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異世廻転生  作者: しかくかに
三章 内乱編
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三章#18 再臨 参

「そうかいそうかい!!!キミは武田翔賀(たけだしょうか)というのか!!!ありがとう!!!」


そう感謝を伝える良秀(よしひで)に向かって鈍重な音が響く。


「おっと!!危ない!!!これは…あの時と同じカラクリだろう?可愛らしい陰陽師さん!!!」


掌に金属を作り出し、良秀は何かを確かに受け止めている。だが、次第に押し返しているように見える。


(すみ)も来てくれたのか」


恐らくは妖があの導士に攻撃を仕掛けたのだろうが惜しくも届かなかったようだ。


「なんたる多勢に無勢!!!このままではこの者たちを城へと通してしまうやもしれぬ!!!が!!!それは断じてならぬこと!!!今、城では面白いことが起こっていよう!!!それが無事終結するまで!!決してここは通さぬ!!!」


確かに数だけで言えばこの時点で四以上vs 一。普通ならば勝てるだろうが、先程までのやり取りを見て勝てると、そう太鼓判を押すのは無理というもの。逃げ腰と思われるかもしれないが全員でかかっても正直勝てる未来が見えていない。


良秀の背後にはいつの間にか(あずさ)がいる。さすがは隠密が得意な忍と言ったところだ。


「いざ来たれ!!!【飛翔】を説く者よ!」


そう導士は執事を呼ぶかのようにパンパンと手を叩く。

が、何も………


「翔賀!上だ!!」


身に着けた茶色の衣服を風ではためかせ、人がまるで隼のように落ちてくる。

なんとか頭上に掲げた刀とその五指に嵌められた鉄の爪が激しく激突し、赤い火花が咲き、散らす。


「お〜お〜!よく防いだなァ!いや、一人だったら無理だったろうなァ!」


空と見紛うような青い髪を刈り上げ、その目は猛禽のように鋭くこちらを見すくめている。ただまず目につくのは垂れ下がる程に長い袖と下の服が縫い付けられたその服だ。例えるならば、モモンガやムササビの皮膜に近い。


「オレ様は鷹峰颯(たかみねはやて)だ!留訪世怨(るほうぜおん)の名の下にテメエらを救ってやるよォ!」


======


(ここだ!)


舞い降りた説者が自身の名を叫んだ瞬間。梓は音もなく駆け出し、手にした刃を良秀の首目掛けて振るう。


「おぉ!ようやく出てきてくれたかい!!!キミはぼくの周りを嗅ぎ回っていた忍の子だろう?あれはぼくがキミたちと二回目に会った時のはずだ!!!」


首に届いた刃はこれ以上動かない。切っ先に小さな赤い玉を作っただけで、梓はその手首を良秀にガッチリと掴まれている。


「オイ!テメエ!オレ様の名乗りを邪魔しやがって!!!絶対許さねェ!!」

「まぁまぁ!!!待ち給えよ鷹峰説者!!!この者は忍なのだ!!!忍たるもの忍ばなければ!!!正面切っての戦いなど土俵が違い過ぎる!!ここはぼくの顔を立てて貰えるとありがたい!!!」


良秀の発言は完全にこの戦いを娯楽として見ている観客のそれだ。

より盛り上がるように、より楽しくなるように、殺人の舞台を整えている。


忘れようにも忘れられないその精神破綻を翔賀は再認識する。気狂いと、そう呼ぶに相応しい程に崩壊した精神性である。


命がかかっている。それは勿論翔賀たちだけではなくあの導士も新たに現れた説者の命も、失うか失わないかの天秤に乗っている。それを認識した上であの導士は賭け事をするかのように楽しんでいる。 


仮に推測が当たっているならば、あの良秀という導士は今ここで討伐しようともう一度蘇る。

死んでも生き返るという状況は確かに『死』という事象に対する感覚を歪ませるに足るのかもしれない。だが、それは自身の中で収めておくべきものだ。「自分の価値観ではこうだから」と主張するのは勝手だが、それを他人に押し付けた途端、ただの迷惑行為に堕落する。


そして、あの良秀という導士の行いは正しくそれだ。自身の価値観を強要し、その中で他人の命をもてあそぶ。そんな幼稚で最悪な存在があの導士である。



梓は掴まれた手首を起点に体を振り、良秀の体を足場に跳躍。些細な抵抗すらもなく、梓はその魔の手から逃れることに成功した。飛びのいた後、痛そうに手首をさすっている。


「おや!!!逃げられてしまったようだ!!!」


悔しがるような顔の一つでもしてほしいほどに良秀はその顔面に浮かべた笑みを絶やさない。


「さあ!!!やろうか!鷹峰説者!!!何人たりともこの先に進めてはならない!!!」



~~~~~~



美佳(みか)様!こちらへ!」


渡会家の現頭首である渡会美佳は衛兵に連れられ、避難していく。ここに暴徒が溢れるとは考えにくいが念を入れるのは大切なことだ。もし、という仮定が想像できるのなら、そのもしもをも対策するべきだろう。



「あっ、がっ」


首に違和感が巻き付いている。首にかかった違和感を拭おうと懸命に藻掻くがそれが叶わない。振り返っても何もいない。両脇の衛兵は何事かと辺りを見渡している。移動もせず、手にした槍こそ構えているが、その穂先は定まっていない。

意識が途切れた。


「美佳様!」


地面に伏す美佳様の肩を揺する。普段なら失礼な行為だが、今は緊急事態である。そうも言ってられない。

下を向いた青ざめている顔を上にし、呼吸を確認。無いと分かるや否や心の臓に手を当てる。


鼓動は無い。


「こんにちは~!はじめまして~。さよ~なら~!」


瞬時、視界が逆さまになる。天と地が反転したような感覚。目の前にはごうごうと燃える渡会の屋敷があった。

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