第5話黒き遺産と古代の真実
第5話:黒き遺産と古代の真実
遺跡から持ち帰った黒い宝玉。それを手にした俺たちは、村に戻るとすぐに冒険者ギルドの受付嬢レナに報告した。
「黒い宝玉、ですか……?」
レナは慎重にそれを手に取ると、眉をひそめた。
「見たことはありませんが……強い魔力を感じますね。もしかすると、古代遺跡に眠る"呪われた遺産"の類かもしれません。」
「呪われた……?」
エリスが警戒したように身を引く。
「ええ。黒い魔力を持つアイテムの多くは、過去の大戦で使用された禁忌の道具と言われています。扱いを誤ると、持ち主の精神を蝕んだり、魔物を引き寄せたりすることも……。」
「そんな危険なものなのか……。」
俺は思わず宝玉を見つめる。
(だけど……何か引っかかる。この宝玉はただの"呪われた遺産"とは違う気がする……。)
俺が迷っていると、ギルドの奥から初老の男性が歩み寄ってきた。
「それを……少し見せてもらっても?」
「えっ、ロイドさん?」
レナが驚いた声を上げる。ロイドと呼ばれた老人は、この村で長年ギルドの記録を管理している元・宮廷魔術師だ。
「これは……まさか……!」
ロイドは宝玉を手に取ると、顔を険しくした。
「何か知っているのか?」
俺の問いに、ロイドは深く頷く。
「この宝玉は、"王の遺産"の一つに違いない……。」
「王の遺産?」
エリスと俺は顔を見合わせる。
「古の時代、この世界を統べたとされる"光と闇の王"が残したとされる秘宝だ。伝説によれば、"光の王"と"闇の王"は千年前に相争い、互いを滅ぼした。しかし、その力の一端は遺物としてこの世界に残されていると言われている。」
「じゃあ、これは"闇の王"の遺産……?」
「その可能性が高い。」
ロイドは神妙な面持ちで頷く。
「"闇の王"は、かつて"光の王"によって封印されたと言われている。だが、もしその力が蘇れば——世界に大きな混乱をもたらすだろう。」
「そ、そんな……!」
エリスが不安げな表情を浮かべる。
俺は再び宝玉をじっと見つめた。
(この遺産をどうするか……。)
何か嫌な予感がする。
——この宝玉は、俺が持つべきものなのか?
夜の襲撃
その夜。
俺たちはギルドの宿屋に泊まり、明日どうするかを話し合っていた。
「悠斗、やっぱり危険すぎるわ。このままギルドに預けて、王都に送ってもらったほうがいいんじゃない?」
エリスの言うことはもっともだ。だが——
「いや……俺が持つよ。」
「えっ?」
エリスが驚いた顔をする。
「この宝玉には、何か俺と関わりがある気がする。あの異形の騎士も言っていた。"俺の力と酷似している"って……。」
「でも……!」
「大丈夫だ。俺には"神威の創造"がある。もし本当に危険なものなら、それを封じることもできるはずだ。」
俺がそう言い切ると、エリスはしばらく考え込んだ後、小さくため息をついた。
「……分かった。でも、もし何かあったら、すぐに捨てるのよ?」
「もちろん。」
そう約束した、その時だった。
ドォンッ!
突然、爆音が響き、宿屋の窓ガラスが砕け散る。
「な、なんだ!?」
外を見ると、黒いローブを纏った者たちが村に侵入していた。
「宝玉を渡せ……!」
ローブの男たちが俺たちを睨みつける。
「くそっ、やっぱり狙われていたのか!」
「悠斗、来るわよ!」
エリスが魔法を構える。俺もすぐに"神威の創造"を発動する。
「創造——鋼壁の盾!」
宿屋の入り口に巨大な鉄壁が現れ、敵の進行を防ぐ。
「力を……試させてもらおう……!」
その中から、一人の男が前に出た。
他の奴らとは違う……不気味な魔力を纏っている。
(こいつ……強い!)
俺の中で、警鐘が鳴り響いた。
「悠斗、どうする!?」
「やるしかない……!」
俺は"神威の創造"をさらに発動し、次なる武器を作り出す。
「創造——白雷の剣!」
雷光を帯びた剣が俺の手に現れる。
「来い!」
次の戦いが、幕を開けた——!
---
次回予告
突如襲撃してきた謎の集団。その目的は、悠斗たちが持つ"王の遺産"だった。強敵を前に、悠斗は"神威の創造"を駆使して立ち向かうが……?
次回、「雷光の剣と闇の刺客」
お楽しみに!