心に負う深い傷。
その、恐ろしい知らせは、瞬の、耳にも、麻衣莉を、とおして、届いていた。
「花梨は・・・。」
瞬は、言葉を、失った。慌てて、麻衣莉に、言われた病院に、駆けつけると、細い管に、繫がれた花梨の、細い体が、あった。
「大丈夫なの?」
傍に、付き添う麻衣莉に、瞬は、恐る恐る尋ねた。
「ようやく、落ち着いた所なの。」
青ざめた顔で、麻衣莉は、答えた。
「こんな事に、なるなんて・・・。」
麻衣莉の、目からは、悲しみとも、憎しみとも、とれる感情が、見て取れた。
「普通は、こんな仕打ちは、出来ない」
憎、憎しく吐き出した。
「姉貴の、彼氏を、奪っといて・・・。離婚した挙句。自殺。子供の前でよ・・・。姉貴に対する当てつけだわ。姉貴が、平気で、居られる訳が、ない。大変だったんだから・・・。」
麻衣莉は、花梨の、腕をたくし上げた。
「姉貴・・。死ぬんじゃないかと、思った。たまたま。届け物に、行ったから・・。判ったけど。」
麻衣莉に、よると、たまたま、実家からの、届けものが、あるので、花梨の、マンションに居た所、諒から、連絡が、入り・・・。
「どうしよう。麻衣莉。諒から、電話があったの」
花梨の顔から、血の気が、失せていた。
「警察から、電話があったって」
「警察?」
「綾が・・・。諒の、元奥さんが、亡くなったって。」
「どうして?子供が、いるんでしょう?」
花梨の、様子が、おかしくなっていった。両手が、震え始め、立っていられなくなった。極度の、ヒステリー状態だ。
「自殺したって。子供の前で。」
「!」
麻衣莉は、全身を、がくがく痙攣させ始める花梨を、抱きかかえた。
「あたしのせい?あたしのせいよね。」
「花梨!」
「あたしが・・。」
嗚咽は、激しく、花梨は、体を、揺らした。
「あたしが、諒と、別れるのが、遅かったから!」
「違う!花梨は、悪くない!」
「いやー!こんなの。いや」
絶望と悲しみが、花梨を、襲っていた。激しい感情に、襲われ、もう、自分では、抑えられなくなっていた。
「姉貴!」
花梨は、麻衣莉の、両腕の中で、苦しめながら、もがき、そして、気を、失っていた。それが、病院に、運ばれるまでの、いきさつであった。
「かなり、病院の、薬を、飲んでいたらしいけどね」
綾の、死因について、麻衣莉は、言った。今、諒は、いろいろ対応に、追われて、花梨の、様子を見には、これないで居るようだった。勿論、来ても、合せるつもりのない、麻衣莉では、あったが、どうしても、これだけ、花梨が、苦しんでいる事を、諒に、知らせておく必要が、あると、思っていた。
・・・もう、完璧に、終わらせなければ・・・
それこそ、亡くなった綾の、望みどうりなのだが、そう、願わずに居られなかった。諒と花梨は、幸せになれない。誰もが、そう、思っていた。
「そんな事が、あったのか」
せつない顔で、瞬は、花梨を、見下ろしていた。
「花梨。もう、いいんだよ」
瞬は、花梨を、愛おしそうに、みつめていた。




