3話 褐色カップル
「よう健。また同じクラスだな」
「また余計なのが来たか」
「ははっ! それはお互い様だな」
今日は華陽高校の1学期始業式。
俺らと夕理が通ってる高校は自由がポリシーの結構緩い学校で人気もあった。
あと制服が緑のブレザーにチェックのスカートで、この近辺のより可愛くて良いから結構気に入ってたりもする。
最初に体育館で全体朝礼プラス長ーい校長の話を俺は聞き流してた。
そういえば、二周目なるから聞き流してただけで他のイベントとかは全く知らないんだったわ。ほとんど関係絶ってたしな。
そんなわけで、クラス替えもあったから張り出してあった掲示板前までやって来たのだった。
俺と天音は無事に同じクラスになって、そして俺の数少ない友人も同じクラスになった。
こいつの名前は白馬翔
俺が、唯一気を許す親友みたいな奴で翔はとりあえず白なのに褐色イケメン。陽キャでスポーツ万能でモテるんだよな。簡潔に言うと、立てばナンパ座れば寝てる歩く姿は褐色チャラ男みたいな奴だ。
そんな翔と仲がいいのは、周りと比べることなく俺だけを見ててくれたんだ。
「ほー。結構知ってる奴らが同じだわ。ミーとか天音チャンとか……、あ、わりぃ」
「……構わねーよ」
その当の天音はというと、俺の家から学校まで本当に粘着するぐらいベタベタと惚けてた。今は知り合いと同じクラスになれたのか、一緒になれて良かった!って騒いでる。
「けど、天音チャンって可愛いからもったいねーと思うんだけどなぁー」
「翔…。俺の天音に手を出したらぶっ飛ばすからな」
「はっ?」
翔はあんぐり顔で目を見開いた。
…イケメンなのにそんな顔するとイケメンじゃなくなるぞ。
「健ちゃん! うちの彼ピをイジメないでくれない? あと同じクラスだからよろ〜」
「よろしく。あといじめてないから」
割って入って来たのが翔の彼女。
周防三春。翔曰くミーらしい。
翔の彼女だけあってか陽キャで褐色ギャル。簡潔に言うと、立てばナンパ座れば(以下略)。
三春も翔と同じで俺だけを見ててくれたから仲が良くなったんだ。
翔がイケメンだけに、三春もなんだかんだ綺麗。
「んで、どしたの?」
「ミー聞いてくれ。天音チャンが健のモノになってる」
「はっ!?」
三春はあんぐり顔で目を見開いた。
てか…おまえら似た者同士だな。
「天音っちぃぃぃぃっ!! 健ちゃんのモノになったの!?」
「えっ!? ええぇ!?」
三春は掲示板前の群衆達を掻き分けて行った。
よく聞くモーセのナントカってああいうことを言うんかな…
すると翔が
「もしかして夕理チャンとも…?」
「……言われなくてもわかるよな? 俺の夕理に手を出したらぶっ飛ばす」
「はぁぁ!?」
翔があんぐりと…というか何回目だこれ?
というか、そんな事で驚くとは昨日までの俺は相当酷かったんだな。
けどそんな事、気にしなくていいんだ。もう昔のこと。
「おま!? 頭打ったんか!?」
「おう! 全身打ったわ」
「なら、頭良くなったんか?」
「翔…。バカにしてるだろ」
「お互い様だろ?」
「三春ーーっ!! お前の彼ピが俺の天音に手を出すらしいぞ!!」
「ちょっ!? まっ!?」
なんか苛立ったから翔専用の切札を繰り出してやったわ。
すると、甲高い怒声と共にまた掲示板前の群衆達が掻き分けられた。
よく聞くナントカの海割りってこういう事言うんかな…
「翔!! うちがいるのに天音っちの方がいいんか! うちの事嫌いなの!? やっぱり清楚なの!? うちのこと飽きたの!?」
「ちょっ!? 健ががが…」
「健ちゃん関係ないでしょ!! 翔はどう思ってるの!? はっきりするまで離さないから!!」
「ミー…離して…。健…たすけて…おえっ」
般若顔の三春と胸ぐら掴まれてぐらんぐらん揺らされてる翔。
本当にこの二人は仲がいいなぁ。
ちなみにこの一連の流れが結構、周囲をざわつかせたらしいのだが俺は気にしてないです。
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