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異世廻転生  作者: しかくかに
一章 首都近郊編
15/55

一章#15 徒花に救いを

一里は4㎞程です

「目標はここより東に一里と半分程度の位置で発見された!奴らはこちらに向かって来ている!皆の者、怖気づくな!!」


薄い雨の中、馬が野を駆ける快音と兵士が踏み歩く音が静かに響く。


「歩哨勢!後方と側面を確認せよ!この辺りにいるはずだ!」


部将・斯波嘉達(しばかたつ)の号に従い数人が隊を離れ、間もなく。知らせは否、それよりももっと分かりやすい知らせが来る。

濁った雲は付近を覆い隠し、雨は静かにすべてを分け隔てなく滴る。東方を除き。


「なぁ…なんであっちだけ雨が降ってないんだ?」

「明らかに異常だ。きっと………」


「神官は神術を用意せよ!」


白い輝きが走り、各々が神術を構築する。

相も変わらず妹乃(せの)の神術は馬鹿デカい。自身に降ってくる雨を蒸発させていそうな火力である。

大きさのせいで場所がバレそうなのが玉に瑕。


「炎とは、頂けないわ。だって、焼いてしまうもの」

小雨は、雨に、雨は大雨にそして、やがて豪雨へと成り上がる。周囲の雨が上がり、一隊の下に集まるように降りしきる。警報でも鳴り響きそうな中、翔賀はただ凝視する。


以前とは異なる青緑色。正確には浅葱色だろうか。その色の法衣に身を包み頭に白い布を巻いている。いわゆる尼の格好である。多数の黒服の教徒を従え、その先頭に立っている。

翡翠の目を輝かせ、包み込むように両手を開き、手のひらを合わせる。


渇関世怨(かつかんぜおん)の名をもって、この津山紅葉(つやまもみじ)導士が徒花方に救いを差し上げましょう」


慈母のような微笑みを抱きながら、女はこちらに死を宣告する。

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