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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
13/42

モデルハウス①-6(サイコーホーム)

「2階はシンプルに子供部屋が2つと主寝室が1つになります」

「おぉ~」


 キラキラキラ。

 と、なんてことない小さな一部屋が、輝いて見える。

 青い壁が一面だけあって可愛い。


「ここが子供部屋で、6畳です。クローゼットも大きなのが付いていますから、収納も十分ですよ」

「すごい! 優那! 見て! ガラガラ~って、部屋のはじからはじまでスライドする!」

「見てたらわかるから」

「一人でこの部屋を使っていいんですかっ!?」

「え、えぇ……通常は。ただその辺りは、ご両親様とのご相談かなと。最近ですと、隣のもう一部屋との壁を外して大きな一部屋にしてしまう形の方も多いですし」

「えっ、どうしてですか?」

「基本的に子供が子供部屋で寝たり過ごしたりするのって、10歳以上とかなんです。そこから社会人になって家を出るまでが10年ほどですから、子供部屋って意外と使う期間が短いんですよね。なので、お子さんが2人になったら真ん中を可動棚などで仕切って2部屋にして、巣立ったら元に戻して一つの大きな部屋として使ったりできるようにです」

「ほぇ~。かしこいなあ。そう言われれば、私も優那も、中学に入るくらいまではお父さんとお母さんのベッドで寝てました」

「怜那だけ。私は部屋で寝てた」

「そだっけ。お母さんのマットレスが、ふわふわで大きくて気持ちいんだよねえ」


 思い出すと眠たくなってきた。最近あのマットレスで寝てないなって。

 高いらしんだよねえ。お父さんが腰痛を気にして奮発して買ったら、お母さんにあっという間に奪われてしまったらしい。


「そして一番奥が8畳の主寝室になります。ここからバルコニーに出ることができまして、だいたい6畳ほどのサイズはありますから、ここでバーベキューなんかもできますよ」

「わあ~。ひろっ! うちのベランダ足一つ分くらいしかないのに!」

「でも、わざわざ2階でバーベキューする?」


 怜那が冷めた様子でぼやいた。


「景色いいじゃん! 楽しそうじゃん!」

「でも機材も食材もわざわざお父さんたちの寝室通って2階に運んで、食べ終わったら汚れた食器類とか生ごみを持って下に降りるんだよ? やる? ほんとに?」

「うっ……そ、それは……」

「結局家の前でやろうって言ってた花火すら去年のが使わず残ってるめんどくさがりの私たちが、やると思う?」

「ううっ」


 優那の圧がすごい。

 りろんぶそうだ。


「仰る通り、実はバルコニーって最近は外す方も多いんですよ。つけたけど使うことが少ないって。昔だと、ベランダに洗濯物を干すのが当たり前でしたが、今はランドリールームなんかが設置されているのもあって、使わなくなったんですよね。その分安くもなりますし」

「ほら」

「で、でもほら。お布団とか干すのは? わざわざ1階のランドリールームに持ってくの?」

「えーっと。その辺りは、それぞれのご家庭の日々の生活スタイル次第ですかね。ご両親ともご相談いただければ」


 私と優那の問いかけに困惑した営業さんが、そう言って話を終わらせる。

 他にもトイレとか勝手口とかいろいろ細かいところも見たけど、すごいって思ったのは特になかった。

 一通り案内し終えた営業さんは、私たちを1階のリビングに通して備え付けのダイニングテーブルに座らせたのだった。


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