姉を、愛してる。
時間だけが、経って言った。花梨は、不安定な為、実家に、身を置き、時々、麻衣莉が、様子を、見に行っていた。そして、瞬も、変わらず、結亜と、暮らしていた。時間だけが、経っていった。お互いに、逢いたいと、刹那に、思っていたが、これ以上、逢ってしまった所で、お互いを、傷つける事にしかならないと、花梨は、瞬と諒を避け、瞬は、花梨には、触れないように、時間が経つのを、静かに待っていた。そんなある日、麻衣莉が、深刻な顔で、言ってきた。
「あのさ・・・。変な噂聞いたんだけど。」
ちょっと、迷いながら、話すかどうか、ためらっている様だ。
「はっきり、見たわけでないんだ」
「何?」
休日の、午後である、実家に顔を出した麻衣莉は、土産らしきケーキを、持ったまま、部屋に入ると、そう切り出した。
「お姉ちゃんは、瞬と、どうなったの?」
「えっ?」
花梨の、顔色が、変わった。明らかに、意識している顔だ。
「どうって・・・」
忘れたいが・・・。忘れられない。心にしみついた影。それは、諒よりも、濃くなりつつあった。
「何も、連絡は、ないわ。かといって、こちらから、しようという勇気は、ないの。」
「どうして?」
「・・・」
麻衣莉は、花梨に、詰め寄った。
「いいの?昔、諒さんを、盗られた時、後悔したんでしょう?このまま、瞬が、盗られてもいいの?」
「どういう事?」
麻衣莉は、ため息を、ついた。
「瞬が、女の子と、住んでるのを、見たって、友達が、いて」
「妹さんでしょ?妹が、いるって、言ってた」
「バカね・・・。本当、どうして、そう、お人よしなの?」
バカと、言われて、花梨は、むっと、した。
「血が、繫がってないの。知らなかったの?」
「えっ・・・?それは、聞いてない」
「でしょうね。男は、都合の悪い事は、話さないから・・・。」
花梨は、黙った。
「決めないとだよ・・。お姉ちゃん。瞬が、好きなら、大切なら、何、遠慮してるの?」
「だって・。」
「だって?何が、怖いの?諒さん盗られた時だって、取り返せば良かったんだよ!あの時、諒さんだって、苦しんだはず。お姉ちゃんが、それでも、別れたくないって、言えば、一緒に居られたんだよ!」
「だって、綾の、おなかには、赤ちゃんが・・・」
「それは、お姉ちゃんが、決める事では、ないよ!」
「そんな・・・。今頃・・・。」
「今だから、言うの。お姉ちゃんは、自分の気持ちを、伝えてない!全然!自分の、気持ちを、伝えるの!あとは、相手が、考えるから。そして、二人で、考えるの。」
「麻衣莉」
花梨の、両目から、涙が、零れ落ちた。
「遅くないから・・。」
麻衣莉は、花梨の、肩を抱いた。
「もう、お姉ちゃん。泣くの。見たくないよ・・・。」
「ごめん」
花梨が、クスンと、鼻を、啜った。




