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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
17/42

モデスハウス②-2(選取住宅)

「まず現在の状況だけお伝えしておきますと」


 といって営業さんが一枚の紙を見せてくれる。

 この分譲地を上から見た図で、そこには丸で囲った済とか交とかの字が書かれている。


「済と書かれているのが、既に売約済みの土地になります。そして交と書かれているのが、現在交渉中の土地でして、他の方に抑えられている状況ですね」

「へ~。って、じゃあ空いてるのって……」

「はい。実はあとここだけなんです」

「なんと」


 9号地と書かれた場所だけが、まだ誰にも手を付けられていないのだそう。

 なんかちょっぴり可哀相。


「A市で駅近でこれだけの価格に抑えられているというのが非常に人気でして、ありがたいことにすぐに埋まっていくんですよ」

「じゃあここだけ空いてるのは奇跡ですね!」

「仰る通りですよ。他にも検討しているお客様がいますし、この後も他のお客様をご案内するので、近い内にここも決まるでしょうね。あ、これ全体の費用の概算になります」

「文字がいっぱい書いてある……!」

「あはは。細かいところはまたご説明するとして、おおよそ全体、初期費用などを込みで3,800万程度になります」

「3,800……やすい!」


 いや、安くはないんだけど。

 さっきの見てからだから、感覚がマヒしている。


「これだけの条件でこの値段は、かなり自信がありますよ」

「優那! ここだ! 買おう!」

「いや待てバカ」


 バカとは失礼な!


「どうしてよ~。A市から徒歩10分で、あんな感じの家が建てられるんだよ?」


 傍に既に建っている家を指さす。

 白と紺の可愛い家です。


「すみません。質問なんですけど、この土地だけ最後まで余っているのは何故ですか?」


 優那の眼光がギラリと光った。

 対して、営業マンさんも視線を鋭くする。


「いえ、特に意味はないかと思います。ただ角地だとか南向きだとかで人気のところが順番に埋まっていって、という感じですかね。とはいえ今どき南向きだとか角地だとかそこまでこだわらない方も多いですし、この最後の9号地も特に問題はないですよ」

「でも、ここ左右と後ろに家が密接しますよね?」


 ん。

 そう、なのですか?


「庭は無理ですよね?」

「そうですね。庭は少し厳しいですね」

「じゃあ、バーベキューも?」

「バーべキューでしたら、ご近所様のご理解が大前提ですけど、家の前に多少スペースがありますので、そちらでしたら可能ですよ。今ご提案できる間取りが3パターンほどありますが、よければまずは同サイズのモデルハウスをご覧になってみるのはいかがでしょうか?」


 まるで話をかわされるように、そうモデルハウスの案内へと誘導されたのだった。


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