レベル0 ゲームを始める前に
「あなたにとってRPGで一番大切なものはなんですか?」
機械的な女性の声が俺に質問を投げかける。
ちょっと間をおいてから4つの選択肢が目の前に現れた。
1,攻撃力
2,防御力
3,知力
4,素早さ
オリジナルオンライン。
半年ほど前にできた多人数同時参加型オンラインRPG、まあいわゆるMMORPGというやつである。
このオリジナルオンラインは、ここ半年で他のMMORPGを抜き去り、人気No.1で物凄い数のプレイヤーがプレイしているらしい。
この人気の理由には色々あるだろうが、まあ間違いなく1番の理由はゲームシステムだろう。
ゲームの名称の由来でもあるらしいが、自分だけのオリジナルキャラクターが作れるだ。
作れると言っても自分が好きなように作れるわけじゃない、ほぼ限りなくランダムなのだ。
最初で男か女かを選ぶことができるが、髪型、髪の色、目、目の色、口、鼻、耳、体系、肌の色、すべてがランダム。
それだけではない、覚えるスキルやステータス、装備できるものまでもランダムらしい。
つまり、戦士タイプで剣しか装備できないのに魔法スキルしかない、という雑魚キャラが生まれる可能性があるわけだ。
しかもこのゲーム1人1キャラしか作ることができない、キャラを消すのに1週間かかるらしい。
普通のMMORPGではまずこんなシステムにはしない、なぜなら強いやつと弱いやつとの差が大きすぎるからだ。
強いやつはとことん強いが、弱いやつはとことん弱い。
ただスキルの数が物凄いらしく、レアスキルやら1つしかないスキルやらがかなりの数あるらしい、だから運悪く弱いキャラになったやつでも続けているのかもしれない。
このゲームができた当初は絶対人気はでないだろうと踏んでいたのだが、まったくの間違いだったわけだ。
ここまで人気が出たらやらない訳にはいかない、昨日までやっていたゲームをやめてこのオリジナルオンラインを始めたというわけだ。
「う~ん」
ゲームを開始して最初に質問がいくつかあり、その質問の答えによってキャラの能力が決まっていくと公式サイトに書いてあったが、まさかこんなストレートな質問だとは。
おそらく攻撃力を選べば攻撃型の戦士タイプ、防御力を選べば防御型の戦士タイプ、知力なら魔法使い、素早さなら盗賊みたいな感じだろう。
限りなくランダムだと聞いていたから、どんなタイプになるのかもわからないんだろうと思っていたが、案外そうでもないのかもしれない。
1キャラしか作れないのでここは適当には選べない、基本的に俺はPTを組んでやろうとは思っていないので下2つの知力と素早さは除外する。
魔法使いや盗賊といったキャラはソロではなくPTで活躍するタイプだというのが一般的だと思う。
ということは……。
「攻撃力か防御力だな」
他のやつはどうか知らないが俺はRPGで攻撃力か防御力どっちがいいと言われたら……。
「やっぱここは攻撃力だな」
4つの選択肢の攻撃力を選ぶ。
「あっ!」
たまにやってしまうことがあるだろう、行きすぎて選択肢を間違って押してしまうことが。
一番上の攻撃力からさらに上に行こうとすると、一番下の選択肢にいってしまうのだ。
「しまった!」
機械的な女性の声が次の質問をしてくる。
「道が3つに分かれています、右、中央、左、あなたはどこへ行きますか?」
「ちょ! もどるは!? もどるはないの!?」
俺の叫びを無視して新たな選択肢が現れる、どうやら戻るいう選択肢はないらしい。
「はぁー、戻れないのかよどうしようかな」
どうしようと言ったものの、新たなキャラを作るのに1週間かかるので、もうこのまま行くしかい。
やる気がそがれたので質問には適当に答えていくことにした。
「それにしても質問多すぎだろ」
これでいったい何度目の質問だろうか、途中からめんどくさくなって数えるのをやめたがたぶん30~40だろう。
そういえば質問数もランダムだと書いていたような気がするがさすがにこれは多すぎる。
「最後の質問です、あなたにとってRPGで一番大切なものはなんですか?」
最後という言葉に喜んだものの、まさか同じ質問がくるとは予想外である。
まあでもここで最初の失敗を取りかえそう、今度こそ攻撃力を選んでやる。
目の前に選択肢が現れる。
1,素早さ
2,スピード
「選択肢ちがうじゃねえか! というかどっちも一緒じゃね!?」
思わず叫んでしまったがコンピューターは相変わらず無視である。
これどっち選んでも一緒じゃないんだろうか。
素早さとスピードの違いをしばらく考えてみたものの特に思いつかなかった、俺の語学力がたりないからだろうか?
まあたいして変わらないので適当に素早さを選ぶことにした。
「質問はこれで終了です、それではオリジナルオンラインをお楽しみください」
目の前がゆっくりと白く染まっていく、おそらくゲームのスタート地点に飛ばされるのだろう。
30分近く聞いていた声に別れを言う暇もなく目の前の世界が完全に白く染まった。
初めて書いてみましたが、自分の文章力の無さに涙が出ます。
たぶん続きます。