ありえない出逢い。
「なめられた・・・。完璧に」
花梨は、からかわれた事に気づいていた。次の日も。次の日も、無視してやった。自分が、気に入っていたのを、向こうは、感じていたに、違いない。コンビニでの、態度とか、みえみえだったもの。家に帰って、バイト君に、初日から、唇を、奪われた話をしたら、案の定、麻衣莉に、爆笑され
「お姉!からかわれたんだよ!」
と、言われてしまった。姉の面目丸つぶれである。
「だよね・・・。」
「かるーく。賭けられたんだね。」
「・・・」
花梨は、ショックであった。いつも、すれ違う憧れ君では、あったが、こんなに軽い男だったとは・・・。駅で、女の子を。連れて歩いているのを、何度かは、見ていたが、自分が対象になるなんて。
「全く、むかつく」
で、ある。妹と同じ年の高校生に、上手くやられてしまった。面白くない。今日も、用件は、全て、メモ書きか、綾に、任せて、ささっと、帰る事にし、駐車場に、むかった。
「あのさ!ねえねえ!」
追いかけてきた。
「何か用?」
「怒ってる?ひょっとして?」
「あったりまえでしょ!」
「俺さー。あんま時間ないんだけど。」
瞬は、花梨と、車の間に、立ちはだかった。
「お姉さん。俺の事。よく見てたでしょ!」
「はぁ?」
花梨は、顔が、かーっと熱くなるのを、感じた。
「朝。よく見てたでしょ!」
「・・・」
図星だ。
「ダチが、言ってたんだよね。」
笑うと可愛い。だが、今、そんな事を思ってる場合では、ない。
「コンビニで、あった時。逃げたでしょ!」
「はぁぁ・・・」
やばい。ばれてる。いい年して、高校生を、追いかけてたなんて、人事にばれたら・・・。
「本気です。俺。」
「はいぃ?」
花梨は、危なく自分の、車に、よろめきそうになった。
「この車。目立つんですよね。たぶん、この会社の人じゃないかって。友達が、見てて。ミラーの所にかかってる、この飾り。」
瞬は、ミラーにかかってる、父親の海外土産の飾りを指差した。
「これって、運命っすよね!」
軽い瞬に、花梨は、軽い目眩を、覚えた。
「もー。そんな事言って、からかわないで、くれる?」
「は。冗談って、ばれました?」
「あなたね・・・。」
殴りそうに、なった。
「もう、忘れちゃいました?」
瞬が、急に真面目な顔をしたので、花梨は、ドキッとした。
「俺。中学の時、駅で、具合、悪くなった時があって、誰も、気づいてくれなくて・・・。あなただったと、思うんです。違かったら、失礼なんだけど」
花梨には、思い当たりがあった。高校3年の、冬。駅で、発熱したらしく、動けない中学生を、保護者に連絡し、自宅まで、送って行った事があった。あの時は、彼氏と一緒だったが、今は、判れてしまったが・・・。
「あの時の、彼氏は、どうしたんですか?」
「大きなお世話よ。」
「良かった。俺。立候補します。ずーっと、探してたんです。似てた子と、付き合ったりしてたんですけど、やっぱ、ちがうなーって。思ってて。」
「だからって、軽すぎ!」
「ですか?俺的には、ずーっと。思ってたんですけど。」
確かに、瞬は、花梨の、タイプだし、申し分ない美形である。だからと、いって、社会人である自分が、高校生。しかも、バイト君と付き合うなんて、ありえない。
「だから。無理だつーの!」
「あぁ!休憩!終わりだ。じゃっ!考えておいてください!」
明るく笑うと、瞬は、立ち去っていた。
「ありえないっ!」
花梨は、しばらくエンジンもかけず、車の中にいた。




