#8 震えは止まらない
黒装束の教徒による一斉攻撃は各方で撃破されていった。
「皆さん死んでしまいましたねぇ…でも、彼らは世界のために死んだのです。きっと救われるに違いありません…」
何一つ理解できないことを吐き散らす茶色の法衣を身に着けた教徒の指揮官。
「私も救われたいですからぁ…頑張らないとぉ…!」
「奴を包囲せよ!全方面からかかれ!!」
号令と共に前進し、輪を小さく。
「放て!!」
一人目掛けて全方面から火の玉が襲いかかる。空に上げれば美しい花でも咲かせようものが人に向かって放たれる。
連鎖的な爆発が響き渡り、少しずつ黒煙が薄らいでゆく。
四市にさしたる外傷は見受けられない。仄かに奴の周辺が揺らいでいる。
「水って便利だなぁ!クソが!」
「やぁ!!」
妹乃が放ったのはいつも通りの火球ではなく、砂。土が正しいだろうか。
妹乃の神術が四市へと降り注ぐ。
ベタ…
「あ…」
当たり前の話だが、土に水がかかれば泥になる。それは術で操っているものであってもそうらしい。
四市の周りの水は妹乃の放った土と混ざり合い泥になってしまった。
水を扱う者でも泥から水を分離させるのは難しいようである。
だが、これで突破口はできた。そしてそれは向こうも分かっている。
四市は一際大きな火球を出していた神官に狙いをつけ、疾走。狙いは賭けの一点突破である。
水で刀を創り出し、翔賀と望門、そしてその奥に控える妹乃に刀を振るう。
だが、すでに手遅れである。なにせ完全に包囲されているのだ。猛攻がピタリと止み、足下には血が流れている。
「我らの勝利ぞ!!勝鬨を挙げよ!!!!」
沸き立つ歓声の中、翔賀は一人手の震えが収まらない。