今更の恋。
目の前には、諒が立っていた。一日だって、離れていると、辛くて、逢いたくて、逢いたくて・・・。綾と、結婚すると、聞いた時のショックは、言うに耐えなかった。生きていく気力を、失った。恋人と、友人の両方を、同時に失い、食事も、のどを通らず、夜も、眠れなかった。立ち直れたのは、ある友人の、ほんの一言
「結婚が、終わりでないでしょ」
だった。不倫。結婚が、終着駅では、ない。本当に、気持ちに、拘るのなら、結婚という終わりを、選ぶのではなく、永遠の、心の繫がりを、求めよう。花梨は、諒と、心で、つながりたいと思った。だが、やはり、ふとした瞬間、瞬間に、諒の影に、綾や、その家庭の姿が、見え隠れし、花梨は、終わりの無い嫉妬の炎に、苦しんだ。時間も過ぎていく。女の、いい時期を、不倫という恋愛に、時間を労していくのには、あまりに、花梨は、可愛そうすぎた。
・・・もう、終わりにしよう・・・
逢うたび、帰り道に、花梨は、思った。逢えば、楽しさから、忘れてしまうが、やはり、諒の家庭に与える影響や、花梨自身の、将来を考えると、別れと、いう結論が、ついてくる。結果、花梨の不倫は、一番、畏れていた結果を、生んでしまった。
・・・死・・・
綾の死と、いう現実あh、重かった。もう、自分は、人として、許されるものなのだろうか・・・。
今、目の前にいるのは、自分と同罪の罪を、背負う相手・・・。
「諒・・・」
諒は、変わらない笑顔で、応えた。
「事故だったんだよ」
君のせいじゃない。とでも、いいたいのか・・・。諒は、花梨の手をとった。
「花梨・・・。綾は、薬の扱いを間違えた。事故なんだ」
「そうなの。でも・・・」
死んでしまった事実は、変わらない。そして、自分の不実さも。
「諒。もう、逢わないって、決めたのよね」
「そうだったね。でも、これだけは、知らせなきゃと・・・。」
「あたし達が、追い詰めたとしか、あたしには、思えない」
「・・・」
諒は、応えなかった。花梨は、諒を見た。諒が、いてくれたのは、嬉しい。が。今、逢いたいのは、諒じゃなかった。
「瞬は?瞬は、いままで、ここにいたのに!」
瞬が、居ない。朦朧とする意識の中で、確かに聞いた瞬の声。
・・・ここに、いるから・・・
そう言ったのに、瞬の姿は、どこにも、なかった。
「どこに、いるの?」
すがるような目で、花梨は、諒を見た。
「あぁ・・・。さっき、出ていたよ・・・。」
あぁ・・・。瞬は、諒が、来て、誤解してしまったまま、出て行ってしまったのを、花梨は、理解した。
「早く、追いかけなきゃ!」
花梨は、立とうとしたが、そう、すぐには、無理だった。
「花梨。今、すぐは、無理だよ」
「瞬が、誤解してる。早く、誤解を、とかないと!」
諒は、花梨が、瞬を、自分以上に、思っているのを、感じた。
「花梨!」
諒は、花梨を、抱きしめた。
「僕は、もう、駄目なのか?」
「諒!」
「もう、間に合わないのか?」
「だって!」
抱きしめる諒の両腕を、花梨は、振りほどこうとしたが、それ以上に、強く、諒は、花梨を、抱きしめた。
「だって。あなたとは、一緒になれないもの。」
諒の、力あh、強く、逆らう事は、出来なかった。




