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7話 ダブルデート

俺が生まれ変わってからの激動な初日が過ぎ、徐々にゆっくりとだが平穏な日々になりつつあって。

それでも校内では注目の的になってるらしく、褐色バカップルと俺様バカップルの二大巨頭とかなんとかに対して「バカップルは余計だっつーの!」と、三春が苦言を漏らしてた。

そんなわけで天音も、その影響なのか結構な頻度で質問攻めされてたりとか。


俺から思うことは、他人にどう思われようが関係ないと思うで?


「そんでよ。放課後は俺らとダブルデート行かね?」

「天音が許可してくれるならいいよ。……んぐ、美味しいよ」


そんな昼休み。

俺ら四人は仲良く机をくっつけ合ってお昼ご飯を食べていた。


「美味しく出来てて良かった! あっ…けーくんが良ければいいよ。はい…けーくん……、あーん…」

「にひっ♪、天音っちも彼ピにあまあまじゃん。ほら翔、口開けろ…」

「ミー!? それ一口は無理だっ…んぐむぐ!」


天音は俺を、三春は翔を弁当の食べさせてもう行為に周りから好奇な目で晒されたが俺はそんな事は気にしない。


天音が作ってくれた弁当は美味しくて、見た目も彩りで俺の好きな好物も入っており、味も俺好みだった。

時折、指の絆創膏が見えたが頑張ってくれたんだなと思った。天音曰く「けーくんの事は全部知ってるよ?」との事だと。


天音は、モブ先輩の件以降は少しずつ甘えてくるようになってきてた。


最初の頃は、耳を赤くしたり頬を染まったりしてて初々しかったんだけど、甘えてくる天音も好きだったな。


という事で俺らの放課後ダブルデートは決まった。





◇◇◇





「よっしゃー!遊ぶぞー!」

「翔。俺らデートってデートをまだしてないからお手柔らかに頼むわ」

「うん。あたしも、慣れたらけーくんと行きたいし」

「なら、うちらに任せなよ!」


俺らはそのまま放課後に市街地へ繰り出した。

俺らの近くの市街地は結構大きく、行きたいところは探せばだいたい揃ってる。

そんな大きな市街地という事もあり、人通りも激しく、その中には同じ制服の子達がちらほらいた。


なお、天音は確実に翔や三春も見てくれは充分だから、いろいろな思惑の視線が並ぶが気にしなくてもいいだろう。


「まずはゲーセンだろ」

「まずはゲーセンっしょ」


というわけでゲーセンに行く事になったんだが…、俺らが手も繋がらずに一緒に歩いてるのを見兼ねた表情をした三春が


「とゆうか、健ちゃんと天音っちって手は繋いでる? もちろん、指を絡ませるやつね」

「んー、今はしなくなったよな?」

「そうだね。する時もあるけど今はしなくなったね」

「ほほほう。倦怠期ってヤツだな! なら俺らが先輩として見せてやるか! 健らは普段通りにしてていいぜ。そのかわり俺らを参考にしな!」


翔はドヤ顔しながら、三春と恋人繋ぎしラブラブを見せつけてきた。


参考にしろって言われてもなぁ…と天音を見ると同じように思ったらしく、腰に手を回してきた。

なので俺は、同じように腰に手を回し、天音を俺の肩に頭をコテンと乗せてくるように抱き寄せてた。


俺と天音は最初の頃は恋人繋ぎだったが、今では主に抱き寄せて歩く方が多いんだよな。


「「いやいやいやいや!」」


気づいた二人から総ツッコミされた。


いや…お前が普段通りにしろって言っただろ!

ちなみに天音は不思議そうな顔をしていた。






「健のせいで恥かいたじゃねーか」

「お前が勘違いしただけだろ」

「じゃーん!ゲーセン一発目は加工写真撮影機っしょ」

「わ、わーい。わーい。」


俺と翔の険悪なムードを断ち切るように三春が声を張り上げていた。


盛り上げ役の天音は…うん。可愛い。


「天音っちはこういうの初めてだよねー?」

「うん。初めてだからどんな風にしていいかわかんないよ」

「写真撮るだけだからいつも通りでいいんよ」

「そうだよね…。うん。緊張してきた」

「あはははっ! 天音っち可愛いなぁ」

「健。頑張れや」


ちょっとづつガチガチになってきてる天音を見ると俺も緊張してきた。


そんな俺らはブース内に入り硬貨を入れてると


「けーくん? ポーズとか決めてる?」

「んー。初めてだし特別な物にはしたいなとは思ってる」

「特別? 普通にピースとかダメなの?」

「それだと俺のモノって感じがしなくない?」

「けーくんの…ばか」


すると、最初のカットのアナウンスが鳴った。


「どうすればいいかな?」

「天音は前向いてて少し屈んでくれると助かるよ」

「わかった」


俺はそのまま天音を背後から抱きつくような体勢をとった。いわゆるバックハグというやつだ。

腕は首下の部分に回して、天音の肩に顔を乗せてやった。


「うぅ…、ちょっと恥ずかしいよ…」

「大丈夫、大丈夫。ほら笑って」


さらに次のカットで、俺は天音をお姫様抱っこにしてやろうとして


「ほら、首に手を回して」

「ぅぅ…、やっぱり恥ずかしい…。重かったら言ってよ!」

「大丈夫だ。軽い軽い」


最後のカットでは


「け、けーくん? 降ろしてくれないの?」

「んー、このままキスしたくなった」

「えっ!? う、うそでしょ!?」

「ほんと、ほんと。天音が可愛すぎて俺がダメになったわ」

「けーくん…のばか」


天音は身振り手振りで朱を帯びた顔を隠してたが、徐々に目を伏せ始めて。

そして天音の瞳は閉じていき、ゆっくりとキスをしてくれた。


「けーくんのばか!ばか!ばかっ!!」


俺らの初めての写真撮影は睨むように真っ赤に染まった天音の罵声で終わった。

その後の加工落書き出来る機能で


「ファーストキスって書かん?」

「書くわけないでしょ!ばか!」


…さすがにダメらしい。




「お疲れー。健ちゃんと天音っちがどんなポーズしたのか楽しみー」

「健、どうだったよ?」

「いやー…まぁな」


さっきのはちょっと焦りすぎたかなぁ…。


…ふと天音を見ると写真取り出し口をガードしてる姿が見える。


「あ、天音っちどしたん?」

「いやぁ…な、何でもないよ?」


恥ずかしそうに目を泳がせる天音。


というか、そういう態度取ってると勘付かれるからな。


「健、何やらかした?」

「あー…。お姫様抱っこでキスした」

「けーくんのばかっ!!」


頬をぷっくり膨らませた天音が睨んでいた。


けど、勘付かれる方も悪いし、言わなくてもこいつらしつこいぞ?って言える訳もなく。


「翔! 行くよ。負けてらんない同じのやる」

「ミー!? マジで!?」


俺らと入れ替わるように褐色バカップルがブースに入って行ったら


「けーくん…。何で言っちゃうのかな?」

「悪い、ついな。怒ってるか?」

「あ…ううん。怒ってないよ。あと…別に…キ…スは嫌じゃないよ」

「あー。俺も焦りすぎたとは思った。ごめん」

「今回は許しちゃう。次はムードとか、心の…準備とか考えてよね」


取り出し口から撮った写真が出来た。


全体的に天音は笑ってるような恥ずかしがってるような不器用な顔だったが可愛かったから大事にする事にしよう。


ちなみに…


「ミー! ちょっと重い!」

「重いゆーな!バカ! うちの彼ピなら軽いってゆーの! ほら! もっと持ち上げて!」

「ミー! 首絞めてる!」


そんな会話が聞こえてきて俺と天音は笑みを浮かべそのまま抱き寄せた。


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