Wデートのような3
フィア様とスペリア様が庭園にいらしてから、暫く4人で歩いているのだけど……。
何で誰も言葉を発さないの!!!?
いや、なにこの空気すごく怖いわ。
どうやらあちらの2人も何かあったのかもしれないわね……。
そんな私達は丁度階段を上り切ったところで、ようよくフィア様がこちらをチラリと見たのよ。
「エイミー様、ワタクシとスペリア様は少し席を外しますわ」
「「え!?」」
あら、スペリア様と声がハモってしまったわ……?
と、言う事フィア様はスペリア様と仲を深めるために何かを閃いたのかもしれないわね。
「お二人にしてしまうのは申し訳ないのだけど、大丈夫でして?」
「え、ええ!私は大丈夫ですよ?だからどうぞ行ってきて下さい」
「そ、そう……ではスペリア様。えっと、ごにょごにょなので」
「ええ!?」
フィア様はスペリア様にしか聞こえないように何か言うと、スペリア様はそれに盛大に驚いたようだけど、何かしら?
「さあ、急いであちらに向かいましょう!」
「へ?あ、あちら??って、わかりましたからフィア様、私を引っ張らないで下さい!!?」
どんな作戦かわからないけど、フィア様頑張って下さい!
という気持ちを願って、引き摺られていくスペリア様の姿が見えなくなるまで見守ってしまったわ!
よし、フィア様が頑張っているのだから私ももう少し頑張ってみましょう。
そう意気込んだのに───。
「おい」
「へ??」
そう思ったのに振り向くと私の横には、何故かアルロス様がそこにいて……。
って、アルロス様!!!?
前のパーティーで私を人質にした男が何でこんなところに??
「フィーリア様を見なかったか?」
「え、えっと……」
さっき見送ったフィア様は今、スペリア様と2人きりのはず……アルロス様に2人の邪魔をされる訳にはいかないわ!
「ぞ、存じ上げないですね……」
「そんな目を泳がせて言うんなんて、お前居場所知ってるんだろ!?」
「いっ……!!」
アルロス様は、私の態度に逆上すると私の手を強く掴んだせいで、とても痛いのだけど!!?
もう、私が何したって言うの~~!!
嘆いている私に、横にいた護衛さんの手が伸びてきたのが見えたのよ。
「……その手を離せ」
「ご、護衛さん!?」
護衛さんがアルロス様の腕を掴もうとしたのに、アルロス様が数歩後ろに下がったせいで護衛さんの手は私に届かなかったのよ。
って、アルロス様これ以上下がると階段から落ちますけど!!!??
「お、お前この間の……!!ってことはこの女も前のやつかよ」
いや、あんな酷い事しておいて私の顔覚えてないの!!?
確かに地味だけどそんな印象薄いですか……そうですか。
「っち、フィーリア様もこの女の何が気に入ったのか……僕には全くわからないな。それで後一歩下がれば階段から落ちるけど、フィーリア様の居場所を教えてくれるつもりになったか?」
「こ、これ!わざとなの!!?」
本当、なんて性格が悪い男なの??
こないだ反省してたのはただのフリだって事!?
もう、なんで私がこんな目に遭わないといけないのよ~~!!
「護衛、もしお前が俺を倒したとしても俺はこの女を突き落とすからな。だから動くなよ?だから女も早くフィーリア様の場所を教えろ!!」
「し、知らないものは知らないのよ!!」
同じ恋に悩む乙女として、今フィア様の邪魔をする事はこの私が絶対に許さないんだから!!
「ふーん、じゃあお前を突き落とせばどうせ出てきてくれるから、落とすわ」
「え?」
って、待って!!まだ心の準備とか出来てなかったから~~~~~!!!!!
とか言ってる間に、もう体は宙に放り出されて……。
「いやぁあぁああああぁぁああ!!!!!!」
───助けて私の王子様!!!
何故かそのとき願ったのは、護衛さんじゃなくて私は王子様に助けを求めていたのだけど、それどころじゃない私はその事にも気がつかなかったのよ。
「エイミーーーーーー!!!!!」
誰かが落ちていく私の名前を呼びながら、私を強く抱きしめたのがわかったわ。
そのまま、その人と一緒に階段を転がり落ちていくのを感じながら、私はギュッと目を閉じてしまったの。
そして階段を下まで落ちていた私は体が痛くて動けなくて、助けてくれた相手が誰かなんてわからなかったの。
カランと兜ごとシルバーのマスクが落ちた音が聞こえて、私は霞む瞳でぼんやりその姿を見つめたのだけど、よく見えなくて───。
でも、金色の髪が輝いていてとても綺麗ね。
「エイミー!エイミー!!!」
名前を呼ばれているけど、その声に聞き覚えがあるのにそれが誰か全くわからないわ。
そして意識が落ちる直前に、遠くでフィア様とスペリア様の声がして、どちらにせよお二人の邪魔をしてしまった事に申し訳ない事をしたなと、そのまま意識を手放してしまったのよ……。
そして、次に目を覚ましたとき何故かアルロス様が目の前にいて───。
「アルロス、謝るのですわ!!」
「む……」
「アルロス!ワタクシいい加減貴方と絶交しますわよ??」
「っ!?ぐぬぬ……す、すまなかった……とフィーリア様が言えと言うから言った」
「アルロスのアホ!!一言多いのですわ!!!」
と、またよくわからない話が展開していて……。
「と、言うわけで。贖罪として明日からアルロスはエイミー様の側仕えになりますのでよろしくお願い致しますわ!!」
「は?」
「フィーリア様の願いだから仕方がない……よろしく、エイミー」
「よろしくお願いします、エイミー様でしてよ!!!?と、言うわけで暫くこの子の事よろしくお願いしますわね……エイミー様」
いや、ちょっと待って欲しい。
何この展開!!!?
その前に護衛さんは?多分あのとき私を抱きしめて一緒に階段から落ちたはずなのに……。
「あ、あの。護衛さんは??階段から落ちたのを助けて下さったのは……」
「い、いえ。エイミー様はお一人で階段を落ちましたわよ?」
「え!?そ、そんなはず……」
嘘でしょ、あれは私の妄想だったと言う事???
あの金の髪は……いやいや、そんなはずないわよね?
「それと、護衛さんはエイミー様を守れなかった事で解雇になるかもしれませんわ……」
「ええ!!?そ、そんな……私のせいで」
「いえ、エイミー様のせいではありませんわ。ワタクシも頑張ってみますけどダメでも落ち込まないで下さいまし……」
「わかりました。でも、また護衛さんに合わせて下さい!もう会えないとしても、最後に私の気持ちを護衛さんに伝えたいんです……」
「わかりましたわ、また詳細は後日お伝えしますわ。それより明日からアルロスの事よろしくお願いしますわよ?」
「は、はい!!」
って、なに元気に返事しちゃってるのよ私!!
何度も私に害を与えようとした男と明日から一緒にいないといけないなんて、どんな罰ゲームなのよ!!?
そう思いながら家に着いてため息をついていたら、後ろから声がした。
「おい、家に入らないのか?」
振り向くとそこにはアルロスがいて───。
「って、なんでここにいるのよーーー!!!?」
「明日からお前に仕えるから、ここに住むことになった」
「何でよーー!!!!???」
そんな私の叫びなんて、無視して何故か私の家族は弟以外全員大賛成だったのだった。
いや、何でよ!!!!?




