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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
12/42

モデルハウス①-5(サイコーホーム)


「ひ、広い!」


 通されたのは洗面所だった。

 我が家の洗面所は脱衣所と兼用で、一人が前に立ったらパンパンになるような狭い幅しかない。

 でもここは、鏡がうちのより1.5倍くらい大きくて、優那と二人で立っても邪魔になることがない。


「洗面台は、朝の忙しい時間なんかだと数人でごたつくことも多いですから、最低2人で使えるサイズがあるのがベストですね」

「わかる……わかりますそれ!」


 毎朝優那とお母さんと場所の取り合いをしている。


「それでこちらが脱衣所兼ランドリールームですね」

「らんどりー?」

「ここで洗濯物を回して、そのままこの中に干すんです」

「部屋の中に!?」

「はい。最近のご家庭はPM2.5とか花粉とかを家に持ち込みたくない人も多いので、室内干しが多いんですよ。共働きで外に干せないというのもあります」


うちの万年閉鎖しているシャッターがそうです。

たまの休日に開けてるくらいで、ほとんど毎日室内で干してる。

湿気がすんごいんだよねえ。


「あと脱衣所も、洗面所と分けることで、年頃のお子さんがお風呂を使用している時に、お父さんが洗面所に入れないなんてことを防ぐこともできるんですよ」

「お~! ごうり的! ごうり的!」

「それは助かる」


 やっと優那と意見があった。

 たまに優那の叫び声が聞こえてきて、お父さんの顔にあざが出来てるときあるからなあ。


「これは絶対に分けなければいけないね」

「賛成」

「喜んでいただけたようで何よりです。では、このままお風呂もご案内します」

「こ、これも広い!」


 我が家のお風呂は、2人は入れないサイズ。

 大きなお父さんが湯船に浸かると、足を折り曲げないと入れないのだ。

 足伸ばしたいってたまに言ってる。


「しかもテレビついてる! すごっ! 優那もこれでテレビ見放題だね! あ、優那いっつもお風呂でスマホ見てて、2時間くらい出てこないんですよ。お風呂にスマホ落としたら危ないからってお母さんにいつも怒られてるんですけど治らなくて」

「ちょ、やめ、怜那……」

「え、しかも何この床、や、柔らかい!? ふにふにしてるよ!」

「こちらはYOYOさん独自の床で、転倒しにくくて、床に断熱材が入っていて寒い冬でも冷たくならないんです」

「お~! 優那、優那! これがいい!」

「お願いだからはしゃぐな……」


 優那は少しご機嫌斜めなようで。

 こんなに楽しいのになー。


「これ、この湯船って、肩から泡がでるやつですか?」

「そうです。よくご存知ですね!」

「よく、見ます。インスタで」

「優那すごい! 物知り!」


 優那の目が明らかに輝いてる。

 お風呂時間の長い優那にとっては、お風呂時間を満喫させるためのものは必須なんだと思う。


「これは標準ですか?」

「いえ、こちらはオプションになります」

「そうですか……」

「大丈夫だよ優那! これは入れよう!」

「え、でもオプションだし」

「いいじゃん! 入れたいものは入れないと! せっかくのマイホームなんだし!」

「その通りですね。やはり人生で一番高い買い物ですから、多少費用が掛かっても、妥協のないようにするべきだと思います。後から変えようと思っても変えられないことも多いですからね」

「だって! ね、優那!」

「……うん。楽しみ」


 わーい!

 優那が嬉しそうだ!

 なんだか、とっても良い家が出来上がりそうな予感!


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