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アインス

「もぉ〜危なかったですよ」


妖精は頬を膨らませながら愚痴る。


「いや、あんたの攻撃も危なかったわ。私の攻撃よりも殺意高かったし・・・」


「ま、まぁ十分に戦えたので満足です」


そっぽを向きながら先程まで使っていた技を誤魔化そうとする妖精。そんな妖精を見ながらなんだかおかしくなり空は笑いだした。空につられるようにポカーンとしていた妖精も笑いだした。






「あんたの呼び方妖精だと呼ぶとき大変だからさ、名前とかあったら教えてくれない?」


空のそんな言葉を聞き妖精は答えるのであった・・・


「名前は無いですよ」


妖精のあっけらかんと答える様子に空は驚く。


「あんた名前なかったの?」


「はい。妖精は契約した主に名前をつけてもらうことが多いですね」


「ほへ〜じゃない! あんた語尾に〜ですってつけてたのどうした?」


「面倒くさくなって辞めました」


満面の笑みで答えた妖精に空は少しムカついた。






空と妖精はダンジョン奥に進みながら空は先ほどの話を思い出していた。


妖精は名前がないのか…。これからも、この妖精と過ごすのだから名前はあった方がいいよなー。


うっし!私が名前を与えようかな。確か妖精も言ってたしね。


「ねえ、名前私がつけようか?」


妖精はそんな私の言葉を聞いてすごく驚いた。


「本当ですか? ほしいです! 名前!!」


妖精は鼻息を荒くしながら顔の近くを飛び回る。


ってかこいつ顔の近く飛ぶのやかましいな。


「ええい。鬱陶しいわ!」


私は顔の近くを飛んでいる妖精に向かって地面に叩き落とすように手を振る。


「危ない!? 何するんですか~」


「うるさい。お前の名前を考えていたがやめた。お前が鬱陶しいから・・・」


「ガーン」


口をあんぐりと開けて妖精自身で効果音を発した。


私は妖精とくだらない話をしながらダンジョンの最奥に向かって行った。




「弱すぎだろ・・・」


「私は満足しました!」


「お前魔法を使ったからいいけど、私はなにもできなかったんだぞ!!」


「だってダンジョンの最奥ボスが剣線の一発で倒れるなんて想像出来ませんでしたよ~」


空と妖精はダンジョンの最奥ボスが光となって消えていくその場所で言い合っていたのであった。






ダンジョン最奥から出口に向かって空と妖精は歩いていた。


空は歩きながらウンウンと何かを考えるように唸っている。


しばらくしてから空はパッと顔を上げ、そのままの勢いで妖精に話しかけた。


「ねぇ、あんたの名前決めたよ」


「本当ですか? 早く教えてください!」


「アインス。あなたの名前はアインス!」


「アインス。それが私の名前・・・」


アインスは噛み締めるように名前を繰り返す。


「これからよろしくアインス」


「はい! こちらこそよろしくお願いします!」


アインスのその表情は出会ってから1番いい笑顔だった。






「そうそう、伝え忘れてたから言うけど私は最強を目指している。最強を目指すからには必然アインスにもその分の困難にも立ち向かってもらうよ」


「私は戦えればそれだけで十分です!」


ムフーと鼻息を荒くしながら空中で拳を振るう。


とても前衛で戦えるような感じでは無いのだが・・・まぁ後衛だからいいのか。私はそんなアインスを見ながら小さく微笑むのであった。

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