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第二十話 追跡

タクミがヒメの元を去ってすぐに、数人の武装した男たちが村に現れた。

彼らはまっすぐに、ヒメの診療所に向かった。彼らの目的が、タクミを捕らえることであることはあきらかだった。

「漂流者がここに運び込まれたそうだが、我々はその者に用がある」

リーダーと思われる若者が高圧的に言った。しかし、齢九十を超えるヒメにはその程度のはったりは通用しない。

「お疲れ様です。しかし、その者は今朝方、いなくなりました。記憶喪失だったようなので、錯乱して飛び出したのでしょう。おそらく、もう帰って来ますまい。もう、お役目は済んだはず、お茶でもいかがかな」

穏やかだが、強い意志を持った言葉に、男たちは怯んだ。

「いや、し、しかし、一応確認しなくては。診察室を見せてもらってもよろしいですか」

先ほどの高圧的な態度とは違い、完全にヒメのペースに飲まれている。

「どうぞ、どうぞ。器具には勝手に触らぬよう」


その後、男たちは、適当に見回りをして帰って行った。

「この後は、あの男が自力でなんとかするだろう」

ヒメは、自分が完全にタクミの味方になっていることに多少驚きながら、彼の無事を祈らずにはいられなかった。


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