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第1章  第9話 「ミフィとアナザー 後編」

9話です。


今回はほぼ、会話のみになっています。



いつも読んでくれてありがとうございます。


 (*^-^*)


   第1章 Beginning


   第9話 「ミフィとアナザー 後編」



 「魔法というものは、どうすれば使えるようになるのでしょう?」

 私の質問に対して、ミフィは即座に答えた。


 「魔力というものは2つあります。一つは先ほどみた魔力鉱石ですが、厳密に言えば鉱石ではありません。魔力が結晶化したものです。」


 「なるほど。もう一つはなんですか?」


 「もう一つの魔力は、大気中に混ざっているものですの。こちらも厳密には、魔力と呼べるものではありませんけれど。」


 「魔力は大気中にもあるのですか?」


 「大気中だけではなく、食べ物や水にも魔力はありますわ。魔力と言うよりも、一種のエネルギーで、お父様にわかりやすく言えば、電波みたいなものです。この世界の方で、それを理解している方は、ほとんどおりませんけれど。」


 「なるほど…。わかりやすい説明ですね。」


 「このエネルギーは、人によって表れる型が違います。」


 「どう違うのですか?」


 「魔力を集めやすい体質の方にとっては、魔力として表れますが、魔力を集めにくい体質の方にとっては、違う型で表れるのですわ。」


 「個人にも向き不向きがあると?」

 

 「そうですわ。不向きな方にとっては、闘気とか覇気と呼ばれる型で表れますの。わかりやすく言えば、ユーミさんはかなりの剣術の使い手ですので、常にうっすらと闘気を纏っておられますね。」


 「ミフィは、見ただけでわかるのですね。」


 「私にはわかりますわ。この世界の人間でも、はっきりと認識出来る方は、それほどはおられないでしょうけれど。」

 

 「ではガボくんも闘気を?」


 「いえ。あの方は魔力も闘気もありませんわ。通常はどちらかに割り振られるのですけれど、あの方は魔力を全く持っておられないんですの。かと言って、闘気が強いわけでもなさそうですし…。あのような方は、この世界では稀有な存在ですわ。」


 「そうなのですか。」


 「それと、もう一つ気になる事がありますの。」


 「気になる事とは?」


 「ユンちゃんは魔力が強いのです。異常なくらいに…。」


 「ガボくんもユーミさんも、魔力をあまり持っていないのに、ユンちゃんは魔力が強いのですか?」


 「はい。」


 「それは隔世遺伝かも知れませんね。」


 「隔世遺伝?」


 「ガボくんかユーミさんのご両親の中に、とても強い魔力を持った体質の方がいたのかも知れません。世代を飛ばしてそれが、ユンちゃんに遺伝した可能性もあります。」


 「その可能性は高いかも知れませんね。それにしても、魔力が高過ぎる気もしますが…。」


 「そんなに高いのですか?」


 「はい。平均の3倍はあるかと。」


 「それはすごいですね。」


 「魔力の使い方なのですが、使い方もいくつかありますわ。」


 「どのようにしてでしょう?」


 「一つは自分で魔力を集めて唱える方法ですわ。これは自分の体内にある魔力を集中させるやり方と、大気中の魔力を集めるやり方がありますの。」


 「なるほど。」


 「熟練者はそれを同時に行えますが、それが出来る方は全体の数%でしょうか?あまりおられないと思いますわ。」


 「なるほど。コツがあるのですね。他には?」


 「スクロールや、魔法陣といったものがありますわね。どちらも同じような仕組みなのですが、規模が大きく違いますわ。」


 「スクロールと魔法陣ですか。聞いた事はありますが、違いがよくわかりません。」


 「スクロールは羊皮紙などに呪文や魔法陣を筆やペンで書いて、それに自分で魔力を込めたものですわ。そのスクロールに呪文を唱える事により、魔力が解放されるんですの。」


 「なるほど。スクロールも魔法陣なのですね。」


 「はい。魔法陣は羊皮紙ではなく、地面や空中に書きますの。書くと言うよりも、地面や空中に自分の魔力で思い描く。といった方が正確でしょうか?」


 「思い描く?」


 「魔法で一番大切なのはイメージですの。上手くイメージが出来ないと、いくら魔力があっても、魔法は上手く使えませんわ。魔法陣が大きければ大きいほど、魔力は強く込められますし、その分、威力が上がりますの。思い描いた魔法のイメージが細かければ細かいほど、繊細なコントロールが出来ますのよ。」


 「ただ魔法を唱えればいいという、訳ではないのですね。」


 「普通の方の持つ魔力程度なら、そんなに問題にはなりませんが、魔力が強力になればなるほど、コントロールが難しくなりますの。最悪の場合、暴走することもありますわ。」


 「暴走とはどういう事でしょうか?」


 「十中八九、死にますわね。」


 「死ぬのですか?」


 「魔力のコントロールが利かなくなると、体と大気中の魔力が枯渇しているのに、魔力を引きだそうとするのです。その結果、魔力だけではなく、自身の生命すら、吸い出そうとするそうですわ。」


 「生命を?」


 「生命こそ、魔力以上の最高のエネルギーですもの。」


 「なるほど…。まさに暴走ですね。」


 「まぁ、普通の魔力を持つ人には、あまり関係のない話ですけれど。」


 「もし魔力が暴走してしまったら、どうすれば良いのでしょう?」


 「さらに大きな魔力で掻き消すしかありませんわね。」


 「強大な魔力は、扱いづらいと言う事ですね。では魔力鉱石は、どのようにして使うのですか?」


 「魔力鉱石は手で握って、呪文を唱えて使っていますわ。それだけで魔力が上がりますから。」


 「魔力の燃料のようなものなのですね。」


 「ですが、私の持っているサイズの魔力鉱石は、あまり出回っておりませんので、かなり貴重なものですわ。」


 「そうなのですか?」


 「普通は欠片が流通しておりますわ。」


 「大きな魔力鉱石は、手に入りにくいのですね。そんなに数がないのですか?」


 「数はたくさんありますが、入手が困難なんですの。」


 「入手が困難?」


 「魔力鉱石のある場所には、必ず強大な魔物がおりますの。それもたくさん。」


 「鉱脈が魔物の群生地になっているのですね。」


 「はい。魔物の中には、魔力鉱石を糧とする魔物もいるのです。そういった魔物は、得てして強大ですの。」


 「猛獣とは違うのですか?」


 「猛獣も魔力を吸収してはおりますが、魔物は魔力の干渉が強いのです。進化の過程で、魔力の影響を多く受けているのでしょうけど。」

 

 「魔力を糧としている以上、強くなるのは当然という事ですね。」


 「大抵の魔物は知能が低いのですが、ある種族は知能も高く、会話すら行えますの。」


 「それは興味深い。なんという種族なのですか?」


 「ドラゴン族ですわ。」


 「ドラゴンですか。」


 「彼らはこの世界で最強の生物であり、長命で頭も良いのですが、人族や魔族とは関わりを持とうとはしません。数も10人もいませんし。」

 

 「ドラゴンは頭で数えるのではないですか?」


 「世界最強の生物に対して、頭で数えるのは失礼ではありませんか?」


 「確かにそうですね。意思疎通の出来る相手を、頭で数えるのは失礼ですね。」


 「ドラゴンは呼び方を気にはしていないようですけれど。ドラゴンからすれば、人族や魔族など、どれだけいても敵にはなりませんから。」

 

 「それほどに強大なのですか?」

 

 「ドラゴンの一息で、街のひとつやふたつ、地図から消えてしまいますからね。」


 「それはすごい!かなり大きそうですね。」


 「ドラゴンでしたら、この家くらいは軽く踏みつぶしてしまいますわね。」


 「それは大きいですね。」


 「普段は聖域と呼ばれる山にいますから、ドラゴンを見ることはないと思いますわ。」


 「聖域には行けないのですか?」


 「行くのは勝手ですが、帰っては来れませんわね。」


 「それは残念です。一度お話がしたかった。」


 「我らが聖域に踏み入る事なかれ。これがドラゴンが人族と魔族に言った、ただ一言の言葉ですわ。」


 「そういう事ですか。ミフィは物知りですね。」


 「あの方から、この世界の事を教わっておりますから。」


 「そう言えば、魔族とはどういった種族なのでしょう?」


 「魔族は魔力の影響を受けた、人族の一種と言われていますわ。何種族もおりますから、詳しくはわかりませんが。獣族も似たような感じですが、魔力の影響は受けてないようですわね。」


 「なるほど。いろいろな種族がいるのですね。会えるのが楽しみです。」


 「大半の種族は仲良くやっておりますが、中にはややこしい風習があったり、面倒くさい人もおりますので、注意してください。」


 「わかりました。異種間での交配は可能なのですか?」


 「それは不可能ですね。そもそも異種間での恋愛が、この世界では異端とされています。中にはそういった方もおられますが、肩身の狭い思いをされているようですわ。」


 「言われてみれば確かに…。種族によっては、長命な種族もいるのでしょうか?」


 「どの種族も、100年もすれば入れ替わっていますわ。唯一、ドラゴンだけが長命ですわね。」


 「ファンタジー世界とは、ずいぶん違うのですね。」


 「ファンタジー?」


 「いえ、私のいた世界の話です。気にしないでください。ミフィはどうやって魔法を使うのですか?」


 「私の体は、魔力を蓄積することが出来ませんので、魔力鉱石を使いますわ。」


 「手で握るのですか?」


 「いいえ。私の両方の手のひらから、魔力鉱石を吸収しますの。あとはイメージをしながら、呪文を唱えるだけですわ。」


 「手のひらのスライド部分から、魔力鉱石を吸収するのですね?」


 「そうですわ。魔力鉱石一つで、どれだけの魔法を唱えられるかは、調べてみないとわかりませんが。」


 「それは明日にでも調べてみましょう。」


 「お父様。遺跡の前に着きましたわ。」


 「そんなに離れていても、会話が出来るのですね。夜道は大丈夫でしたか?」


 「なにも襲って来ませんでしたわ。それよりお父様。遺跡の入り口が無くなっているのですが。」


 「入り口が無いのですか?」


 「はい。ただの岩になっていますわ。」


 「用が終わったので、消えたのでしょうか?それでは申し訳ありませんが、急いで家まで戻ってきてくれますか?」


 「はい。」


 「時間を計りますので、急いで戻ってもらえますか?」


 「わかりましたわ。では今から戻りますわ。」


 「夜道なので気をつけてください。」


 「夜目が利きますから、大丈夫ですわ。」



 そう言ってミフィは、昼間でも20分はかかる道のりを、明かりもなしに、5分で家に戻ってきました。

 

 

 

一日、更新が遅れました。


すいませんでした。


m(_ _)m

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