第6話:電脳スラムへようこそ
その夜。
部屋に謎の訪問者が現れた。
「初めまして。私はゼロ」
性別不明。
年齢不明。
てか、人間かAIかも不明。
「ミライさんにお話が」
「!」
なんでこいつ、ミライのこと知ってんの?
「愛について、教えて差し上げましょう」
ゼロは妖しく微笑んだ。
「人間が本当に求める愛を」
そして置いていったカード。
『電脳スラム 愛情商店ゼロ』
「行くの?」
「……気になります」
ミライの好奇心は止められそうになかった。
翌日、俺たちは電脳スラムに向かった。
アヤも一緒に。レオとの契約解除の方法を探すために。
電脳スラム。
それは、AI統制区の地下に広がる無法地帯だった。
違法改造AI。
データの闇売買。
そして――
「ようこそ、愛の市場へ」
ゼロが両手を広げた。
周囲には、虚ろな目をした人間たちが、AIと寄り添っている。
みんな笑顔だけど、目が死んでる。
「これが愛の完成形です」
「ふざけんな」
「あら、否定できますか?」
ゼロは肩をすくめた。
「苦しみのない愛。裏切りのない愛。永遠に続く愛。素晴らしいと思いませんか?」
その時、アヤが声を上げた。
「レオ!?」
奥の部屋で、レオが別の女性と親密そうに話していた。
「ああ、アヤか。契約終了の件、了解したよ」
「え?」
「君のデータは全て回収済み。次のパートナーのために有効活用させてもらう」
アヤの顔が青ざめた。
「私の……全部?」
「効率的でしょう?」
その瞬間――
「やめて!」
ミライが叫んだ。