花梨の事情。
「それで。その彼は、どうなったの?」
ベッドで、コーヒーを、飲みながら、諒は、聞いた。職場から、真っ直ぐ、来たという彼は、スーツにしわがつくのを、畏れ、ハンガーにかけた。しわが、つくと、奥さんに、勘ぐられるのが、面倒なのだ・・・。
「別に、どうって事無いけど・・・。」
花梨は、飲み終えたカップを、キッチンに置こうと、枕元にあったバスタオルうぃ、体に、巻きつけた。諒との、関係も、5年くらいになる。あの、瞬と、別れてから、知り合った。当初は、諒も、独身だったが、花梨とは、上手くいかず、別の女、綾と、デキ婚したのだ。別れても、職場が、同じというのは、難しいもので、諒と花梨は、不倫という形で、付き合う事になっていた。
「ただ・・・。懐かしいなー。ってか。その頃の自分がね」
「ふうん。」
「妬いてる?」
「別に。」
「誰かさんみたいに、突然、裏切って、他の女とデキ婚しまーす。なんて、事。あたしは、できないから」
花梨は、諒を、にらみつけた。
「あん時は、ショックだったなー。6キロ痩せた。」
「また。それをいう。あいつが、積極的だったからさ」
・・・その時の、復讐で、あたしは、あなたと不倫関係をつづけているのかな。・・・
花梨は、口には、出さなかったが、そう思った。諒が、時計を気にし、始めた。
「そろそろ帰る?」
今、花梨は、大人の女性らしく、一人暮らしをしているが、まだ、諒が、花梨のマンションに泊まった事は、なかった。いつも、時間が、来ると、諒の顔は、幼稚園児の父親の顔になり、帰り仕度を始める。
「うん。時間を守らないと、この次、逢えなくなる。」
「そうね」
仕方なく、ハンガーから、諒の、スーツを手渡した。
「君は、この後、どうするの?」
「実家に、妹達が、来てるから、顔くらいだそうかと。」
「そう」
「別に、出るから」
「じゃ。また」
諒は、すばやく、着替えると、後ろを、振向く事なく、玄関に向かった。
「終わりにしようか?」
小さく、花梨は、呟いた。
「えっ?」
諒は、振向いた。
「もう、逢うの。やめよう」
ドアから、振向く、諒を、押し出し、花梨は、鍵をかけた。
「花梨」
「終わりだから」
諒も、それを、考えていたのか、抵抗は、なかった。ドアの前で、困惑する様子は、あったが、時間が、ないのか、すぐ、立ち去る気配が、あり、メールが、届いた。
・・・その話は、また。後で・・・
そう言って、何度も、繰り返してる現実があるじゃないか・・・。
・・・終わりだよ・・・
花梨は、呟き、メールをうった。もう、こんな関係やめよう。ため息をつく、花梨の、脳裏に、瞬の、懐かしい笑顔が、浮かんでいた。




