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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
もっといい家を探すまでねばるの巻
32/42

打ち合わせを終えて

 テーブル横に設置してあるモニターに、デジタルで映し出された間取りがあり、それが原島さんの操作で伝えた通りに修正されていく。

 しかも修正された間取りが、3D化される。


「うわ。すごい」

「最近はこういうのを使って、立体的にご確認いただくんですよ。出来上がりとイメージとの齟齬を極力無くすために。……えっと、こんな感じですかね?」

「あーはい。そんな感じです」

「他にはありますか?」

「間取りは特にないかな……というか、これ以上どうしようもないですよね」

「そうですね。実際このサイズ感だと、間取りの自由度は下がりますね。南側に玄関と掃き出し窓が付くので、自然とLDKも南北に縦長になりますし、そこに階段、水回りを設置していくとほぼ似たような形になってしまいます」


 たしかに。

 何かを大きくしちゃうと、その分他のところが小さくなってしまう。

 だからといって、他のところも余裕があるわけではないので、小さくしようがない。

 これは、もうこの形しかない。


「ちなみに、隣や後ろの家との距離ってもう取れないですよね?」

「厳しいですね。これ以上取ってしまうと、家を小さくするしかなくなってしまいます」

「ですよね……」

「でも最近はあまり採光を気にし過ぎない傾向にありますよ。LEDなどがあれば十分明るいですし、何より周りから見られることを避けたいので、窓を極力無くす方も多いです」

「でもいざというとき、正面玄関からしか逃げられないというのが気になってまして」

「なるほど。でしたら、隣家との距離は2m以上はありますので、窓からでも逃げることは充分可能なので大丈夫ですよ」

「でも――」


 と、お母さんと営業さんとの打ち合わせが、絶え間ない速度でよどみなく進む。

 全く入る隙がない。

 私は二人の顔を交互に見遣ることしかできなかった。

 そんなこんなで1回目の打ち合わせは無事終わった。


「どうだった?」


 お店を出て車に乗った時、お母さん尋ねた。


「ん? まぁ予想通りよ。こんなもんかーって」

「あんまり、良くない?」

「そうじゃないわよ。家作りって言っても、制限やルールがあるから、結局こういう感じで淡々と進むんだなーって。意外と手間取らずに終わらせられそう」

「そ。よかった」


 車を運転しながら話すお母さんは、そうひょうひょうと言っていたけれど。

 でも長くお母さんを見てきた私にはわかる。

 お母さんが、何かに納得していなさそうだってこと。

 でもそれを聞いても、お母さんはきっと話さないだろうってこと。

 そんな、ほんの少しだけ痒い所に手が届き切らなかったような打ち合わせでした。

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