放課後の約束
「春夜、放課後暇か」
テスト当日の朝、登校した春夜に大翔がそう声を掛けてきた。
登校してすぐにそう言われたため、少し驚いた。
「あ、あぁ、暇だが」
「そうか、ならちょうどいい、放課後、ゲーセンに行こうぜ」
「まぁ、いいけど、なんで急にそんなことを」
遊びの誘いは嬉しいが、急なので、なぜ誘われたのかが、気になった。
「理由は簡単だ、春夜との距離を縮めたいからだ」
「そうか、それはありがたいな」
転校して半月はたったが、まだ少しクラスメートとは距離を感じる。それは、クラス替えがこの学校にはないため、春夜は疎外感を感じることが多々あるからだ。なので、大翔の誘いはクラスに馴染む一歩になると思うので、とてもありがたかった。
「で、どこのゲーセン行くんだ、俺はまだどこに何があるか、わかってないぞ」
「ふーん、じゃあ、駅の場所はわかるか?」
「いやいや、それは俺を馬鹿にしてるのか、それぐらいならわかるぞ」
「そうか、それなら問題ない」
駅は、風夏と再開する日に、乗ったため、わかっている。いや、それ以前に、駅の場所ぐらい調べるだろう。
大翔は、春夜のちょっとした抗議を、スルーして、話を進めた。
「その駅の近くに、ちょうどいいぐらいの、ゲーセンが、あるんだ」
「へーそーなのか、つまり、そこで放課後遊ぶってことだな」
「あぁ、そうだ」
そうして、転校して初の、放課後ゲーセンが決まった。今からテストがあるが、楽しみでしょうがない。
「いや~、楽しみだな、春夜がどんなゲームをするのか」
「普通だよ、普通に太鼓をやって、クレーンゲームを、するぐらいだよ」
ゲーセンといったら、それらぐらいだろう、後は、レースゲームやホッケイとかだろう。一体春夜はどんなイメージなんだ。
「てか、今日は生徒会ないのかよ」
「それは大丈夫だ、今日はない、そもそも、イベントがないから、あまり活動がないんだ」
「そうなのか、俺は生徒会は毎日のように、活動があると思ってた」
前の学校には、生徒会の友人がいなかったので、全然、生徒会にあまり仕事がないことを知らなかった。
「他の学校はどうか知らんが、うちの生徒会はあまり集まることがない、まぁ、イベント前は別だけど、あ、ただ、会計だけは、結構忙しそうだな、色々な部活から、部費をもっと欲しいと、要望がきてるから」
「それは、大変そうだな」
部活を運営したり、質の良い練習をするためには、お金が何かと掛かる。そのため、部費をたくさん欲しがるのはわかるが、別けられるお金にも限度があるはずだから、それを管理する生徒会会計は、どの部活からも文句がでないように、別けなければならないので、相当大変だろう。
「てか、お前や会長は、手伝わないのか?」
会計だけでなく、会長や副会長が手伝えば、会計の負担か、減ると思うのだが。しかし、大翔は笑いながら、否定した。
「しないしない、面倒事は引き受けたくないし、俺や会長が、手伝ったところで、何にも変わらねえから」
「お前、酷いな」
「逆にお前だったらやるか、会計の手伝い」
「それは.....」
「やる」と即答したかったが、よくよく考えると、春夜が手伝うとしたら、逆に足手まといになってしまうのではないか。いや、確実に足手まといになる。だから.....
「やらないな、絶対」
「そうだろ」
春夜の答えを予測していたらしく、大翔は右の口角を上げて笑みを浮かべた。
そんな話をしていると、あと五分でSHRが始まることを告げるチャイムがなった。
「おっと、そろそろ、テストの準備をしようかな」
「そういえば今日、テストだっけか」
「大翔、お前忘れてたのか」
金曜日に神無月が、言っていたのに、ここ二日で忘れるとは.....
「そんなんでテスト大丈夫なのかよ」
「まぁたぶん、大丈夫じゃん、毎日欠かさずに予習復習はしてるから」
「そうか、それなら問題ないな」
「春夜、お前も毎日、予習復習をすれば、テストがあることを忘れても点数を落とすことはないぞ」
「家に帰ったらやる気がなくなるんだよ」
「そうかそうか、でもそこでやる気を出してやることが、他の奴らと差を広げるためには大事なことなんだぜ」
大翔の言い分は正しいのだが、それがなかなかできないのである。
「よーし、お前ら、今日も一日、頑張っていくぞ」
そんな話をしている間に神無月が、教室に入ってきた。
「おっと、先生いたのか、席に戻らなくちゃな、春夜、テスト頑張れよ」
「お前もな、まぁ、お前は大丈夫だろうが」
そんな会話をして、大翔は席に戻っていった。
活動報告でも言いましたが、来週から、タイトルを変えたいと思います。




