#4 戦闘準備
連れられた翔賀が手渡されたのはよくある日本風の鎧兜………に加え、大型の盾が支給された。話を聞くには”神術”と呼ばれるものから味方の術者を守るためらしい。
式句を唱え、それに応じた現象を発生させる。
火、水、木、土、金の五つの属性、そこにある陰と陽の二極。
これがこの世界における”魔法”に相当するもの、”神術”である。
せっかく異世界に来たのなら魔法的なものは是非とも使ってみたい。が、もちろんなことながら式句なんて知っているはずもない。なので今は諦めた。いずれ使う時を夢見て翔賀は渡された鎧と盾を身に着ける。
(重い………)
日本風の鎧はどれだけ軽いものでも10㎏はあるらしい。特別鍛えているわけでもない現代人には厳しいものがある。ただし、この世界では大きな盾が装備されている。そのせいか鎧自体はそれほど重くはなく、機動力が重要視されているようである。おかげで翔賀でもなんとか動くことができた。
「む、来たか」
上司となった斯波嘉達は二又の飾りのついた鎧兜を身に着け、待っていた。流石に現地の人は似合っているなと翔賀は思う。渋いひげ面から鋭い目がちらつき、相応の威圧感を放っている。
翔賀も異性を気にしだす年頃である。それなりな見た目になっているといいな、などと全く関係ないことを思う。
「望門はそこの翔賀と共に行動せよ、よいな」
「ハッ!」
翔賀と同じような黒い装備を身に着けた同年代の少年である。筋肉量に関して大敗していることは言うまでもない。
「僕は『本居望門』。よろしく!」
「武田翔賀です。よろしく」