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8話 ダブルデートその2


「ねぇ、けーくんあれ欲しい」

「んん? この白い犬のぬいぐるみ?」

「そう。けーくんみたいでしょ?」


天音がキラキラした眼差しで指差してたのは、クレーンゲーム内の犬のぬいぐるみだった。


ちなみに、褐色バカップルは余計な体力を使ったせいか休憩がてら別行動という事になっている。


「笑ってる顔なんてそっくりだよ?」

「そうかー? 心配だけど眼科行った方が…」

「…もう!」


舌を出した犬に似てるって俺ってどんな顔だよ? それとも、人懐っこいとか思ってんのかな


「見た目じゃないよ? 雰囲気が」

「俺にはよくわからんな。とりあえずやってみる?」

「獲れるの?」


俺の知識から、このクレーンゲームはどうやら指定金額まで突っ込まないとワザと取りこぼす筐体きょうたいなんだよなこれ。


「やってみなきゃわからないけどな」

「けーくん頑張って!」


期待の眼差しで見つめて鼓舞してくれる天音。


……いやいやいやいやいやいや!


「天音もやるんだよ!」

「へっ…。あたしやった事ないよ?」

「違う違う。俺が獲ってプレゼントするよりも、共同作業で獲った方が思い出になるだろ?」

「や…やる。共同作業…にへへっ」


…なんで天音がニヤついてるのかは気にしないでおくか。


「どこ狙えばいい?」

「んんん。とりあえず中心かな」

「わかった」


中心を狙うのは、指定金額を突っ込めば獲れるという事なので、前の利用客がそこまで突っ込んでれば獲れるという事になるから狙うのはアリなんだよな。


天音の操作でクレーンはぬいぐるみを掴んだが、予想通り取りこぼした。


「あぁぁ…もうちょっとだったのに」

「そしたら、ちょっと重心ずらして掴もうか」

「…重心ずらしたら運ばなくない?」

「ワザと落として、その反動で取り出し口に近づけるんだよ」

「あぁー。けーくん物知りなんだね」

「あぁ…。家に居たくなかったからな、よくこういう場所に来てて…」

「ぅ…。ごめんね」

「けど、そのお陰で今は天音の役に立ってるんだろ?」

「うん!」


クレーンは掴み上げたがすぐに取りこぼしたが、今回は重心をずらしたお陰か落ちた反動で取り出し口にだいぶ近くなった。


「けーくん!! けーくん!!」

「落ち着け天音!」


目に見えて近くなった事で天音は興奮して跳び回っていた。


それからだいぶ時間が経ち…


「もうちょい右」

「こんぐらい?」

「そうそう。それでイケるはず」


クレーンはぬいぐるみを掴み、そのまま無事に取り出し口まで運んでくれたのだ。


「獲れた!? 獲れたよ! けーくん!」


俺らはハイタッチで喜びを分かち合った。


ただ、クレーンが無事に運んだという事で俺らの財布が寂しくなったが天音が喜んでるしいいな。


「けーちゃん…。お部屋に飾ってあげるからね」

「けーちゃん?」


天音はもう白い犬のぬいぐるみに名前を付けたらしい。


しかし、けーちゃんって俺の分身みたいでなんか…


「嫉妬してるでしょ?」

「い、いや? 全然」

「大丈夫だよ。けーちゃんは二番目。あたしはけーくんの…モノなんだよね?」


天音が抱えたぬいぐるみが赤みがかった顔を隠したが覗いた潤んだ瞳が綺麗に染まり、今日の俺らの初デートは終わった。


…天音が喜んでくれて良かった。



ちなみに褐色バカップルは…


「いけぇぇぇぇぇ!! 俺のモンキーターン見せてやるぜぇぇぇええぇぇ!!」

「キャーーーーっ!! うちの彼ピカッコいいぃぃぃ! 惚れちゃうんだけど!!」


合流したら、VRのレースゲームで騒いでいた。

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