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絶対に守ります!

 リビングの机にて、春夜の前の席にカスミが、その隣には光間が、そして春夜の隣に風夏が座っていた。


「まさか母さんの再婚相手が、なつのお父さんだったなんて」

「私もびっくりした」


 春夜がそう言うと、風夏も頷きながら同意した。

 今の風夏には、さっきまでの固さがなくなっていた。


「それにしても二人はなぜ、気づかなかったの?」

「そうだな、自己紹介はしていたんだろう」


 カスミと光間はそう二人に聞いてきた。

 春夜は少し照れ臭そうにして、答えた。


「いや、なつは()()って覚えていたから……」


 春夜は風夏を()()()ではなく()()と名前ではなくあだ名で覚えていたため、名前を忘れていたのだ。


「私もはるって覚えていたから……」


 それは風夏も同じだったらしく、風夏も照れ臭そうにしてそう答えた。

 そんな二人を見て、光間は笑っていた。


「光間さん、そろそろ二人にあの事を話さないと」

「おっと、そうだったそうだった」


 カスミの言葉に光間は何かを思い出したらしく真剣な顔になって二人を見た。

 そんな光間の真剣な顔につられ、二人もまた、真剣な顔になった。


「実はな、父さん達三日後から海外に旅行しに行く事になっているんだ」


 光間の言葉に春夜は少し驚いたが、すぐに新婚旅行に行くんだろうなと思い、納得した。

 それは風夏も同じだった。


「だから三日後から、二人で仲良く生活してくれ」


 そう言うと光間はお茶を飲んだ。

 そんな光間を見て、春夜は手を上げて聞いた。


「旅行に行くのはわかったけど、いつ頃ぐらいに帰ってくるの?」


 まぁ、一、二週間ぐらいだろうなと思いつつも質問をしたのだが、光間から返ってきた答えは、


「わからん」


 そんな一言だった。

 さすがに予想をしていなかった答えに、春夜は怪訝そうな顔になった。


「わからないって、お父さんなんで!」


 風夏もその答えに納得いかなかったらしく、イスから立ち上がり、光間に問い詰めた。


「まぁ、落ち着け」

「落ち着けって、そう言うならいつ帰ってくるかがわからない理由を教えてよ!」

「教えるから、イスに座りなさい」


 風夏は渋々イスに座った。


「いや、実はな、父さんちょうど仕事の関係で海外に行かなければならなかったんだ。だから旅行に行くついでにそのまま仕事を終わらせてこようかなって思ったんだ」

「再婚直後に別々に暮らす夫婦っておかしいかなって思ったから私も付いて行く事にしたの」


 その二人の言葉に、春夜は右手で頭を抱えため息を付き、風夏はジト目になった。


「そんなに呆れなくてもいいんじゃないか」

「義兄妹になったばかりの子供達を残していつ帰ってくるかがわからないまま、海外に行くなんて言われたら、呆れるに決まっているでしょ、ねぇ、はる」

「そうだよ、お義父さん、なつの言う通りだよ」


 風夏の言い分に春夜は顔を光間の方に向けて同意した。

 そう言った春夜を見て、カスミは意味深な笑みを浮かべた。


「私達は二人を信用しているから、二人を残して旅行に行くのよ?それとも私達のどちらかが残らないと風夏ちゃんに何かするの、はる?」

「そ、そんなことをするわけない、絶対に変なことをするわけがしない!」


 カスミの言葉に春夜は机を叩き、心外だと言わんばかりの顔をしながら反論をした。


「そう、なら高校生なんだし、二人だけでも生活はできるでしょ?」


 カスミの言葉に今度は二人とも何も言えなかった。


「なつを、知らない男に任せて旅行に行ったり、なつと一緒に生活させるのは、俺は嫌だが、春夜くんならなつを守ってくれる、安心してなつを任せられる、そう思ったから一緒に生活させても問題ないと思ったんだよ」


 光間は春夜の目をしっかり見ていた。

 それは春夜なら風夏を、自分の娘を守ってくれると信用して言っていると春夜はわかった。

 だから春夜は光間のその信頼にしっかりと答えたいと思った。


「わかりました、なつは俺が絶対に守ります!」


 春夜のその答えを聞いて、光間は笑顔でうなずいた。

 そして光間とカスミは旅行に出かけた。

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