『明日は晴れますか?』
初めて小説を書くので意味の分からない点が多々あると思います。どうか暖かい目で見守りくださいませ。
【明日は晴れですか?】
真夏の日、蝉時雨に混じって似たような怒号が飛び交う。
いつも通りの毎日だ。
僕は29歳の会社員、山下誠一。
もうすぐで三十路になる。
…そんな僕は窓際社員。何も出来ない無能だ。
蝉時雨のようなものを聴きながら僕は上の空だった。
僕は本当は、天気予報士になるはずだったのに。
15年前、とある……親友。川西 陸と話していた。彼は口を開き、こう語る
『お前って将来の夢ある?』
『全然、お前は?』
彼は俯き少し悩む。長いまつ毛が揺れて思わず目を奪われたのは秘密だ。
口を1度閉じまた開き、語る。
『俺は…登山家。』
『なんで?意外だな…』
『楽しいだろ!あとな、俺のパパもやってるからさ〜』
彼は山、が好きらしく、天気によって登るルートが変わったり、はたまた行けなくなったり…なんて雑談をラジオのように聴き流しながら僕は思わず
『なら、僕は天気予報士になる。』
_______川西 陸
『は?』
思わず声に出た。彼はハッとした顔をした後目を逸らし
『だって、雨かどうか分かったら一緒に山登れるだろ。』
『あっはっはっ!何言ってんだ!いつでも行ってやるよ!』
彼の肩を寄せて俺はそう言う。
パァっと眼が輝いた。
『絶対行こうな!!』
…まるでアニメで言う、死亡フラグみたいだな。
なんて笑ったあの日のことは、誠一は、忘れてないだろうか?
忘れないことを祈るばかりだ。
______山下誠一
そんなことを言って五日後、大雨が降ったことを覚えている。
嗚呼、彼は今日山に行く、なんて言っていたな。
僕が天気予報士になれたらもしかしたら今日以外がいいよ!なんて言えたのかもしれない。
…雷もなっている。僕は心配で時計を見た。
彼は突然パタリ、と学校に来なくなった。
本当に死んだのか?なんてからかってやろう。なんて思いながら連絡を取ろうとした。
扉が開く音が妙に大きく聞こえた。
『川西 陸が行方不明になった。』
まるで深い雪山でホワイトアウトに遭ったかのように思考が頭の中が真っ白に染まった。
『最後あった人は居るか?』
なんて言葉は耳に入るわけが無い。
………僕は何も出来なかった。
今はどうだ?
今やっても遅いだろ?
今ならまだ大丈夫?
なぜあの時山に行こうとしなかった?
そんな考えが突然頭を巡る。
『おい!誠一!!聞いてるのか!?』
『はい!!すみませんっ!!』
反射的に返事を返した。
…仕事が終わるのは21時頃。まだまだだが、終わったらやることがある。
今度は上司のノイズのような言葉をラジオのように周波数を合わせ、怒号を聞くことにした。
…やっとラジオの反吐が出そうなほどつまらない番組が終わる頃20:00になっているのを見た。
慌てて今ある仕事を終わらせようと目を冷めるためだけの黒い劇薬を口に運び、仕事に集中する。
定時から1時間半過ぎ、慌てて荷物をまとめてタイムカードを押す。
『…川西 陸。』
ふと彼の名前が口から零れ落ちた。
15年前。ずっと後悔している。
あそこで僕が天気を予報できていたら?
気がつけば、重い革靴はアスファルトを蹴っていた。向かう先は、最後に彼が言っていた山だ。
雲ひとつなく、星空が見える。
明日は晴れだ、なんてあいつに話すための話題を考えている。
陸、陸、答えてくれよ!
やまびこでもなんでもいい、僕のために答えてくれ!
「明日は晴れる。明日は登山日和だ。一緒に行こう、陸!」
あの時から数えて15年未来の天気予報。それを伝える相手を探して、僕は山道を彷徨った。
その時、湿った土が足元から音を立てて崩れる。
浮遊感。
上下の感覚もない。
ただ目の前に見えるのは暗い夜空。
ああ、僕は今日、死ぬのか。無能なまま、何一つ予報できないまま。何一つ見つけられないまま
地面に叩きつけられた衝撃で肺から空気が漏れ出す。
『けほ゛っ、!?ぉ、』
視界の端に、淀んだ水溜まりが見えた。
あれは、なんだ
あれはちがう
………あれはちがうはずだ
そこにあったのは
僕がずっと探していた「答え」だった。
ちがう
ちがう
ちがうはずだ
膨れ上がり、白く濁った肌。
魚に食い荒らされたのか、それとも腐敗したのか。
もはや見蕩れるような「長いまつ毛」があったかさえ分からない変わり果てた肉塊。
かつて僕の目を奪った面影は、見る影もなく水に蝕まれ、誰もが拒むような見た目。
腐ったような酸っぱく強烈な匂いもする。
『おまえ゛…ずっとここで、…』
雨に打たれていたの?
なあ陸。
明日は晴れるよ。
ブロマンス、のイメージで書いておりますが、誠一は陸に対して恋愛に近い感情もあったかもしれません。




