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女子高生、家を買う  作者: 色川玉彩
家の買い方を考えるの巻
11/42

モデルハウス①-4(サイコーホーム)

 キッチンは、我が家のものと違いリビングに向かっている。


「あず葉ちゃんの家と同じだ」

「対面キッチンですね。このキッチンとリビングダイニング合わせておよそ20帖になります」

「対面キッチン。メモメモ。こういうキッチン憧れるなぁ」

「怜那料理しないじゃん」

「い、いつかするもん!」

「その頃には家出てるでしょ」


 もう優那はいちいち雰囲気を壊すなぁ。

 夢に浸ってるから良いではないか。


「このシステムキッチンですが、幅は一般的な2550で、ペニンシュラ型になります」

「ぺにんしゅら?」

「アイランドキッチンをご存知ですか?」

「知ってます! あの洋画とかに出て来るかっこいいやつ! お父さんがあれがいいって言ってた」

「そうですそうです。あれがアイランド、つまり孤島の意味で、ペニンシュラは半島の意味なんです。つまりペニンシュラは、片方が家の壁とくっついてるんですよ」

「ほぇ~。なるほど」

「怜那わかってない」

「さすがにわかってるよぉ」


 これでも高校生だぞ。

 英語はギリギリ赤点じゃないもん。


「ここはラクシルのキッチンを入れていて、特徴としては使いやすさですね。引き出しに工夫がされていたり、このシンクにいろいろ工夫があったりして、奥様に評判なんです」

「ラクシル……聞いたことある」

「他にもYOYOさんとかダカラさんとかも標準で入れられますし、選択肢は結構ありますよ」

「標準?」


 そう、優那が珍しく食いついた。

 そういえばさっきもそんなこと言っていたような。


「また後程説明しますが、標準仕様というのがありまして、その標準仕様から選んでいただければ追加料金は掛かりません。でも例えば、キッチンのグレードを一つアップしたりするとオプション金額が掛かってきます」

「つまり、どれでもいいというわけではないと」

「そうなりますね。例えばこの食洗器ですが、深型と浅型がありまして、深型の場合ですとオプションになります。ですが標準品でも必要十分の機能を揃えていますし、普通に生活しようと思ったら標準で十分なレベルを揃えています」

「でも、この浅型だとあんまり食器が入らなさそうですけど」

「4人家族ですと、2回は回す感じになるでしょうね。特に浅型だとフライパンなんかが入らないのでそこは手洗いする必要があります」

「まぁ、2回回すくらいならね?」

「駄目。その分水道代と電気代が掛かるから。ってお父さんなら言う」

「たしかに」


 電気代とか水道代とか、毎月鹿の鳴き声みたいなうめき声が家に響き渡るのです。


「これ、上の収納がないですけど?」

「吊り戸棚ですね。最近は無いのが流行ってますよ。あまり使う機会がないのと、やはりない方が開放感がありますからね。届かせようと思うと、身長もいりますし」

「お母さんも届かないって言ってるなぁ」


 いつもお父さんが代わりに取ってる。

 小さいお母さんの、取ってアピールが可愛いんだ。


「この吊り戸棚、標準ではあるんですか?」

「もちろんです。安心してください」

「これ、無しにしたら安くなるんですか?」

「あーっと。申し訳ございません。それは無しにしても同じですね」

「なるほど。オプションはお金が掛かるけど、引いても減額はされないと」


 優那、攻める。

 あえて言わなくてもいいのに。

 ほら、営業さんが困ってる。


「ではこのまま、ランドリースペースを見ましょうか」


 困った営業さんは、話題を変えるようにそう言ってキッチン横の扉の奥へと誘った。


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