第29話・過保護寄生惑星【因】と【果】
地下鉄から竜剣丸がホテルに帰ってくると、ウェルウィッチアが床で腕立て伏せをしていた。
ウェルウィッチアが言った。
「お帰りなさい、ずいぶん早かったわね」
「地下鉄がホテルの下の駅まで繋がっていたから……ウェルウィッチア超おばさま、このレゾン・デートルについて知っているコトを詳しく教えて」
「そうねぇ『子供は親が選んだ収入が安定した仕事に就くのが最大の親孝行』──『子どもの人生は親の人生の延長』って考えが定着しているってコトかしら」
テーブルの上に花を差した花瓶を置きながら、夜左衛門が言った。
「この星では、親が決めた仕事に就いて成功すれば『ほらね、言った通りにして良かったでしょう』と言われ、親に反抗して別の仕事に就いて失敗すれば『だから言ったでしょう、言われた通りの仕事に就かなかったから』と言われるみたいですよ」
「じゃあ、親が選んだ仕事で上手くいかなかったり、子供が自分で選んだ仕事が上手くいった場合は?」
「親が選んだ仕事で上手くいかなかったら『子供の努力が足らないから』子供が自分で選んだ仕事が上手くいっていたら『今だけ、必ず失敗するから』と言われるみたいですよ」
「本当にムカつく星だな、何が幸福星だ」
ペラペラの腕を組んで、しばらく考えていた竜剣丸が何かを決断した口調で言った。
「決めた、この星で単独野外ライブをやる! 親が子供の人生を決める星の体制か習慣か知らないが、ワケが分からないモノをぶっ壊してやる!」
腕立て伏せから、腹筋運動に移って汗を流しているウェルウィッチアが言った。
「思った通りにやりなさい、必要なモノは手配するから」
「じゃあ、野外ステージの手配とライブ機材とスタッフ……それとチラシの手配をやってやるぜ」
◆◆◆◆◆◆
翌日、竜剣丸は眼鏡少年が立ち寄っていると言っていた公園にやって来た。
少年はガゼボの近くにいた、竜剣丸が見ているコトに気づいていない様子の少年は、竹を編んで球体にした特殊なタンバリンをサッカーボールを扱うように足でリフティングして音を生み出していた。
球体のタンバリン楽器を絶妙な力加減で蹴りあげて、足や体で叩いて音を出す。
数分間、リフティングをしていた少年は、落ちてきた中空のタンバリンをキャッチする。
体を少年に対して横向きにして、一本の線のように見えていた竜剣丸が、少年と向き合う姿勢になって言った。
「上手いじゃないか、おまえ、スゴいよ」
いきなり現れたように見える竜剣丸に、驚きの声を発する少年。
「わぁ! びっくりした?」
少年は急いで球体タンバリンを、手提げバックの中に隠す。
「なんで隠すんだ? 堂々としていればいいじゃないか」
「両親が決めた仕事とは関係ない特技だから……自分が進む職種に、こんな特技必要ないから」
少しタメ息をもらした竜剣丸は、今朝完成したばかりの野外ライブのチラシを少年に渡す。
「明日、そこで無料の単独野外ライブやるんだ、絶対来いよ」
竜剣丸は地面に落ちていた小石を拾うと、少し離れた場所に吊り下げてある鐘に当てて音色を響かせた。
竜剣丸が少年に質問する。
「今の鐘の音階わかるか」
「ラの音かな?」
「そうか、わかったか……さっき、絶対来いって言ったけれど。最終的な判断はおまえ自身だからな……じゃあな」
それだけ言い残して歩き去っていく、竜剣丸の呟き声が少年から遠く離れた位置から聞こえてきた。
「レオノーラ姉ちゃんが、極楽号のサンドリヨンで打楽器系のダンスパフォーマーができるユニットメンバーを集めているって言っていたな……オレ、とんでもない才能の逸材を見つけちまったかも」
その日の夕刻、竜剣丸、ウェルウィッチア、アラバキ夜左衛門に加え数名のライブスタッフは駅前で野外ライブのチラシを配っていた。
「無料ライブやります、ぜひ来てください」
「よろしくお願いします」
チラシを受け取った人の反応はさまざまだった
──チラシを無造作にポケットにねじり込む者。
興味なさそうにチラッと見てから丸めてゴミ箱に捨てる者。
目を通してから丁寧に折ってカバンに入れる者など。
チラシを配り終えた時は、周囲が暗くなっていた。丸めて捨てられているチラシを拾い上げながら夜左衛門が言った。
「たくさん、ライブに来てくれるといいですね」
◆◆◆◆◆◆
翌日──幸福星【レゾン・デートル】の野外コンサートステージ。
ポツポツとしか立ち見客がいない客側に向かって、一人ステージに立った竜剣丸がマイクを通して言った。
「来てくれてありがとう! 最後まで熱く楽しませるよ!」
竜剣丸の単独野外ライブがはじまった。竜剣丸の歌声に少しづつ通行人も足を止めて集まってくる。
数曲が終了した頃には、かなりの人数の若者が竜剣丸の歌を聴き入っていた。
客側スペースには、竜剣丸をペーパーナイフで刺した少年の姿も見えた。
アイドルユニットのリーダーであり、単独ライブもこなす二次元アイドルの竜剣丸が熱唱する。
「みんなぁ! いっくよぅぅ! 弾けろぅ!」
事件は突然起こった。
客席の後ろから曲の最中に怒鳴り声が聞こえてきた。
「バカ騒ぎは今すぐやめなさい! 集会を中止して解散しなさい!」
曲が止まる。見ると親たちが怒りの表情で最後尾に立って、ステージを睨みつけていた。
「この星にこんな、子供の心を乱す悪影響は必要ない! 子は親の決定に従っていれば幸せな人生を送れるんだ! さあ、家に帰るぞ」
数人の親が、嫌がる我が子の腕をつかんで連れ帰ろうとしているのが見えた。
マイクをつかんだ竜剣丸が親たちに向かって、抗議する。
「やめろよ、嫌がっているじゃないか! 子供の人生は親の人生の延長じゃない! ちったぁ、子供の気持ちも察してやれよ」
「黙れ! 恒星外から来た者の余計な介入はやめてもらおうか……この星には、この星のやり方がある……子供の心を乱すな!」
竜剣丸と親たちの一触即発の雰囲気の中、子供のたちと親の間に、ウェルウィッチアが割って入る。
「落ち着いて、子供に安定した仕事に就いてもらいたいという親の気持ちもわかる……でも、個の可能性の芽を……」
言葉の途中でウェルウィッチアの首が落ちた。首から虫のような足を生やし、逆さになった首は笑いながら親たちの方へ蛇行して近づいていく。
「ケッケッケッケッ」
「うわぁぁ!? 化け物!!」
逃げていく親たちに向かって、今まで親から押しつけられて言いたいコトも言えずに、うっ積されていた気持ちから解放された子供たちの歓喜の声がライブを再開させた。
曲に移る前に竜剣丸が言った。
「みんなに一つ伝えておきたいコトがあるんだ、聞いてくれぇ」
マイクを持ってステージから、観客側に降りた竜剣丸はペーパーナイフの少年の前に立つと、マイクを通して言った。
「極楽号の衛星国家『サンドリヨン』で、国が主催している才能発掘プロジェクトで、打楽器バンドのユニットメンバーを募集している……踊れて演奏パフォーマンスができる者なら子細は問わない、良かったらオーディションに挑戦してみないか……サンドリヨンの住人になって」
手を差し出す竜剣丸。少年が躊躇していると、周囲から声援が聞こえてきた。
「やってみろよ!」
「あたしたちの希望になって!」
「応援するぞ!」
うなづいた少年は、竜剣丸の薄っぺらな手を握る。
拍手が沸き起こり、数発の花火が上がる。上がった花火の中からパラシュートをつけたキューブがユラユラと下降してきて、ジャンプした竜剣丸は宝のカギをキャッチした。
「父ちゃん、演出しすぎだよ」
織羅家は【ナバー】【ペアレント】に続いて【レゾン・デートル】で三個目のカギを手に入れた。
◆◆◆◆◆◆
紫色恒星内を不安定軌道で周回している、不可視彗星『メジェド』が、寄生過保護二連星【因・果】 の近くを通過する。
不可視彗星と呼ばれているが『メジェド』は、ゼリーの塊のような彗星で、二つの目がある星だった──恒星内を回っているので常に彗星の尾が引いている、メジェドは本当に星なのかさえ疑わしい謎の星で、もしかしたら生物なのかも知れないと推測されている。
女性期に入ったディアの女声が、極楽号のパノラマ展望室に聞こえてきた。
《レオノーラさま、不可視彗星『メジェド』はもうすぐ、目だけを残して不可視になります。陰に隠れていた二連星がはっきりと見えるようになりますから》
レオノーラたちが極楽号の、広い眺望ができる場所で見ているのは謎の彗星ではなく、寄生過保護二連星【因・果】の方だった。
大と小の惑星がハゴロモグモの巣のような物質で繋がった二連星【因・果】──得体の知れない不快感を覚える星だった
。
床に仰向けに寝そべり、膝を曲げて腹筋運動をしているウェルウィッチアが言った。
「あの二連星には誰が行く?」
床に畳を敷いて、簡易囲炉裏の前で緑茶をすすりながら、グレム・リンが言った。
「おらが行くだぁ……ちっこい方の星に」
数名の執事とメイドの従者を従えてソファーベッドに座った織羅家の長女、芽理ジェーヌも優雅にワインを飲みながら言った。
「わたくしも、大きい方の星におじゃまいたしますわ」
腹筋運動を続けているウェルウィッチアが、困惑した口調で言った。
「困ったわね、両方の星に見届け人のあたしは同時には行けないし……何かいい方法は?」
レオノーラが言った。
「じゃあ、首と体を別々にして大きい星と小さい星に分けたらどうかな……ウェルウィッチア超おばさまなら出来そう」
レオノーラは、続く「……化け物みたいな」という言葉を言いそうになって慌てて飲み込む。
「レオノーラは大胆なコトを考えるわね……でも、そのアイデア使える。暴走する首を監視する人間が一人必要だけれど……例えば、いざとなったら暴れる首を躊躇なく正確に叩き斬るくらいの腕前の剣士とか」
その場に、寝込んでいるセレナーデが同席していたら大反対しそうな無謀な無法的なアイデアだった。
レオノーラが言った。
「それじゃあ、仁・ラムウォッカ・テキーララオチュウ・ギンジョウワインさんに同行してもらいましょう……仁さん、退屈していたから」
斯くして【因・果】の大きい星【因】の方には、芽理ジェーヌとウェルウィッチアの体が。
小さい星【果】の方にはグレム・リンとウェルウィッチアの首と、仁・ラムウォッカが同行するコトになった。
数時間後の【因】──白い真綿のようなクモの巣状の物質に覆われた地表に、芽理ジェーヌとお付きの若い執事数名。それと、首がないウェルウィッチアの体が降り立った。
過保護惑星【因】には、二十メートルほどのアリ塚か群生したフジツボのような建造物があり、一つ一つの穴から恍惚とした表情の大人の男女が首や顔を覗かせていた。
穴から顔を覗かせているやつれた大人たちの、呟く声が聞こえてきた。
「あぁ……わたしたちはなんて幸せなんだろう、子供たちに永遠に養分を与え続けるコトができて幸せだ」
穴の中で萎びてミイラ化した大人の体が排出されて空き穴が生じる。
少し離れた位置から眺めていた芽理ジェーヌが、眉を歪めた不快そうな微笑み顔のまま口元をハンカチで隠す。
「なんて、おぞましい星でしょう……子離れできない親たちが、喜びを感じながら養分を子供に与え続ける過保護の星なんて」
ウェルウィッチアの首がない体は、無言でスクワットをしている。
芽理ジェーヌが、親塚を見上げていると背後から聞き覚えがある声が聞こえてきた。
「なんだ、この気味が悪い建造物は?」
振り返ると、そこにザガネ総帥が立っていた。
芽理ジェーヌが言った。
「あら、あなたもこの星に?」
「織羅家の宝のカギが、一つだけしか手に入れていないからな……隙があれば奪うと言っただろう、うわっ!? なんだ? その首なしスクワット女は?」
ウェルウィッチアの体を指差して叫ぶザガネ。
スクワットを続けているウェルウィッチアの乳が上下に揺れる。
芽理ジェーヌが白蛇の尻尾を揺らしながら答える。
「ウェルウィッチア超おばさまですわ、首の方は金の鳥カゴに入れて小さい星の方に行っていますわ」
ザガネが芽理ジェーヌの蛇身を、横目で見ながら言った。
「ヘビの尻尾を動かすな」
「えっ⁉」
「オレはヘビが大嫌いだ、ヘビは毒を持っている、ヘビは足が無いのにニョルニョルと動く……そして爬虫類臭い、泥沼の臭いも漂ってきそうだ、表面もヌルヌルとかしていそうで嫌いだ」
笑顔で目を細めている芽理ジェーヌの額に、怒りの青筋が浮かび、ヒクッヒクッと怒りに頬が痙攣する。
「わ、わたくし臭くはありませんわ。毒も持っていませんわよ……爬虫類の表皮はヌルヌルもしていませんわ」
「尻尾を動かすなと言っているだろう! ついでにヘビ皮の下着を付けている女も嫌いだ!」
この時の芽理ジェーヌは偶然、ヘビ皮の下着を着用していた。
◆◆◆◆◆◆
同時刻の【果】の方にはグレム・リンと仁が来ていた。
「なんだぁ、この変な建造物みたいなのは?」
【因】にあるのと同じ塔塚には、穴から親離したくない成人年齢をかなり越えた子供の顔が覗いていた。
穴の中から声が聞こえてくる。
「親から離れたくない……ずっと養分を吸収していたい、親が我が子に養分を生涯与え続けるのは当たり前……あぁぁ」
恍惚とした表情の子供の中には、中年に到達している者もいた。
グレム・リンが、数珠繋ぎのゴキブリ触角を蠢かせながら言った。
「なんだか、よくわからねぇ星だぁな……宝のカギはどこにあるだぁ?」
グレム・リンの近くには、刃紋が炎の形をした魔刀を天秤担ぎして、黒いツナギ型ライダースーツの腰にノンアルコール飲料の『救世酒』が入った朱色のヒョウタンを下げた。
仁・ラムウォッカ・テキーララオチュウ・ギンジョウワインが立っている。
仁の足元には金の鳥カゴに入った、ウェルウィッチアの生首が置いてあった。
鼻筋に傷が残る、仁が言った。
「その胸くそ悪い、寄生虫の入った建造物みたいなの叩き斬ってもいいか? たくさんあるから一つくらいいいだろう」
鳥カゴに入った、ウェルウィッチアの首が喋る。
「ウケケケッ……【因】と【果】の状況がわからないまま、破壊してはダメです……これが、この二連星では重要なシステムかも知れないので……ケッケッ」
ウェルウィッチアの首は、金の鳥カゴの中で理性を保っていられた。体の方とも感覚で繋がっている。
「体の方の星に、ザガネ総帥が現れたみたいですね……あっ、その言葉は芽理ジェーヌの逆鱗に触れるから口にしない方が『ヘビが嫌い』だなんて本人の前で直接言うなんて……あ~ぁ、怒らせちゃった。し~らない」
◆◆◆◆◆◆
過保護星【因】──ザガネのヘビ嫌い発言は続く。
「ヘビは海や沼にもいる、砂漠にもいる、体を平たくして空を飛翔するヤツまでいる……この銀牙系には、鳥の羽根みたいなのが生えたヘビや、毛むくじゃらのヘビ、体が透き通っていて内臓が見えるヘビとか、鎧みたいなウロコのヘビもいて気味が悪い」
ザガネのヘビに対する悪態を痙攣した笑みを浮かべながら黙って聞いている、芽理ジェーヌの額に縦の亀裂が走り中から青い宝石が覗く……青い宝石は点滅をはじめる。
ピコーン、ピコーン、ピコーン……次第に点滅の間隔が短くなっていく……ピコッピコッピコッ。
芽理ジェーヌが反論してこないコトに調子に乗ったザガネが、ついに芽理ジェーヌの逆鱗に触れる言葉を口にする。
「ヘビなんて絶滅しちまぇ!」
芽理ジェーヌの額の宝石が赤くなって、点滅が停止する。
同時には怒りの形相に変わった芽理ジェーヌが鋭い爪が露出した手で着ている純白ドレスを引き千切る。
「アッガガガガガアァァァァァァァァ!!!」
獣性が覚醒した、芽理ジェーヌの目が赤く光り。
蛇身の尾が八本に分岐する。人間の裸身上半身には側面や背中側にウロコが強く浮かび。髪の毛がメドゥーサのようなヘビ髪に変わる。
牙を剥いたヘビ女の姿に怖れて逃げ出したザガネ総帥を追う、織羅家の長女。
芽理ジェーヌの従者である『裸身隠し隊』のメイドたちが手馴れた様子でひざまづき。
芽理ジェーヌの怒りを鎮める祈りと踊りをはじめた。
「芽理ジェーヌさま、どうか怒りをお鎮めください……メリジェーヌ、メドゥーサ、ゴルゴーン 、クズリュウ、シシウトゥル、ヒドーラ、ナーガ、オロチオロチ」
怒る芽理ジェーヌの爪が腰が抜けた、ザガネ総帥の近くの地面をえぐる。顔面蒼白で悲鳴を発するザガネ。
「ひっ⁉」
「フシュゥゥ……ガアァァァ!」
祈りの歌声が芽理ジェーヌの耳に届き、獣性が消えた芽理ジェーヌの姿が人の姿にもどる──下半身蛇身で全裸の芽理ジェーヌに向かって、駆け寄った『裸身隠し隊』のメイドたちが、白いシーツで芽理ジェーヌの裸身を包み隠し。
執事たちが芽理ジェーヌの替えのドレスを手に、移動式の試着室を引いて芽理ジェーヌに近づく。
我に返った芽理ジェーヌが、恥ずかしそうに顔を赤くする。
「あたくし、また怒りで我を忘れてしまったのですね……お恥ずかしいですわ」
ザガネの方に目を向けると、地面に仰向けに倒れたザガネは白目を剥いていて、股間には失禁のシミが浮かんでいた。
「あらあら、気絶させてしまいましたわね」
その時、閉じ込められている親たちが子に養分を提供している建造物の空き穴から触手のようなモノがザガネに伸びてきて、気絶したザガネの体を足の方から穴の中に引っ張り込む。
穴から首を出したザガネの顔に恍惚とした表情が浮かぶ。
「あ"あぁ……子供たちに養分の提供……気持ちいい」
ザガネの体は寄生星【果】の子供たちに養分を提供するためのパーツにされた。
◆◆◆◆◆◆
寄生星【果】──カウダ・ドラコニスが抱えた鳥カゴに中で、ウェルウィッチアの首が言った。
「あちらの【因】では、ネオ・サルパ帝国の方が【果】の子たちに養分の提供を強要されているみたいです……養分の配給ラインを、早めに断ち切らないと死にますね」
救世酒を仰ぎ呑んでいる仁が、グレム・リンに訊ねる。
「どうだ、こっちの星に宝のカギはありそうか?」
「なさそうだぁ……あるとすれば、向こうの方から強い力を感じるだぁ」
「過保護星【因】からか?」
「ちがうだぁ、星と星の中間辺りに何か機械みたいなのがあるだぁ。機械生命体のオラにはわかるだぁ」
グレム・リンたちは、二連星を繋ぐ中間空間へと向かった。




