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アルロスと一緒1



 もう耐えられない!!!

 何で私がこんなののお守りしないといけないの!?


「おい、エイミー。僕の髪を結ってくれ」


 私の部屋の椅子にドカっと座っているアルロス様を見て、私は何度目かの目眩と頭痛がするのを感じていた。


「それはおかしいですよね!!!??アルロス様は一応私の側仕えなんじゃないのですか!?」


 そう言いながらも、つい世話を焼いてしまうんだけど!!?

 何なのこの子、この銀色の瞳に見つめられたら何でも許してしまいそうじゃない!


「はっ!わかったわ、これは魔法!そうなんですよね?アルロス様は魔法が得意だから……」

「何言ってるんだ?僕は魔法なんて一切使ってないぞ」


 嘘よ!!?そんな……。


「それよりお前不器用だな……フィーリア様と同じぐらい……」

「フィア様と?」

「何でもない!くそ、僕がお前の髪といてやるから、座れ!!」


 へ?

 アルロス様が髪の毛をといてくれる……???

 まさか、そのまま呪い殺され───。


「別に何もしないからそんなにビビるな!」

「いやいや、早く側仕えを終わらせる為に私を殺そうと……」

「そんな事はしない。僕はフィーリ様の事が絡むとどうしても感情を抑えられないんだ」

「へ、へぇ~」


 そういえばそのせいで二度も殺されかけそうになったんだったわ……。


「おい、逃げるな。今から髪を……お前震えてるのか」

「そ、そんな訳ないじゃないですか!?」

「そういうときはこうだ」

「!?」


 ん?いや、なんで……。

 なんで私、アルロス様からおデコにチューされてるんですか!!?

 誰か、誰か詳細を早く!!早くしてくれないと顔が真っ赤に……。


「いやぁぁぁあぁ!!!!!」

「な、なんだ!!震えてたと思えば今度は叫ぶなよ!!」

「なななな、なんでオデコに、ききき、キス、キスを!!!!?まだ、護衛さんにだってされた事ないのに……あれでも殿下にはされた事があるような……いや待って、うそ、うそよ……これは夢かしら?」

「お、おい大丈夫か。これは現実だぞ?」

「現実!!!!!!」


 そんなこれが現実なら、私もうお嫁に行けないわ!!!


「おかしいなぁ、フィーリア様に僕がして貰ったときは嬉しくて震えなんて止まったのになぁ~」

「は?フィア様がした??」

「ああ、だいぶちっちゃい子供の頃だが俺を励ますためにしてくれた事がある」


 それは子供だからセーフなのよ!!!???

 もう大人な私達がしたらそれはいけない事なのよ!!!

 でも、そんな事アルロス様に伝えたところで納得してくれるようには思えないんだけど!


「アルロス様、聞いてください」

「取り乱したと思ったら今度は何だ?」

「キスは好意を持つ相手か、好きな人以外にしたらいけないのですよ!!」

「何故だ?」

「何故ですって?……それはその、は、恥ずかしいからです……」


 もう顔が真っ赤になっちゃったじゃない!!

 どう責任とってくれるのよ!


「えっと、キスが恥ずかしいだって……え?」


 そう言いながらアルロス様も顔が真っ赤になったわよ!?

 もしかして、今初めてその行為が恥ずかしい事だと気がついたのじゃないかしら??

 気づけて良かったと言うべきなのか、タイミングが今な事に悲しむべきなのか悩むわよ!!!


「…………」

「…………」


 2人して顔真っ赤にして動けなくなっちゃったじゃない!!!


「わ、わかった。今のが恥ずかしいと言う感情なんだな……初めて理解できた。エイミーには感謝する」

「おめでとうございます、って言える感情じゃないわよ!!!!」

「そうかって、お前泣いて……」

「な、泣いてません!!」


 もう、何でアルロス様はこんな感情ぐちゃくちゃにしてくるのよ!

 本当はただでさえ護衛さんの事で頭がいっぱいなのに……。


「嘘つけ。まさかと思うが俺に惚れたのか?」

「何でそうなるのよ!!!!??」

「そうか、恥ずかしがらなくても大丈夫だぞ」

「恥ずかしがってないわ!!」

「ふん。今はお前の事をよく知らないからその気持ちに答えてはやれないが、僕に敬語で話しかけなくてもいい権利をやろう」


 そんなもんいらないわよ!!!??

 そう言いたいのに、侯爵家の人にそんな事言える訳ないじゃない。


「あ、ありがとうございます」

「それと、元気づけるにはハグも良いと聞いた事があるぞ!」

「ハグ!?ちょっと待っ!!」


 待って!!って言い終える前に、もうすでにアルロス様にハグされてるんだけど!!?

 しかも、この人本当に魔法使いなのよね?

 何この力加減の知らない馬鹿力は!!!?

 肺が潰されて息苦しくなってきたじゃない!


「ぐ、くるじぃです……」

「ん?そうか、もっと必要か!高い高いをしてやろう!!こうすると俺の弟は喜んでだな!」


 そう言いながら今度は私を高く持ち上げるアルロス様に、私はもう白目をむいていたに違いないわ!


「……いや、それは赤ちゃんにする事では……?」

「僕の弟はまだ1歳だから、赤ちゃんだろ!」


 なら私を1歳児と同じあやし方しないでよ!!!

 もう駄目、アルロス様の会話に付き合ってたら体がいくつあっても足りないわよ……。


「アルロス、側仕えのあなたに命じるわ……。暫く1人にさせて欲しいわよ」

「ん?敬語が取れたな!わかった、でも僕は自由にさせてもらうぞ!!」


 そう言って、何故かこの部屋にあるソファーで横になり、すぐに寝息をたてはじめたアルロスの自由さに、1人ってなんだっけ?と疑問符が飛び交った私は、机に突っ伏したのだった。


 アルロスが側仕えじゃなくなるまで後5日。

 明日からは学校も始まるのよ。

 気を引き締めていかないと!!


 でもアルロスがいるおかげで、護衛さんの事をあまり考えなくていい事だけが私の救いなよね。

 だから少しだけなら許してあげようかな、なんてその寝顔を見ながら私は思ったのでした。


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