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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
もっといい家を探すまでねばるの巻
29/42

制限と自由

 次の土曜日、みんなの不動産へともう一度訪れた。今度はお母さんとお父さんと一緒に。

 もなかちゃんたちは、喜んで受け入れてくれた。

 そして浅井さんに連れられて、先日見た小鷹台の土地まで訪れる。


「ひ、広い!」


 お父さんが両手を広げて言った。


「うわーすごい。前の道も広いし」


 続いてお母さんも両手を広げて言う。


「お父さんお母さん。恥ずかしからやめてっ」

「ふふっ。怜那の家族ってやっぱり面白いね」

「やっぱりってなに!?」


 そんな風に思われてたのっ!?


「北向きですけど、家相とか気にしないのであれば全く問題ありません。西側には一軒建つ予定ですが、東側は地主さんがもしもの時のために売らないでおきたいとのことですので、まぁ四半世紀はなにも建たないでしょう。南側はかなり大きい庭が取れるので、日照などを気にする必要もありません。今悩まれてる物件で気にされている近隣との距離は、これ以上ないくらい取れますし、これだけ広ければ間取も自由に決められますよ」

「バーベキューは?」

「もちろんです」

「駐車場は2台?」

「その気になれば3台取れます」

「正方形のリビングは?」

「取りましょう」

「おぉ~。自由。自由かぁ」


 お父さんが唸る。


「でも、徒歩25分なのよね」

「う、うぅん……」


 今度は違った意味でお父さんが唸る。


「怜那さんにも言いましたけど、どちらかですね。便利で狭いか、遠くて広いか。今押さえていただいているA市の物件も、おすすめですよ。もし利便性の高いところに住みたいなら、最高の物件だと思います。値段もおそらく4000万程度で収まるでしょうし」

「本当ですか?」

「自分、いくつかハウスメーカーで勤務してたので、その辺りの感覚は任せてください」


 浅井さんのすごいところは、とても自信ある感じで話してくれるから、すぐに信用できるところ。お父さんもお母さんも、初めは警戒していたけれど、今では無警戒に話している。特にお母さんは警戒心が強いから、これはすごいことだ。


「もなかちゃんが惚れるのもわかるなぁ」

「えぇっ!? 何それ! やめて!」


 ぐいぐいと引っ張られ、お父さんたちと距離を置かれる。


「聞かれたらどうするのっ!」

「聞こえないよぉ」

「ていうか、なんで知って、るの……?」

「え。見てたらわかるけど」


 もなかちゃん、顔面真っ赤爆破。

 かわいい。


「大人のお兄さんって、カッコいいよねぇ。浅井さんなら頼りになるし」

「だめ! だめだからね!」

「わ、私は大丈夫だって。もなかちゃんその首を絞めるのやめて…」

「ああっ、ごめん」

「ぷはー……気持ち伝えてないの?」

「つ、伝えるって……どうやって……」

「え。好きって言えばいいのに」

「そんなのわかってる! けど……ああもうっ! 怜那って鈍感!」

「えぇ~」


 何故か怒られた。


「ちょっと歩こ」


 もなかちゃんに連れられて、新興住宅街の中を歩き回る。


「なんか、個性的な家が多いね」

「このあたりは怜那たちと一緒で、不便でも満足のいく家を建てたいって思った人たちが建てる場所だから、みんなこだわりがすごいの」

「こっちは赤い家。こっちは緑。黄色まである」

「純和風から、和モダン、北欧モダン、アーリーアメリカンとか南欧風とか」

「うちってどんなのになるんだろ?」

「何言ってるの。それを決めるのが怜那たちでしょ」

「えぇっ! 私たちが? デザイナーでもないのに?」

「もちろんよ。注文住宅は、家の外観から内装、窓の位置からコンセントの位置まで、全部自分で決めるのよ」

「それは、大変だなぁ」

「ものすごく大変。結局、ハウスメーカーで建てた方が洗練されててよかったーなんて話も良く聞くし。かなり覚悟を持って調べていかないと、ヘンテコでむしろ住みにくい家になっちゃう。怜那、その覚悟ある?」

「そんなの私できないかも」

「だったら建売とか今押さえているところの方をおすすめするわ。ほとんどあっちが決めてくれるし。気になったとこだけ口出せばいい。プロの設計士やインテリアデザイナーも付いてるから、大きく外れることはないわ。生活するには十分困らない。どんな家だって、住めば都。慣れるものよ」

「うぅ……」

「知ってた? 自由って、むしろ大変なのよ?」


 なんか。道徳の授業を受けているみたいだ。


「お父さんやお母さんとよく話し合って決めて。うちは、大歓迎よ。怜那と家が近くなるのも、楽しそうだし」


 もなかちゃん。その笑顔、やめて。

 惚れてまうやろ~。

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