第二十三話 潜伏
タクミが別荘に潜伏してから、十日が過ぎた。かなり食料は節約して使ったため、実質的には、あと、十日ほどは、食べ物の心配をしなくてもよさそうだった。
「いくらなんでもそろそろ追っ手が来るんじゃないかな」
タクミは思った。
ギの国の警察になるのか、兵隊になるのか、そこのところはわからないが、追っ手が迫っていることは間違いないだろう。
タクミは念のため、その時のことを考え、周囲の地形を調べていた。別荘の海側は、絶壁となっていて、誰が見ても、ここから脱出できそうになかった。しかし、よく調べた結果、そこには巧妙に偽装されてはいるが、崖を下る道があることがわかった。どうやらここはただの別荘ではないようだ。陸側からの攻撃に備えた、要塞のような作りになっており、最終的には、海に逃げることを想定して作られている。昔、といってもほんの数十年くらい前の話だが、このあたりはギの国に併合されていない独立国だった。やがて、ギの国に責められて、敗れるのだが、その時の抵抗の後なのだろう。この別荘は、当時の城のようなものだったに違いない。
「立てこもることもできるか」
タクミは思った。
「いや。立てこもったふりをして、脱出する。それが最善だ。あえて、しばらくここに留まり、敵を引き付けてから、海へ脱出する」
それが、タクミが考えた作戦だった。うまくいくかいかないか、それはわからない。予知能力は、相変わらず帰ってくる気配がなかった。
「船があるといいんだがな」
タクミは海岸を探してみたが、舟らしきものは見つからなかった。思った通り、昔、船が接岸していた形跡はあった。巧みに偽装されており、一見すると、自然の地形のように見えるが、よく見ると、人工的な埠頭になっている。船があればここから脱出できる。
「船があれば」
タクミは、ぼんやりと考えた。
「船があれば」




