デザートバイキング 『ミックスフルーツスムージー』
「せーのっ!」
ざっぱーん!
あたしとイクノは、いっせーのでプールに飛び込んだ。
「つめたーい!!」
「服がおもーい!!」
きゃははーって、二人で騒ぐ。
丸い月がキラキラまぶしい。ユラユラ揺れる水面に輝いてる。
夜の学校。あたし達はこっそり忍び込んだ。だれもいないプール。一度服のままで入ってみたかったんだ。
「イクノー! こっちこっち!」
「アヤネー、まってよー!」
今日はイクノの家で、クラスメート四人でパジャマパーティー。夏休みだし、宿題もできるし、こんな風にこっそり夜遊びもできる。
あたしとイクノはジュースを買いに行くっていって、抜け出したんだ。
「うー、だめだー。疲れるよこれー!」
「でも、何か面白いよ」
プールサイドに上がって、二人でゴロンと寝転がる。肌にぴったり張り付いたワンピースは気持ち悪かったけれど、何だか悪いことしてるドキドキで、凄く楽しかった。
「あーっ! アヤネ、パンツ黒だ! 勝負パンツ? えろーいっ!」
「ちょ、ちーがーうーっ! 何か、ちょっと可愛かったの!」
イクノがあたしをジロジロ見ながら言うから、あたしはイクノの顔を手のひらで押さえてやる。
あたしの白いワンピースが濡れて透けてしまっていた。ちょっと大人ぶってみたくて買った、黒の上下セットのレースのフリルつきのブラとパンティは、ほんとはみんなに騒がれたかったから。だけど、やっぱり恥ずかしい。
「むー、むー!」
「そーゆーイクノは、何色っ!?」
「きゃーッ!!」
イクノのスカートをめくろうとしたら、イクノが暴れて。あたしたちは抱き合った状態で水に落ちていった。
そのまま水の中でじゃれあう。
あたしのワンピースが円く広がって、イクノが中に入ろうとしたから、あたしはグイグイ下に沈めてやる。
そしたらイクノが首にしがみついてきて、あたしも水に潜り込む。
水の中も、月の光でキラキラしていた。
あ。
薄暗い水の中。イクノの姿が見える。ギュって目をつぶってるけれど、笑ってるのがわかる。
イクノ……ブラしてない。
水で濡れてイクノの肌にぴったり張り付いた、水色のキャミソール。あたしよりも大きな胸の形がはっきりわかって、なんでだろう。凄くドキドキして。
気がついたら、両手で触ってたんだ。
「……ぷはっ! ……ちょ、ちょっと!!」
「イクノ……また胸おっきくなってるー! もませろー!」
「きゃー! やめてー、へんたーいっ!!」
そんな風にしばらく、お互いの身体を触ったり、くすぐったり、服を脱がせたりして遊んで。
「うー、疲れたー」
「帰るまでに乾くかなー?」
そして帰り道。手をつないで、グジュグジュペタペタうるさい靴を引きずって、濡れて張り付く服をパタパタしながら歩く。
チラッとイクノを見る。街灯の下。イクノは濡れた髪をかきあげる。水の雫がポタポタおちて、キラキラ輝いて、綺麗で。張り付いてるキャミソールの胸のところ、先がちょっと膨らんでるのがわかって、あたしは顔がパンパンに熱くなった。
「……あのさー」
「あ、え、な、なにっ?」
イクノが、何だか赤い顔でこっちを向いた。
「明日、一緒にブラ、買いに行ってくれる?」
「……」
あたしは何にも言えなくなって。
イクノから目をそらして、頷くしかできなかったんだ。