エピソード3
睡眠障害を抱える岩崎は孤児に向けた食事を提供するボランティ活動に参加することになった。
やってきたのは年齢は小学生くらいから中学生、中には1人高校生くらいの子もいた。
人数は10人ほどだった。こんなにいるのかと岩崎が少し目を丸くし突っ立っていると、女性陣が
子供たちの元へと歩をすすめながらいらっしゃい、と歓迎している。
子供たちもこんにちわ、と頭を下げ荷物を所定の棚にとしまう。
子供はたちは皆仲がいいのだろう。笑い声がよく響い響いている。そして、子供たちは
それぞれ席に着き終わると、上野が口を開いた。
「みなさん、今日は紹介したい人がいます。こちら、岩崎さんです。今日の料理は岩崎さんも
手伝って作ってもらっています。」
そういって上野が岩崎を紹介すると、子供たちが一斉にありがとうございます。と言った。
岩崎はその言葉に一礼して返した。
「では、いただきましょう。みなさん、手を合わせてくだてさい。では、いただきます。」
上野がそう言うと、子供たちも呼応し
「いただきます。」と、食事を食べ始めた。
その日はカレーライスだった。子供たちは口を開くことなく黙々と食べている。
一番早い子で5分ほどで皿を空にしてしまった。
その子はごちそうさまですを言い終わるとキッチンのシンクに皿やスプーン、水飲み用グラスを
持っていき洗い始めた。
続々と食べ終わる子らが出てきて前出の子のように洗い物を済ませてしまった。
それぞれ片付け終え近くにいる子同士で会話が始まっていく。
わいわいとした雰囲気の中、一人、高校生であろう子供が荷物をまとめ始めた。
それに気づいた上野はその子の元へと行、なにやら会話を交わしたあとその高校生は
こちらに向かって頭を下げた後、帰っていった。
それを見届けた岩崎やキッチンの女性陣が残った後片付けに取り掛かる。
時間は7時半を過ぎた頃、ようやくひと段落ついた岩崎たちはまだ子供たちの声がする
ホールのほうへと向かった。
子供たちの中にはいり談笑していた上野が岩崎たちに気付き、歩み寄る。
「今日はありがとうございます。岩崎さんは初日でつかれませんでしたか?」
そう聞かれた岩崎は疲れてないと首を横に振り言う。
「大丈夫です。それより子供たちがもくもくと食べてくれてうれしかったです。」
それを聞いた上野は笑顔で答えた。
「この食堂では食育も兼ねて行ってますから、子供たちの食べることへの感謝でしょう。」
岩崎はなるほどっと数度、うなずいて見せた。
8時も回り、子供たちがぞくぞくと食堂を後にしだした。
岩崎もそろそろ帰ろうと上野は田中、吉野にそのことを伝えた。それと次回の参加日を
伝えると食堂を出て車までの距離を歩く。駐車場につくと車にのりこみ家路についた。