表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/65

第01話 別れ

「……(かー)ちゃんッ! 助けてぇー!」


 ぼくが必死で叫んでも何も変えることはできないって分かってた。


 この底の見えない崖の下に落ちていくだけ。


 それでも……届かないって分かっていても。


 ぼくは必死で手を伸ばしていたんだ。


 そんなぼくから(かー)ちゃんは決して目を離さなかった。


 血だらけの自分の姿なんて気にもせず。

 痛みを忘れたように笑って――

 ぼくに向かって腕を伸ばして――

 そしてぼくは深い深い崖の底へ落ちて行ったんだ。


 最後にぼくへ向けて言った言葉は、(かー)ちゃんに群がった獣たちの叫び声に紛れて聞き取ることができなかった。

 それだけが気になったけど――

 もう……この深さじゃ助かりっこない。

 魔法(まほー)が使えるなら助かる可能性もあるんだろうけど、ぼくはあつかえたことがない。

 底にへばりついて生きるものだと思っていたけど、まさか実際にこんな高さの崖から落ちてへばりつくことになるなんて思ってもいなかった。

 ぼくは生まれながらの落ちこぼれだと分かっている。

 だから。

 期待を込めた目。

 あこがれを込めた目。

 

 どころか――


 がっかりした目。

 バカにする目。

 軽べつする目。


 すべてに、えんがなかった。


 だって、本当(ほんとー)の落ちこぼれは……誰にも『にんしき』されないものだから。

 だから……いても、いない。

 空気のような存在ですらない。だって空気は大事だからいなくなれば誰でも困る。

 だから……ぼくがいなくなっても……誰も困らない。

 それは言い過ぎかも。(とー)ちゃんと(かー)ちゃんと(ねー)ちゃんだけは、ぼくの六才の誕生日(だんじょーび)を祝ってくれようとしていた。

 けど……もう……


 そんなことを考えているうちに、ぼくの記憶はそこで途切れてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ