。

「実はさー。今から会議があるんだよねー。」

???

「会議ーーー?」

俺には優香が何を言ってるのか分からなかった。

「あれ?知らないんだっけ?東山地区会。」

???

「えっ?えっ?えーー?何だよそれ?」

優香はありゃりゃという顔をして、しゃべります始める。

「龍ちゃん、本当に知らないの?東山に来たら入らないといけないはずなんだけど・・・。」

「そ?そうなのか?・・・あ!回覧版ならきてるぞ!」

すると、優香は安心したような顔をする。

「なら大丈夫みたいだね!龍ちゃんも地区会の一員だよ!」

「そ?そうなのか!?じゃあ、俺も会議に出席した方がいいってことかよ!?」

優香は首を横に振る。

「いや、あたいだけでいいんだよ!」

「あれ?何で?」

優香は俺に指をさす!

「なんたってあたいは、学級委員長だからね!」


テンション高い・・・。とてつもなく今じゃついていけないかも。泣いた後だし。

「まあ、会議見たいならきてもいいよ。」

「えっ?いいのか?」

「うん!だって会長はあの木下姉妹のおじいちゃんだよ!」

???

「そうだったのかーーーー!?」

「あれ?本当に何も知らないんだね。副会長はあたいの親だよー!」

「それも初めて聞いたよ。」

にひひひひ!と優香は笑っている。そして、

「みんなーーーー!鬼ごっこはやめて、会議に行こうよーー!」

優香の一声でみんなは一斉に集まってきた。

「ふん、海道龍牙。ついにあきらめたか。」

どこからか、現れた彩人・・・。こいつ、どこに隠れていやがったんだ?

それにしてもこいつの言葉、聞き捨てならん。

「何言ってるんだ!俺にかかればお前なんか。」

「ふん!面白い!なら今すぐにでもおてあわせ願おうか!」

ビリビリと俺と彩人の間に火花が鳴っているようだ・・・。

「「勝負だ!」」

あれ?会議は?



 (遊びほうけ5)

 「ちょっと、2人とも喧嘩はよしなって!」

優香の声が、蝉の声と混じって聞こえる。

「優香!何を言ってる?これは男同士のバトルだ!」

優香の声を無視して彩人との距離をつめる俺・・・。優香が今は弱く思える。

「紅川・・・。余計な手だしは無用・・・。すぐにコテンパンにする・・・。」

優香は彩人にそう言われ止めるそぶりをやめた・・・。

「俺達がこうやって喋るの今日が初めてなのに、何でこんなことにんってんだろうな?」

俺の問いかけ・・・。彩人は鼻で笑い答える。

「フン・・・。そんなの決まってんだろ。」

彩人は黙り込む。あいつにとっての勝負の理由はきっと優香だろう・・・。

俺はそう察した。

しかし、俺がこいつと闘う理由は何なんだ・・・?


(お前が闘う理由・・・。それはこの後に深く意味を持ち。この後に深く関係するだろう・・・)


「・・・・・・・・・っえ!?」

どこからか響き渡る声・・・。一体誰??

「・・・どうした?怖気づいたか?」

彩人が俺を挑発する。

「いや、そんなのじゃない。お前には聞こえなかったのか?声が・・・。」

彩人は笑いだす・・・。

「はははははは。なんだ声って?どんな声だよ?俺の声か?またやお前の独り言か?」

「だから!違う!俺でもお前でも、ここにいる誰でもない声が・・・!」

がばっ!

「・・・・・・・・・っえ!?」

「龍牙くん・・・。なんだか、さっきから怖いです。怒鳴ってます・・・。何かに・・・。・・・何かに取りつかれてるみたいです・・・。」

我を失いかけていた俺に、桜ちゃんが抱きついてきた。そして、俺にたくさん訴えて泣いている・・・。

「・・・・・・・・・・・・ごめん。」

自分自身も何がどうなってるのかさえ分からない・・・。しかし、明らかにおかしい。あの声は一体。

「龍ちゃん、ここは落ち着くために、勝負はやめて会議に行こうよ!」

「そうや!それが一番やで!」

らんとりんも心配している。

「彩人!あんたもいいでしょう?」

「・・・・・・・・・あぁ。」

優香も彩人も、何も言わない天音ちゃんもきっと・・・。

みんなみんな、俺を心配してくれた。

「みんな、すまない・・・・・・ありがとう。」

あの声の正体は分からない・・・。だが、仲間がいたから一人で考えて、暴走しなくて良かった。

 俺は  ありがとう  と心から思っている。




 あなたと会えたそれだけで、

           俺の悩みが消えました。


  君に会えたそれだけで、

           私の苦労が消えました。


 だから、俺と私と君たちで、

           たがいに言おう・・・ありがとう。


 詩題名ありがとうと・・・  海道龍牙、??????


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