図書室での出来事1
更新が遅くなってすみません
春夜は図書室に入って、その部屋の大きさに驚きを隠せなかった。春夜がいた学校より大きく、本の種類も多かった。しかし、放課後のこの時間と言うこともあってか、春夜が見た限りでは他に生徒はいなかった。もちろん司書の先生はいた。
それにしてもこの学校の図書室の本の数は多い、気になってよく本を観察すると伝記や百科事典など、どこの学校にも置いてある本から、参考書やライトノベル、漫画そして雑誌まで置いてあった。それらが5のスペースで別れていた。観察して気づいたが漫画や雑誌などは他のより、数は少ないがそれでも他の学校より数が多い気がした。
春夜は漫画などに気がつられそうになったが、それをなんとか我慢をして、参考書などが置いてあるスペース3に来た。
このスペースは全部のスペースの中で2番目に本の数が多かった。ちなみに一番多かったのは、ライトノベルや文庫本などのフィクションで書かれた本が置いてあるスペース4だった。
「さて、どれを参考にしよう」
二番目に多いスペースなだけ、とてもたくさんの本がありどの本で勉強しようか、決められないでいた。
勉強したい地理だけでも数十種類はあるのではないのだろうか、それらの本の違いが春夜には分からなかった。
「あ、あの、な、何かお探しですか?」
「うぁ」
「ひ、ひゃ」
どんな本がいいか悩んでいたら、誰もいないと思っていたのに後ろから唐突に声をかけられ、春夜は驚いて声をあげてしまった。その声に話しかけてきた方も春夜の驚いた声に驚いて変な声をあげていた。
自分を少し落ち着かせて、後ろに振り向いた。そこには、黄土色の髪の毛を後ろで一つに結んだ眼鏡をかけた女の子がいた。身長は風夏より少し高いぐらいだった。
「その、驚かせてごめん」
「い、いえ、私こそ突然声をかけてしまって、す、すみません」
「気にしなくていいよ、それでなんで声をかけたの」
春夜は一度謝ってから気になっていた事を聞いた。この学校に転校してから面識があるのは風夏やクラスメート達だけだ。なので春夜はこの子の事を知らない、春夜が忘れているだけと言う事はないだろう。ならなぜ、この子は春夜に声をかけたのかが、知りたかった。
「は、はい、そ、それは、でちゅね」
「でちゅね?」
「ぁ、そ、その、す、すみません、わ、私、人見知りなもので……」
人見知りなら、そう簡単には声をかけてこないはず。それなのに、彼女は春夜に声をかけて来た。その事でより一層疑問を深めた。
疑問を今すぐ晴らしたいが今の彼女の様子では聞き出せないと悟り、一旦落ち着かせることにした。
「まぁ、落ち着いて、焦らなくていいから、自分のペースでいいからね」
「は、はい」
そう言うと彼女は自分の胸に手を当てて深呼吸をし始めた。その様子を見て春夜は懐かしさを感じた。
子供の頃も同じ様なことがあったな――――
『あ、あの、その』
『落ち着けなつ、一回深呼吸して落ち着くんだ』
『う、うん、わかったよ、はる』
子供の頃、初対面の人にあって、風夏がテンパった事があった。その時、風夏は自分を落ち着かせるために目の前の彼女みたいに胸に手をあて、深呼吸をしていた。
本当に懐かしい、そんな事を思いながら目の前の彼女が落ち着くまで待った。




