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殿下の執務室 3(従者視点)


 今日も胃が痛くなる予感しかしません。

 殿下の従者をしています、スペリアです。

 どうやら殿下はデートが大失敗したようで、凄い落ち込んでいて正直鬱陶しいと思っています。

 そして、先程から何度同じ質問を繰り返したことでしょう。


「エイミーは何故信じてくれないのだろう……?」


 今日はこればかりで、疲れました。

 仕方がないのでそろそろ相手をして差し上げましょう。


「殿下はなんで信じて貰えると思ったんですか?普段の行いを改めてから言って下さい」

「えぇ!なんで!?どこからどう見ても正真正銘の王子様なのに!!?」

「そういう残念なところですよ!!」


 この残念王子は、エイミー様の事にだけは残念過ぎて頭が痛くなるばかりです。

 婚約者様に言われたとはいえ加減というものが出来ないのか、本当に残念なのかもうよくわかりませんね。


「それなら、信じてもらえるにはどうしたらいいんだ……?」

「いや無理です。諦めましょう!」

「なんで!?そんなに無理なの?」

「はい、無理です」

「なんてことだ!エイミーが王子様の事を思い出せば、きっと僕のこと好きになってくれると思ったのに!!」

「せっかくの美しい過去がその一言で全部台無しですよ!!!??」


 過去でエイミー様を釣ろうとしたなんて最低な人間だな、おい。

 しかし、これ以上殿下を暴走させるとさらにエイミー様に被害が出てしまいます。

 ここは大人である俺が、殿下にアピールの方法をお教えするしかないですね!

 まあ、俺は彼女いない歴すなわち年齢ですけどね……。


「スペリア、僕に新しいお告げをくれ!!」

「いや、まって下さい俺がいつお告げなんてしましたか???」

「何を言っているのだ、いつもくれるじゃないか!」


 いつも???

 いやいや、俺は占い師でも預言者でもないのにお告げなんてした事ないですよ!!?

 俺がするのはせいぜい助言……。


「スペリア、まだか?」

「まさか、私の中身のない助言の事を言っているのですか!!?」

「そうだ!中身がないかは知らんが、あれは誰かからのお告げを受信しておるのだろ?」

「そんなわけあるか!!!!?」


 殿下は人をなんだと思っているのだろうか……。

 しかもなんか違うとわかったとたんショボンとしてしまって、なんで俺の心が痛まないといけないんだよ!!


「そ、そうなのか……。まぁ、それでもスペリアの助言にはいつも助けられているからな、今日も期待しているぞ!」


 すぐに元気を取り戻すなら、さっき痛めた俺の胸を返してくれ!!!!

 しかしそうは言ってもられないですからね、俺の素晴らしい案を殿下に聞いてもらいましょう。


「ゴホン、ではですね。こういうのはどうでしょう?」

「ゴクリ….」

「ギャップを見せるというのはどうでしょうか?」

「ギャップ?」

「ええ、普段おバカに振る舞ってる訳じゃないですか?なので、殿下が実は真面目でとてもカッコイイ姿を見せれば、普段あんな凄いアホなのに真面目な姿にキュンッみたいな展開がくるかもしれませんよ?」

「凄いアホって酷くない!!?」


 ええ、事実をいっただけなのにそんなに驚かなくても……それとも殿下は本当にほんの少しアホなつもりでやっていたというのでしょうか……あれで?


「だが、ギャップと言うのはアリかもしれぬ!!そうだ、今度のパーティーでエイミーにカッコいいところを見せてやるぞ!」

「お、いいですね!どのようなところを見せて差し上げるので?」


 パーティーといえども、たかだか卒業パーティーだ。そんな凄く偉い爵位の人が来るわけでも、殿下の見せ場があるわけでもない。

 それなのに、一体どのようにするつもりなのでしょうか……?

 なんだか、嫌な予感しかしませんけど!?


「実はエイミーをエスコートしようとしたのだが、断られてしまったのだ」

「何エスコートしようとしてるんですか!?あんたアホでしょ!!?」

「アホとは失礼な!!一応対策をちゃんとするつもりだったのだぞ?それにフィアが帰った後が僕の見せ場なんだからな!!」


 きっとそんな見せ場一生こないから大丈夫だと思いますよ?


「それよりも、フィア様の対策は取られているので?」

「あぁぁあぁああ!!!!忘れてた!フィアをエイミーに死んでも近づけるな!!何としてもエイミーを守るのだ!!」

「あ、はい」


 いや、そこまでしなくても大丈夫だと思いますけど???


「一体どうすればいいのか……そうだ!!エイミーには会場でウマの被り物をしてもらえば!!!」

「何でそうなるんですか!?そんなんだから嫌われるんですよ?」

「そんな馬鹿な!!エイミーにはあの馬凄く似合ってたのに!!!?」

「そんなわけあるかぁあ!!!!」


 一体このバカを止めるにはどうしたらいいんだ?


「とにかくフィアが帰るまでは、エイミーの護衛をする人員を確保しなくてはならない!!」

「え……?それで、それは誰がやるのですか?」

「スペリア!信じているからな、しっかり頼んだぞ!!!」

「いやいや、何でですか!?俺そう言うの向いてないって知ってるじゃないですか!!」

「大丈夫、お前ならできる!!」


 親指、ぐっ!!じゃないんですよ!?

 しかもその自信はどこから来るんだ!!!

 チクショウ!!アホな殿下のせいで今日も残業だよ!!!



 そんなわけで、俺はエイミー様の護衛を集めるために走り回り、今日も胃を痛めたのでした。

 早く殿下の従者をやめないと、俺の胃に穴が開く日も近い……。


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