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完全無欠の公爵令嬢、全てを捨てて自由に生きます!〜……のはずだったのに、なぜだか第二王子が追いかけてくるんですけどっ!!〜  作者: 鳴宮野々花


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49. 半信半疑

「……こんなこと……。誰にも打ち明けることはできませんわ……。ほ、本当は、こんなことになる前に、メレディア様にご相談、したかったのだけれど……」

「……。」

「ト、トラヴィス殿下にも、アンドリュー様にも、あなたに近寄るなと言われて……。……当然ですわよね……。今までの私の態度が悪かったのですもの。自業自得ですわ……。だから一番助けてほしい時に、一人で苦しみを抱えるはめになってしまった……。こんな大きな、苦しみを……」


 ……何が言いたいのかは分からないけれど、とにかく彼女の身に何か非常に困ったことが起こったのは間違いないらしい。……演技じゃなければ。


「……だから、そんなに大変な悩み事がおありになるのなら、なぜその相談相手が私になるんですの?前にも言いましたが、他にもっと近しい方がいるでしょう?それこそアンドリュー様や、あなたのご両親……」

「ア、アンドリュー様や両親に知られてしまうくらいなら、いっそ本当に死んだ方がマシですわ!!こんなこと……誰にも話せない……。メレディア様、以外には……」

「…………。」


 だから、なぜそこで私になるわけ?


「……じゃあ聞くから、今話してくださる?一体何をそんなに思いつめていらっしゃるの?もしかして、王太子妃教育のことで悩んでいるの?」


 それならまぁ、私に相談したくなるのも理解はできるけど。

 ところがエルシー嬢は顔を覆いブンブンと首を左右に振った。


「ち、違います……違うの……。そんなことじゃない……。……ごめんなさい。やっぱり、話す勇気が出ない……」

「なぜ?今なら私と二人きりよ。ほら、誰もいないでしょう?私に話したかったのなら、今が絶好の機会じゃないの。今なら聞けるわよ」

「……。誰か来てしまったら……、誰かに聞かれれば、死ぬしかありませんもの……。途中で話すのを止めることになっても、不安でたまらなくなりますわ。……メレディア様……、どうか、お願いです」


 エルシー嬢は顔を上げると、切羽詰まった様子で突然私の両手を強く握った。その指先は冷え切っていた。


「私をこのまま死なせてくださらないのでしたら、どうか一度だけ、私の話を聞いてくださいませ……。どこかもっと、絶対に誰にも聞かれないところで……」

「……。」


 これ、どっちだろう。演技にしては迫真すぎる気もするし、かと言ってここでは話せず絶対に人が来ないところで二人きりになりたいというのも怪しい気がする。それにさっきから死ぬ死ぬと、まるで脅されているような……疑いすぎ?

 彼女の必死な様子を見ていると判断力が鈍る。仕方なく私は譲歩案を出してみた。


「……相談は聞くから、二人きりではなくてトラヴィス殿下か誰かに同席していただくのはダメかしら?男性が嫌なら、マーゴット嬢とか……」

「嫌……っ!!メレディア様、私はあなた様だからこそどうにか打ち明ける勇気を持つことができるのですわ!こんな話、殿方に聞かれればもう生きてはいけないし、他の女性に聞かれることも、耐えられない……っ。……私を……、信じてはもらえません、わよね……」

「……。内容を教えて。一体どういう話なの?」


 困りきって尋ねると、しばらく逡巡したエルシー嬢の口からにわかには信じがたい言葉が漏れた。


「……王太子宮の……、ある人から……、……は……辱めを……」


(…………え?)


 あまりにも想定外で、到底受け入れることはできなかった。

 そんなこと、あり得ないでしょう……。王太子妃殿下の婚約者よ……?


「誰から?どういう状況で、そんなことが……?だって、あなたの周りには常に侍女や護衛たちがついているはずでしょう?それに、それをどうして誰にも言わないの?本当なら、その者はすぐさま厳罰を受けなくてはならないわ」

「これ以上はここでは言えません!お願いです、メレディア様……絶対に誰にも言わないでくださいませ……っ。そしてどうか、どうか私の話を……っ」

「あら?まだ残っていらっしゃったの?」

「っ!」


 その時。見回りに来たのであろう教師が現れ、私たちに声をかけてきた。泣き崩れるエルシー嬢の姿に気が付き怪訝そうな顔をしている。


「……どうしました?何か問題でも?」

「あ、いえ……。すみませんちょっと、勉強のことやいろいろと、相談を受けておりましたの。彼女、だいぶ追い詰められているみたいで……」

「ああ、なるほど」


 教師は私たちを見比べ、納得したように微笑んだ。


「ですがもう遅いのですから、今日はお帰りなさい。ご家族も心配なさるわ」

「はい……」


 それ以上話をすることができずに、私たちは揃って教室を出た。


「……メレディア様……お願いです……。絶対に誰にも言わないで。そして、事情を聞いてくださいませ……」

「……聞けば私の胸だけに留めておくことはできないわ。私はあなたの身に起こった問題をどう解決すればいいかを判断し、それを伝えるべき人に伝えることになる。それでも構わないわね?」

「…………はい……。ですが、まずは話を……」


 結局私たちは後日時間をとって二人だけで話をすることになった。


(トラヴィス殿下には伝えておかなくては。話の内容までは言わないにしても、彼女と二人きりになる必要が出てきたことだけは……)







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