第2話追放された先での出会い
第2話: 追放された先での出会い
ギルドでの登録を拒否された俺は、呆然としたままギルドを後にした。街の中を歩きながら、色々と考えた。どうして俺が選ばれてこのスキルを授かれたのか、それにどうして冒険者ギルドですら使い道がないと言われたのか。
「まったく、どういうことだよ。」
つい口に出してしまうほどの怒りが込み上げてきた。こんなにも強力なスキルを手に入れて、世界を変えるつもりでいたのに、ただの町の外れに追いやられるのか。
その時、ふと視界の隅に一人の女性の姿が見えた。彼女は汚れたローブを着て、少し肩を落としながら歩いている。何かに悩んでいる様子で、目は虚ろだった。
「うーん、どうしよう……」
俺は何気なく彼女の横を通り過ぎようとしたが、彼女が突然、つぶやいた言葉に耳を澄ました。
「……私も、追放されちゃった。」
思わず足を止めて振り返る。彼女が俺の視線に気づき、少し驚いた様子で目を合わせてきた。
「え? 追放?」
「はい……ギルドに登録したんだけど、スキルが使いこなせなかったの。」
「……そうか。」
俺も、まさに今、その立場だった。ギルドに登録を断られた理由は、自分のスキルがあまりに強すぎて、使い方が分からなかったからだ。彼女も似たような理由で追放されたのだろう。
「僕も、似たようなもんだ。」
彼女は少し目を丸くして俺を見つめる。
「本当に?」
「うん。俺も【神威の創造】ってスキルを授かれて、最強だって言われたけど、使い方が全然分からなくて。だからギルドでも登録を断られた。」
「それなら、似てるわね。」
彼女の表情が少し和らいだ。彼女は俺と同じような境遇で、少しだけ安心したのかもしれない。
「私は、【魔法使い】として登録しようとしたけど、使える魔法が多すぎて、どれを使えばいいのか分からなかった。結局、誰にも教えてもらえずに追放されちゃった。」
「なるほど……それじゃあ、僕たち、同じように使えないスキルを持ってるってわけか。」
彼女はうなずき、少し笑った。
「そうね。でも、もしかしたら一緒に旅をすれば、何か解決策が見つかるかもしれないわよ。」
その言葉に、俺は少し驚いた。彼女の目は真剣そのもので、どこか前向きな雰囲気を漂わせていた。
「一緒に旅……?」
「うん。あなたみたいにスキルが強すぎて困ってる人と一緒なら、私も学びながら進めるかもしれないし、何より一人より二人の方が心強いわ。」
その提案は意外にも魅力的だった。確かに、こんな強力なスキルを持っているのに、使い方が分からない俺一人では何もできないかもしれない。でも、彼女と一緒なら、きっと何か新しい道が開ける気がした。
「よし、一緒に行こう。」
俺は決心して答えた。彼女は嬉しそうに笑顔を見せ、頷いた。
「名前は?」
「エリス。あなたは?」
「天城悠斗だ。」
「じゃあ、悠斗。これからよろしくね。」
「うん、こちらこそ。」
俺たちは、新たな冒険の始まりを感じながら、一歩を踏み出した。
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その後、エリスと共に旅を始めた俺は、次第に自分のスキルの使い方が分かってきた。最初は不安だったが、エリスのサポートと共に様々な出来事を乗り越えるうちに、少しずつ自信がついてきた。
しかし、この世界には俺たちの想像を超える危機が潜んでいた。俺が持つ【神威の創造】というスキルは、ただの強力な能力ではなく、世界の運命を変える力を秘めていたのだ。
その事実に気づいたのは、ある日、俺たちが訪れた小さな村でのことだった。