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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
20/42

交渉開始!

「ということで、本日の収穫を発表します! じゃじゃん!」


 2つのハウスメーカーからもらった資料をテーブルに並べる。

 優那が前に出る。私あんまり説明がうまくないから。


「1つ目は大本命のサイコーホーム。A市の駅徒歩10分で、土地の広さは31~2坪。家の感じは普通だったけど、中は広くて設備とか動線とかいろいろ考えられてて住環境を優先している感じ。ただしその分価格は高く、安く見積もっても4,500万はする。300万ほど安い土地もあるけど、学校と隣接してたり、線路の真横だったりするのがデメリット。あと、帰り道がちょっと暗いかな」


 そして次。


「2つ目が選取住宅。ここもA市の駅徒歩10分強で、土地の広さは30坪弱。家の感じはスタイリッシュで今風のデザインにこだわってたり、遊びは多そう。昔からの決まりを気にしない斬新なデザインだった。繁華街を通っていく分明るいし車通りもそれなりにあるから危なくなさそうなのに加え、値段は提示額で3,800万程度」

「へ~。安いじゃん。なんでそんなに違うの?」


 とお母さん。

 ご機嫌にビール片手に。

 多分今日は私たちもおらずお父さんと二人でデートしてきたみたい。

 お土産のケーキがそれを物語っている。

 ちょっとつやっぽいし。


「坪数が少し小さいのと、東向きの長細い土地で、南北と西側にギリギリまで家が建つ……要は狭くて日当たりが悪くなりそう」

「それは、やだなぁ」


 と今度はお父さん。


「でもでも、15区画くらいある中で、そこはあと1区画しか空いてないんだよ! チャンスだよ!」

「うし」


 と、お母さんが立ち上がり、おもむろに電話をかけ始めた。


「あ、選取(よりどり)住宅さんですか? 今日は娘がお世話になりました。いえ、ええ、ありがとうございます。ところで、本日見せていただいた物件なんですけど、話を聞きましてよければ前向きに検討させていただきたく思っていまして……はい。本当ですか? よかったです。うふふ。ではその方向で。はい。またメールお待ちしてますね」


 と電話を切った。

 久しぶりに聞いたけど、営業モードのお母さんは別人だ。


「とりあえず、選取住宅の最後の1区画をおさえた」

「「えぇ~!」」


 お父さんと一緒に叫ぶ。


「今ので決めたのか!? 勝手に!?」

「違うわよ。他の人に取られないようにおさえただけ。交渉中ってことは、条件次第では断ることもできる。この資料にも、交渉開始から1ヶ月程度で間取とか外観とかを決めていって総額を出してから、最終的に契約の判断を、って書いてあるし」

「ということは?」

「とりあえず良さそうな場所を確保したまま、他の物件を探せばいいってこと」

「お母さん、かしこい」

「でしょー」

「でも、ギリギリまで進めて断るとか、失礼じゃないかな?」

「何言ってんの。こんなの普通よ。そもそもあと1区画で引き合いが多いってのも多分嘘よ。そうやって競争心を煽って焦らせるのも営業の常とう手段なの。向こうだって10件交渉進めて1件売れればいいとかその程度でしょ。今度よく見てみ。きっと営業の目に光は宿ってないわよ」


 うふふ。と機嫌良さそうにビールをかきいれて笑った。

 悪女だ。


「それに、サイコーホームは値段的に厳しいし外したとして、利便性を考えれば選取住宅の方は最有力候補でしょ。便利だし駅近だしパパの実家も近いし」

「でもなぁ、左右と後ろに家が詰まってるってのもなぁ」

「広い土地なんか、田舎に行かないと無理よ? その辺りの家見てみてよ。ほとんどの家が、キュウキュウに詰まってる」

「確かにそういわれればそうなんだけど……」

「どっかで妥協しないといけないでしょ。ま、あと一カ月考える時間があるんだから、それまでにパパの理想の場所を探してみましょう」

「うん! お父さん! 私頑張る!」

「うん。そうだな。ちょっとパパも探してみるよ」


 ということで、今回の収穫はこんな感じ。

 現実主義的なお母さんはらしい選択をしたなって思う。

 あと一カ月、悔いのないようにしなくっちゃ!


モデルハウスは楽しかったです。

ああいうのを巡るだけのツアーがあったら参加してみたい。

皆さんも冷やかし程度に見に行ってもいいかも。

いや、それは失礼か。

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