親の再婚
皆さんが楽しく読めるように頑張ります!
「嫌だ別れたくない」
「僕だって嫌だよ」
とある空き地、少年と少女がいた。
二人はもうすぐ離ればなれになってしまう。
少年の方は父が作った謝金が家族に負担を掛けないために離婚し母の地元に引っ越すことに、少女の方は母が病死したため父の地元に戻り祖父母達と暮らすことになっていた。
その影響で二人は別々の遠い地域に引っ越すことになっていた。
二人は親友と呼べるほどの仲だった。二人でなら何でも出来た。
しかしその友情もここで終わってしまう。
二人はその事がとても嫌だった。
しかしどうしようもない別れが近づいているって事は二人はわかっていた。
「私ははると別れたくない」
「僕だってなつと別れたくないけど、無理だよ」
「どうして!?」
「僕達にはどうもできない事なんだよ」
「……」
少年の言葉に少女は泣きそうな顔になった。
それを見た少年もまた泣きそうな顔になった。
「じゃ、じゃあ約束して」
「約束?」
「私と離ればなれになっても、将来私に会いに来て、また一緒に遊んでくれるって」
「……!う、うん!!」
少女の言葉に少年は強くうなづいた。
そして少年は両手で少女の手を握った。
「もちろん、絶対、絶対に将来なつに会いに行く」
「へへへ、約束だよ」
二人は泣きそうな顔だったが、口には笑みが浮かんでいた。
そして握った手をほどいて拳を付け合わせた。
「絶対に絶対に会いに来てね」
「うん。絶対に絶対に会いに行く。それまでずっと待っていて!」
「絶対に待ってるね!」
二人はその約束を忘れないように何回も繰り返し確認をし合った。
絶対にこの約束を忘れないように……。
そして二人は離ればなれになった。
「はぁ?母さん今なんて言った」
「だから再婚するって言ったの」
高一も終わり高二になる前の春休み、令月春夜は母の令月カスミに衝撃の情報をきかされていた。
「再婚って、母さんいきなりなんで?」
「たまたまいい男にあっただけよ」
「会っただけって……」
春夜は混乱する頭を抱えながらなんとか動かしてカスミの話をきいていた。
「お相手は?」
「それは会ってからのお楽しみ♪」
「お楽しみ、じゃないよ!」
春夜は顔を上げ机を叩いた。
カスミの調子に春夜は嫌悪を覚えたがすぐ諦めた。
(まぁ、母さんはこんな調子だもんな、いつも……)
「まぁまぁ、そんなに怒らなくても」
「怒ってないよ、母さんに呆れているだけ」
「もう、酷いわ」
カスミは少しすねたように見せた。
そんなカスミの様子に春夜はため息をついて頭を抱えてまたため息をついた。
「そんなに呆れないでよはる」
「それならお相手がどんな人ぐらい教えてよ」
「まぁ、焦らなくていいわ、だって明日会えるんだもの」
「はぁ?」
カスミの発言に春夜はまた驚いて顔を上げた。
「明日会うって、まじで?」
「そう、まじで」
春夜が真顔で聞くとカスミは真顔で答えてきた。
「明日、あの人とあの人の娘さんに私と春夜が会うって約束してるの」
「お相手に娘がいるの?」
「そうよ、あの人ははると同年代の娘さんがいるの」
「俺と同年代!?」
春夜はさっきから驚きっぱなしだ。頭は、今日だけでこんなにたくさんのことを聞かされたら混乱を通り越してエラーを起こしそうだなと現実逃避をし始めた。
「そうなの、はるの義妹になるんだからその娘と仲良くしてね」
もう春夜は、ため息以外何も出なかった。
明日の出会い方次第では嫌われてしまう。嫌われてしまったら、それ以降の家族交流が悪くなってしまう。それだけは春夜は嫌だった。
(明日……頑張んないとな……はぁ……)
春夜はその日1日ずっと悩むことになった。