注目の的
この辺から空は壊れていきます。
私は寝ぼけ目で学校に向かっている。
昨日はボスゴブリンを倒した後はダンジョンを後にした。もっと潜っていたかったけど翌日には学校があるので早めにダンジョンを出たのだ。
「今日もダンジョンに行きますかな~」
上機嫌で歩く。だんだんと学校に近づいてくると、主婦、サラリーマン、小学生など、みんな私を見て足を止める。
私の覇気が強すぎたか。だはははは。そんなことを思いながら歩いていると――
「あの、刀ちゃんですよね~?」
「刀ちゃん?」
「はい。昨日言ってましたよ~」
「昨日?そんなこと言ったか?」
急に話しかけられて驚いたが刀ちゃんとかいう意味不明なことを言われ思わず返事をしてしまった。私にそんな弱そうな名前と間違うとは。ぶっ殺してやろうか!それと何だ?私が昨日言ったとも言っているじゃーないか。
もちろん私にはそんな記憶1ミクロンたりとも覚えてない。そもそも知らないし……
「それ私が本当に言ってたか?」
結局自分で分からないのなら聞けばいいやの精神で聞いてみた。早く学校に行きたいけど。
「はい!ダンジョンでゴブリンの群れを倒し終わった後に言ってましたよ~」
「はぁ?なんでお前。昨日私がダンジョンに行ったこと知ってる?そういえばお前誰?」
「あ、ごめんなさい。私は前島 瑠璃。ダンジョン配信者やってます~」
「その制服は同じ冒険者高校の生徒だと思うが……」
「本当だ。気が付きませんでした~」
はぁーこの子と話をしていると気が抜けるな。同じ学校の生徒だったのか・・・って違う!!
「ダンジョン配信者?」
「はい。昨日たまたまあなたを見つけたので後をついて行っちゃいました~」
「配信中に?」
「あ、勝手に撮影してすみませんでした~」
「それは別にいい。最強になればいずれにしてもこうなるとは思っていたからな。やけに注目されていると思っていたがそれが原因か」
「すみませんでした~。図々しいですが名前を教えてくれると嬉しいです」
「ふ、別に構わんさ。私は小鳥遊 空。最強になるものだ!」
「空ちゃんですね~。あと世紀末口調なんですね?」
「最強にはこの口調が最適なのだ!」
前島から口調のことを聞かれたから堂々と答えてやった。これが1番かっこいいと。この口調は頑張って練習したんだけど・・・まぁいいか。
「前島。学校に行くぞ!」
「はい。これからよろしくお願いします空ちゃん」
こうして私は舎弟1号を手に入れたのであった。これからめんどくさいことは、この舎弟にやらせよう。
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