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命の火。

ひとつ、ひとつの出来事が、スローモーションのごとく、目に映っていった。意識が、しっかりしていたのは、泣きじゃくる颯太が、居たから。颯太を、守らなきゃと、いう気持ちが、働き、今、目の前で、起きている事を、冷静に、受け止め、目の当たりにしていた。

「お姉ちゃん・・・。」

「大丈夫だから」

それは、願い。大丈夫であってほしいという。これ以上、この子が、親を失うという事実は、あっては、ならない。それは、自分が、関わってしまったという、責任かもしれない。そう、思いながら、花梨は、目の前で、くり広がる出来事を、テレビでも、観賞するかのように、見ていた。シャツの、持ち主は、やはり、諒だった。飛び出した颯太を、追いかけ、車に、衝突しかけた、颯太を、かばい、諒が、犠牲になった。息は、あるのか・・・。その場に、駆けつけた医師達に、人工呼吸を施され、運び込まれたタンカーに、乗せられた。

「家族の方!」

事務服を、来た男性に、声を、かけられ、花梨は、抵抗なく、救命室脇の、ソファーに、座らせられた。

・・・・何度、この、ソファーに、座っただろう・・・。

呆然としながら、目の前の、時計を見ていた。

「最善を尽くします」

もう、一人の医師から、説明を、聞かされたが、気持ちは、何処かに行っていた。一瞬のうちに、いろんな事が、起きてしまい、感覚が、麻痺していた。周りは、白濁して、現実に、起きている事とは、思えない。

・・・今、諒の、命は、消えようとしている・・・

思えば、諒との、出逢いは、以外だった。まさか、自分達が、付き合う事になるとは、思えなかった。

諒の事を、気にする女性は、何人かいたが、花梨は、眼中になかった。たまたま、会社の、イベントで、外出する際、突然、諒に、お弁当作りを、頼まれたのが、キッカケだった。

「そうだったよね。」

花梨は、思い出し、ふっと、鼻で笑った。諒との、思い出が、こんなに、あるなんて。自分は、諒とは、終わったつもりでいた。瞬が、好き。瞬と、いると、心が、安らぐ。でも、どうして、こんなに、諒との、思い出に縛られるんだろう。

「お姉ちゃん」

颯太が、伸び上がって、花梨の、両目から、あふれ出る涙を、ふき取った。自分でも、意識してなかったが、涙が、零れ落ちていた。諒の、事を、思うと、苦しい。

「ごめん・・・。」

花梨は、うつむいた。本当なら、自分が、颯太を、慰めなきゃならないのに・・。

「本当。ごめんね。」

諒が・・・。諒拳を、握り締めた。

・・・結婚しよう・・・

何年も前に、待ちわびていた言葉を、言ってくれたのに、今、彼の、命の、火は、消えようとしていた。

「諒」

自分が、一番、失いたくないのは・・・。その答えを出したら、諒の、命は、助かるのだろうか・・・。花梨の、心は、かき乱れた。

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