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悪役令嬢、咲き誇る!!!!  作者: みゃと
9/11

Episode・7

『実は私……「キーンコーンカーンコーン」』



一呼吸置いて、話始めようとするといきなりチャイムが鳴り出した。



(なんてタイミングの悪い……)



「お、もうこんな時間か。」



「すいません理事長。 そろそろクラスの朝礼に行かなくては。」



「うむ、一条先生と、裕翔くんはもう行きなさい。 さて、葵くんは少しここに残って話をしよう。」



(え? これから私もクラスに行って、自己紹介とかするんじゃないの??)



「ん? 葵くんは、今日は顔合わせだけで帰るのではなかったか?」



私の疑問が顔に出ていたのか、理事長が説明する。



『え、いや、そんなの聞いてな……』




「昨日父様が言ってただろ。聞いてなかったのか?!」




あー、そう言えばそんなこともあったような、なかったような。



「取り敢えず、二人は早く教室に向かいなさい。」



「失礼いたします」


「失礼いたします……」



本当に時間がないのだろう。 一条先生はかなり急ぎめに、裕翔は少し納得のいかない様子で退出した。



「さて、それじゃあ葵くん。 お話の続きを聞こうか。」



この人生徒に"くん"を付けて呼ぶタイプの人なんだな〜と思いながら、私の事情を説明する。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「つまり、君はこことは違う世界で殺されて、その魂だけが葵くんの体にはいったということか?」



『うーん、多分そのような感じだと思います。昨日の夜、スマホで調べたら、結構そうゆう系の小説とかがあったんですよね。』



「え、スマホ? 使えるの??」



ふふん。そうだろう、そうだろう。


昨日の時点では「この薄っぺらい箱は何かしら?」だった私が、一晩でスマホを使えるようになったなんて信じられないだろう。



『お恥ずかしながら、昨日の夜、メイドに頼んで、この世界に適応する最低限ルールを学習しましたの。 あ、記憶喪失の振りで。』



「そ、そうなのか。」




だから私はもうスマホが使えるし、箸も使える。


今日の朝だって、車のシートベルトを誰にも言われずに装着したのよ!!!!




『現実味のない話だと思うのですけれど、信じていただけますか?』




「実に受け入れ難いが、話の筋は通ってるし、おかしな点も見つからない。 まぁかと言って、すぐに信じられるわけではないけどな。」



さすが理事長。 頭の回転が速い。



「ご両親には?」



『言っておりません。』



「そうか。 ふむ、では元の葵くんの魂?はどこに行ったのかね?」



そう。そこが問題なのよね。



『分かりません。もし、あの事故で無くなって、消滅したのかも知れませんし、元の私の体の中にはいったという可能性も。』



(あれですわ! 愛梨に教えて貰った、《入れ替わってるぅ〜!?》ですわ!!)



「融合した。ということは無いかな?」



『融合、ですか。』




胸に手を当てて考える。


今のこの葵の体の人格は100%私、ミーナが占めている。


もし、今は眠っているだけで、まだ葵の人格があったら?



『……分かりませんわ。』



「そうか。 もし、融合した、というのなら、君、えぇっと」



『ミーナ・エルメラルダですわ。』



「ミーナくんがこの世界に適応するのが早いのも説明がつく。」



(確かに、一理ある。)



「今はまだ、ミーナくんの意思が強いんだね?」



『はい。』



「それなら、ゆっくり経過を見ていこう。

ご家族に説明はする?」




『時期が来たら、話しますわ。』



(もし、葵が既に死んでいるのなら、皆悲しむだろうから。)



「勉強の方は?」



『この世界の教育水準が分からなくて……』



「なら今から少し確認テストをしよう。私がする質問に答えてね?」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「驚いた。理系の方は全く問題がない。」



(実は魔術を使うのはかなり頭を使うのよね。)



「植物や動物がかなり似ているね。」



『はい。少し違いはあれど、ほぼ同じだと思いますわ。』




「ただ、問題は古典や社会かな。」




そう。私はこの国の、世界の歴史を知らない。


歴史が違うと、その世界の構成も必然と変わってくるので、かなり痛い。



「まぁ見たところ、頭は悪くない。というか、天才と言っても過言ではないし、2000年の歴史くらいは簡単に覚えられるだろう。」



『ええ、たぶん。 ちょっと量が多いので、全てを完璧に暗記するには、1日はかかると思うのですが……』



(いくら私でも、2000年も暗記するのには一日かかるわ。)




「い、一日……。 えー、ゴホン。 ところで今、君は何故日本語が喋れるのか?」





『分かりませんわ。ただ、喋ろうと思ったら、この言語が出て来るのです。』




「じゃあ、こちらも文法を覚えるだけみたいだな。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




それからも約1時間ほど質問に答えたり、常識について話し合ったりした。




「いや〜、久しぶりに面白い話ができたよ。」



『あら、偉大なる理事長様にそう言っていただけるなんて光栄ですわ。』



「取り敢えず、今日はもう帰りなさい。明日からは教室で実際に授業をしたいだろ?」



『はい、速く溶け込みたいですわ。』



「それなら今日は明日のために、ぐっすり休みなさい。」



『えぇ、失礼しました。』




















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