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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
8/42

モデルハウス①-1(サイコーホーム)

「き、たぁぁぁ!」


 満を持して、到着!

 私は最有力候補の第1沿線と第2沿線が平行する最北端に位置するA市――ではなく、真逆の最南端に位置するB市の駅へと降り立った。


「ホームで恥ずかしいからやめて怜那」


 一歩遅れて電車から降りてきた優那に怒られる。


「優那はいっつもドライだなぁ。今から私たちは何千万のお買い物をするんだよ? リッチなんだよ? そわそわするねぇ。誰かに狙われてるかもしれないねぇ」

「ただのモデルハウスの見学でしょ。所詮パンピー」


 双子なのに、どうしてこもう性格が真逆なのかな。

 優那に続いて階段を上がり、ホームを出る。


「わぁ! 見てみて優那! イオン! ビッグだぜ! 帰り映画見てこ! ね!」

「遊びに来たんじゃないって。それに今日は2軒見るんだから、そんな時間ないし。ほら、さっさと行くよ」

「え~! マーベルの最新作ぅ!」

「私もう見たし」

「えっ!? いつの間にっ!?」

「先週。友達と」

「ううう、裏切りものぉ!」

「うざい」


 優那は私を置いてひょこひょこと歩いていく。

 どうして最有力のA市ではなく、最南端のB市に来たかというと、私たちが候補に挙げている、A市の最寄り駅から徒歩10分にある物件が、実はまだこれから建てていく場所らしく、家の感じを見たいならモデルハウスがこのB市にあるそうなのだ。

 だから今回はこのB市にあるモデルハウスにうかがうわけで。


「でも楽しいなー優那と二人で出かけるの久しぶりだし」

「私は嫌。似てる似てるって言われるのめんどくさいし。さっきも何回かジロジロ見られてた」

「いいじゃん。双子なんだし~」


 こうしていつもツンツンの優那と二人でモデルハウスを訪れるんだけど、実はお母さんとお父さんは来ていない。本当は大人がいなきゃいけないと思うんだけど、とりあえずもう少し候補が絞られるまでは待つんだそう。「毎週何軒も見に行ってられないっての」とお母さん。今日も家のことでお父さんとバタバタしてる。

 とりあえず、向こうの人には、お母さんもお父さんも急用でこれなくなったのだと言って押し通せと言われている。

 相手も営業だし、悪いようにしないだろう。お父さんが言うなら間違いない。

 でも私一人だとちょっと怖かったので、昨日の晩から泣きついてなんとか優那にもついてきてもらったわけです。なんだかんだ優しいんだなぁこれが。


「あつ……モデルハウス、どこ?」

「だからバスにしようって言ったじゃん。駅から徒歩25分だよ」

「だってぇ、バス代浮かせれば帰りにローソンのプリン買って帰れるんだもん」

「結局ジュース買ってるし意味ないじゃん」

「はっ」


 そう言われればそうだ。

 しまった。しかも優那におごったからバス代を超えてしまった。


「そっかぁ。プリン、買えないのか」


 なんとなく、今日のテンションが下がってしまいました。

 これからなのになぁ。

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