この空虚な世界で。
僕らの世界は、ひどくちっぽけだ。
少しのことで喧嘩をするし、誰もが自分勝手に行動する。それが人間なのだと理解したのは、たしか10歳の頃だった。
自然を壊し、様々な生物から住処を奪ったくせに、いざ絶滅するとなると保護という名目で檻に閉じ込め、無理やり繁殖させる。
何千何百では足りないくらいの命を壊してきたくせに、人間を一人噛んだだけで、たった一度の反撃だけで、また一つの命を奪う。
人間は酷く自分勝手だ。それに気づいたのは15のこと。
となりに住む女の子も、いつか僕のクラスのギャルどものように小汚く成長していくのだろう。人を嘲笑い、自らのストレスのはけ口とし、人生を壊すくせに自分はのうのうと生き続けるのだろう。
人間は群がることでしか己を得ることが出来ない。それを知ったのは18の時だった。
涙が止まらなかった。何故僕は人間なのだろう。
酷く愚かで、自分勝手で、そのくせ一人じゃ生きていけない。そんな生物に、生まれたくなかった。
裸足で駆け出した。死へと駆けていった。
泣きながら、叫びながら、周りの目なんて気にせずに、踏切を越えた。
シニタイ
そう思ったのは初めてじゃないはずだ。しかし、あの頃とは違う。
シニタイ
呪いのように、頭に響く。
シニタイ
涙は止まらない。未だに体温が残る目を、引きちぎりたくなった。
分かったよ、もう。
僕は、もう生きていけない。こんな小さく空虚な世界では、もう。