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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
4/42

譲れないもの

 となればやることは単純です。

 マイホーム。検索。

 この小さな長方形の箱の中には、世界中のありとあらゆる情報が詰め込まれているのだ。


「家作りの始め方か……どれどれ」


 検索結果に出て来るのは、どれも似たような文言ばかりで、私と同じような悩みを持った人たちがたくさんいるんだとわかった。


「予算? 家っていくらくらいするんだろ。100万、はないから、300万くらいかな? お父さんとお母さん、払えるかな……」


 お父さん年収上げたいっていっつも愚痴ってるしなぁ。

 たぶんお給料少ないんだろうなぁ。


「資料請求資料請求……ん~。もっとわかりやすく書いてくれてるとこないのかなぁ。そうだ。インスタにしよう」


 堅苦しいことは苦手です。


「おぉ~。出るわ出るわ。素敵なおうち」


 いろんな写真が、ずらーっと並ぶ。


「生活動線? 外構? 間取り? ん? ( ,,`・ω・´)ンンン?」


 謎の文字がたくさん出てくる。


「あ、このドア可愛い。こっちのナチュラルなのもいーなー」

「怜那、うるさい」


 どん、と二段ベッドの下から小突かれる。

 優那はいつもヘッドフォンをしているからうるさくない。ずっと起きてるから別の意味でうるさいけど。


「私はみんなのためにマイホームのことを考えているんだよ? もう少し丁重に扱いたまえ」

「さっきからインスタで画像見てるだけでしょ。いつもと一緒じゃん」


 そう言われれば、そうだ。


「でも何から決めたらいいかわかんないよー。わけわかめ」

「そうなると思った」

「なんだい。優那はマイホーム欲しくないの?」

「どっちでも。困ってないし」

「自分の部屋だよ? 映えるよ?」

「映える必要ないし」

「双子なのに真逆だよね。私たち」

「双子だからって似る必要ないし」

 平行線です。いつも。


「優那も手伝ってよ~。優那の方がネット得意じゃん」

「ネット得意ってなにさ。調べるだけじゃん。怜那に足りないのは、集中力でしょ。一つ一つサイトきちんと読めばわかるでしょ」

「できたら苦労しないよ!」

「じゃあマイホームは諦めたら」


 冷たい。


「強いて言うなら、何から決めるかでしょ」

「何から?」

「お金なのか、場所なのか、形なのか、マイホームに対して譲れない部分から決めていけばいいんじゃない? お姉ちゃんにとってのマイホームで譲れないのは何?」

「私にとっての、譲れないものは……転校したくない!」

「だったら、学校に通える範囲で探し始めたら? CMとかで、地図から物件探しできるのとかやってるじゃん」

「それだ! ありがとう優那~!」

「わかったらさっさと黙って。眠い」

「もうっ。ツンデレですな~」

「うざい」


 また蹴られた。反抗期ですな。


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