男好きと噂される騎士団長の告白現場に、毎回遭遇するんだが
「貴方が好きだ」
花束を渡しながら一人の男が言った。この男はこの国の騎士団長をしている。そして同性愛者という噂だ。だから私に言った訳では無い。それにこの告白現場は初めてではなく、もう何十回も遭遇している。
今回も私は後ろを振り返ると近くに綺麗な男がいるのに気づいた。なので2人の邪魔にならないように道を譲った。
「………………………………」
「………………………………」
お互い固まっている。頑張れ騎士団長。
そう思いながら私は家に帰っていった。
ーーーーーーーーー☆
「貴方が好きだ」
昨日とは違う花束を持って、騎士団長が渡してきた。私は後ろを見た。そこには男の子がいた。昨日の人は振られちゃったのかな?
いや、それにしても男の子に告白って不味い気もするが、それは個人的な問題で私には関係ない。うん、関係ない。
私は道を譲った。
「………………………」
「この花くれるの?ありがとー」
良かったね、喜んでくれたみたいで。
私は頷いてから、仕事場に向かった。
ーーーーーーー☆
「貴方が好きだ」
今朝とは違った花束を渡しながら騎士団長が現れた。私は後ろを見ると、お爺ちゃんがヨタヨタと歩いていた。
男の子から今度は年上か、騎士団長って守備広いな。私はそう思いながら、道を譲った。
「…………………」
「おや、綺麗な花だねぇ。婆さんに持って行ってやろうかのう」
あー結婚してるのか。不倫はダメだよ、騎士団長。
騎士団長はショックを受けているのか涙目になっている。あの最強と恐れられる騎士団長が涙目なのは意外だ。
でも花束は貰ってくれたみたい、良かったね。私は夕飯を買って帰ろうと店に向かった。
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「おい姉ちゃん、ちょーっと俺達と遊んでいこうぜ」
買い物した帰り、数人の男に囲まれた。
「早くご飯食べたいので、無理です」
頭を下げて男の横を通り過ぎようとしたが、腕を掴まれた。
「飯も食わせてやるし、気持ちいいこともやれるぜ」
ニヤニヤと笑ってる男達にため息をついた時だった。
「おい、何をしている」
男達の後ろを見ると騎士団長がとても恐ろしい顔で立っていた。もしかして振られたせいかな?
騎士団長が歩いたと思ったら、目の前の男達が地面に倒れた。一体何が起こったのか分からない。
「?」
「大丈夫か?何もされてないか?」
「え、あ…」
男達は全く動かないし、騎士団長は一体何をしたんだろう?
「されたのか!?ならばここで今すぐ処刑を「ちょっと!!待ったー!!」
剣を抜いた騎士団長の頭を叩いのは副団長だ。
「何をする!?」
「落ち着いて団長、される前に助けたって…ね?そうだよね?そうだって言ってよ!?」
「あ、はい」
肩を掴まれ頷けば、騎士団長が私に置かれた手を払った。
「無事で良かった」
「あの、助けてくれてありがとうございました」
「男達は一瞬で半殺しされたから大丈夫じゃないんだけど」
なんか副団長が言ってるけど、騎士団長の咳払いでよく聞こえなかった。
「良かったら家まで送ろう」
「いえ、大丈夫です」
「いや、送ろう」
「いえ、本当に大丈夫です」
「いや、絶対送らせろ」
騎士団長は眉を寄せ、更に怖い顔になった。でも騎士団って忙しいんじゃないの?迷惑かけたくないよ?
「はいはい、落ち着いて!あのね、団長は君のことを心配してるんだ。だからお願いします。送らせてください!!」
副団長に頭を下げられ私は騎士団長を見た。
「あの、迷惑でなければ「迷惑じゃない、行くぞ」
腕を掴まれ引きずられるように歩き出した。
「団長!!女性には、優しくねー」
後ろでそんなことを叫ぶ声がして私は団長と歩き出した。
「君達も運がないよね、団長の好きな人を襲うなんてさ」
副団長はそう言いながら回復魔法を使ってるなんて、私は知るよしもなかった。
私
最近よく騎士団長の告白現場に会う。私に言ってるようにも見えるが、男好きだし平々凡々な私に有名人である騎士団長が告白する訳ないと思っている。何故かいつもたまたま近くに男の人がいるので、告白の邪魔にならないように道を譲っている。
家に着き別れ際、告白されたので後ろを見たらドワーフの男がいたので、いつもの様に邪魔にならないようにお礼を言って家に入った。
騎士団長
私に告白してるが、いつも私に無視されるし、いつもたまたまいた男が花束を持って行くし、正直泣きたくなっている。それでも好きなので諦めない。無視されるのは、顔が怖いのでそのせいだと思っている。
副団長
騎士団長の恋を応援しているが、噂の件は言えずしまい。
綺麗な男
普通に女性が好きだが、不覚にもときめいてしまったのは秘密。
男の子
花束を貰ったが遊んでたら何処かに無くした。
お爺ちゃん
婆さんに花束をあげたら喜んでくれたので、騎士団長には感謝している。
男達
騎士団長に一瞬で半殺しにされたが、どうにか一命を取り留めた。
読んで頂きありがとうございました。




