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初秋2
「カホちゃん久しぶりだね。同じ高校だったんだね」
はいと答えてニコニコしている。こういう顔はアイツに似ているなぁ。
たしかカホちゃんは2つ下。記憶の中の彼女はもう少し大人しそうで、声も小さかった。
セミの声が少なくなり、陽が落ちるのも徐々に早くなってきた頃。
そんなになってようやく気が付いたのは少し申し訳ないような。
「どうしたの?兄は元気?」
取り留めのない話題を振る。本人よりもまず兄の事を聞いてしまう程度に印象が薄かったのだ。
「兄も元気です」
「も」という部分に含まれていることを察知する。何か話があってここにいたんだろうと。




